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労働組合の「組織率」はなぜ過去最低に落ちたのか?
2014年01月23日 13時14分

労働組合の「組織率」の低下が止まらない。厚生労働省の調査によると、2013年6月末の時点で、雇用者のうち労働組合に入っている人の割合を表す「組織率」は、前年の調査より0.2%減って、17.7%だった。これは調査を始めた1947年以降、最も低い数字を記録したことになるという。組合員の数も4年連続で減少し、2012年におこなわれた調査より約1万7000人少ない約987万5000人だった。

一方で、女性の組合員数は2012年より1.5%増えて、約303万4000人となった。また、パートタイム労働者の組合員数も約91万4000人と前年よりも9.2%増えている。さらに、組合員のうちパートタイム労働者が占める割合は9.3%と、統計をとり始めた1990年以降で最も高い数字になっているということだ。

女性やパートタイマーの労働組合員が増えている一方で、労働組合全体の「組織率」が落ちた理由はなぜだろうか。使用者側代理人として数多くの団体交渉に携わる原英彰弁護士に聞いた。

労働組合の「組織率」の低下が止まらない。厚生労働省の調査によると、2013年6月末の時点で、雇用者のうち労働組合に入っている人の割合を表す「組織率」は、前年の調査より0.2%減って、17.7%だった。これは調査を始めた1947年以降、最も低い数字を記録したことになるという。組合員の数も4年連続で減少し、2012年におこなわれた調査より約1万7000人少ない約987万5000人だった。

一方で、女性の組合員数は2012年より1.5%増えて、約303万4000人となった。また、パートタイム労働者の組合員数も約91万4000人と前年よりも9.2%増えている。さらに、組合員のうちパートタイム労働者が占める割合は9.3%と、統計をとり始めた1990年以降で最も高い数字になっているということだ。

女性やパートタイマーの労働組合員が増えている一方で、労働組合全体の「組織率」が落ちた理由はなぜだろうか。使用者側代理人として数多くの団体交渉に携わる原英彰弁護士に聞いた。

●労組の組織率は「正社員」が下支えしていた

「労働組合全体の組織率が低下した一つの要因は、正社員の数が減り、非正規労働者の数が増えたことにあります」

原弁護士はこのように指摘する。なぜ正社員が減ると、労働組合員の数も減るのだろうか?

「戦後、日本の労働組合の中心は、大企業の『企業別労働組合』でした。そうした企業別労働組合に所属していたのは、そのほとんどが正社員でした。

こうした企業の多くに、労働組合員であることを雇用条件とする『ユニオンショップ協定』が存在していたため、彼らは入社と同時に組合員にもなっていることが多かったのです。

つまり、労働組合の組織率を下支えしていたのは正社員で、この数が減少すれば、労働組合の組織率も下がるという仕組みです」

全体の組織率が下がっている主因は、この点のようだ。一方、女性やパートタイマーの組合員加入率は増えているようだが……。

●「企業外の労働組合」が非正規労働者の受け皿となっている

「同じ労働組合といっても、『企業別の労働組合』と、『企業外の労働組合』は分けて考える必要があります。企業外の労働組合は、『一人でも入れる』労働組合を組織し企業の枠、正社員、非正規労働者の枠にとらわれず組合員を受け入れています。

増加する非正規労働者の受け皿となっているのは、このような合同労組などの形態の『企業外の労働組合』なのです。

非正規労働者の労働組合への加入が増加しているのは、この形態の労働組合に加入する人が増えたことを意味しています。また、パートタイマーは、女性の割合が高く、パートタイマーの女性が企業外の労働組合に加入することも多くなっています」

こうした企業外の労働組合員は増加しているが、いまのところ企業別の労働組合員が減る分を上回るほどではなく、差し引きではマイナスということのようだ。

ところで、「企業別の労働組合」と「企業外の労働組合」では、活動内容にも違いがあるのだろうか?

「合同労組など企業外の労働組合は、個々人の組合員の雇用問題(解雇、パワハラ・セクハラなど)に関する要求をすることが多く、実質的には、個別労使紛争における代理人的な役割を担っていることが多くなっています」

原弁護士はこのように指摘していた。

雇用の形が大きく変わりつつある現在、労働組合に求められているニーズも少しずつ変化してきているということかもしれない。働く側と雇う側の関係は、今後どのように変化していくことになるのだろうか……。

(弁護士ドットコムニュース)

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