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中学生男子、父からの養育費を母と継父に「拒否」され涙 どうすれば?
2018年10月08日 09時48分

ある中学生の男の子が最近、悩んでいます。彼が幼い頃に両親は離婚し、彼はずっと母親と2人で暮らしてきました。しかし、小学生だった3年前、母親が別の男性と再婚。今では妹も生まれて、4人家族になりました。

シングルマザーだった母親は今年まで彼の父親から養育費を受け取っていました。ところが、母親と再婚相手の男性は、彼の父親と縁を切る目的で、養育費の受け取りを拒否してしまいました。彼には事前の相談がありませんでした。

母親は再婚してから経済的に安定しており、確かに養育費がなくても生活はできます。しかし、妹も生まれた上、これから自分の学費がかかることがわかっているので、母親と継父にできるだけ負担をかけたくないという思いから、彼は実の父親から養育費を受け取りたいと考えています。

父母間で養育費の授受は行わないという合意があったとしても、子どもから養育費を請求することは可能でしょうか。鳥生尚美弁護士に聞きました。

ある中学生の男の子が最近、悩んでいます。彼が幼い頃に両親は離婚し、彼はずっと母親と2人で暮らしてきました。しかし、小学生だった3年前、母親が別の男性と再婚。今では妹も生まれて、4人家族になりました。

シングルマザーだった母親は今年まで彼の父親から養育費を受け取っていました。ところが、母親と再婚相手の男性は、彼の父親と縁を切る目的で、養育費の受け取りを拒否してしまいました。彼には事前の相談がありませんでした。

母親は再婚してから経済的に安定しており、確かに養育費がなくても生活はできます。しかし、妹も生まれた上、これから自分の学費がかかることがわかっているので、母親と継父にできるだけ負担をかけたくないという思いから、彼は実の父親から養育費を受け取りたいと考えています。

父母間で養育費の授受は行わないという合意があったとしても、子どもから養育費を請求することは可能でしょうか。鳥生尚美弁護士に聞きました。

●養育費は子どもの権利で、「受け取らない」という約束は無効

そもそも養育費とは、どういうもので、何のために支払われるものなのでしょうか?

「養育費とは、未成熟子と離れて住む親(非監護親)が、子どもにかかる費用の一部を支払うものです。これには子どもの親に対する扶養請求という面と、未成熟子を育てている親(監護親)が非監護親に対して子どもを育てるのにかかる費用の分担を求めるものという、両方の面があります」

では、父母間で養育費のやり取りをしないと決めた場合、子ども自身が請求することは可能でしょうか?

「先ほど述べた通り、養育費は子どもが親から扶養を受ける権利でもあります。そして、扶養を受ける権利は放棄をすることができません(民法881条)。監護親は、子どもの養育費を受け取る権利を放棄することはできませんし、仮に親同士が養育費を受け取らないという合意をしたとしても、その合意は無効とされています。したがって、中学生の相談者は、継父と母親の意向に関わらず、実父に対して養育費の請求をしてこれを受け取ることができます」

●養育費の意義や不安な気持ちを親に理解してもらうことが大事

実際にはどのような方法があるのでしょうか?

「実父から任意の支払いを受けられず、調停等の法的手続が必要になった場合には、原則として法定代理人である親権者が代理して手続を行うことになります。このケースでは、継父も母親も養育費の請求をしたくないことから、親権者である母親らに本人を代理して法的手続きをさせるのは難しいでしょう。

まずは、相談者の母親に、先ほど述べたような養育費の意義や相談者の不安な気持ちをきちんと理解してもらう必要があると思われます。

弁護士会でやっている『子どもの悩みごと電話相談』など、気軽に相談ができる窓口がありますので、一度相談をしてみることをお勧めします。具体的な事情によっては、相談者が母親と話し合いをするときに弁護士がお手伝いするということも考えられるでしょう」

もしも現在、彼自身が請求できない場合、18歳になってから過去にさかのぼって養育費を請求することは可能でしょうか?

「このケースでは、今年まで養育費の支払いがされていますので、実父と母親は養育費について一度は合意をしていたと思われます。

先に述べた通り、養育費を請求しないという合意は無効ですので、これまでの養育費支払いについての合意が不当に高額、あるいは低額すぎるなどの特段の事情がない限りは、合意に基づいて未履行分の請求をすることができるでしょう。

具体的な合意がない場合、養育費の請求が認められるのは、原則として、実際に養育費の支払いを請求した時からとされています。もっとも、公平の見地から、不履行の期間や金額、それまでの経緯などを考慮して、過去分の請求が認められる場合もあります」

(弁護士ドットコムニュース)

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