選択的夫婦別姓の法案提出に関わった立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の議員らが6月5日、衆院第二議員会館(東京都千代田区)で開かれた院内集会に登壇。今国会での採決を目指すことを確認した。
選択的夫婦別姓をめぐっては、立憲民主、維新、国民民主の3党がそれぞれ法案を提出しているが、国会で審議されるのは28年ぶり。
院内集会には、議員のほか、日弁連や経団連、選択的夫婦別姓訴訟の弁護団も参加した。同弁護団長の寺原真紀子弁護士は、原告たちの切実な思いに触れて「国会での機運を逃さず、実現するよう目指していっていただきたいです」とうったえた。
●立憲と国民案は共通点が多く、維新案は「通称の使用」を拡大
立憲民主、維新、国民民主の3党が提出した法案は、似てるようで違う点がある。
この日の院内集会では、立憲民主の鎌田さゆり衆院議員、維新の萩原佳衆院議員、国民民主の円より子衆院議員が登壇し、それぞれの法案の内容を説明した。
院内集会資料より
立憲民主と国民民主の法案は共通点が多い。いずれも民法と戸籍法を改正し、戸籍上も夫婦が異なる氏を選択できるようにする内容だ。
ただ、立憲民主案は、別氏を選択した夫婦は、婚姻時に子の氏を決定し、子と同じ氏を名乗る者が戸籍筆頭者となる。家族単位の戸籍制度は維持される。
国民民主案は、別氏を選択した夫婦は婚姻時に戸籍の筆頭者を決定し、筆頭者の氏が子の氏となる点が異なる。また、戸籍への記載についても両党案に違いがある。
一方、維新案は、民法や戸籍法の改正は目指していない。戸籍上の氏は統一したまま、旧氏を「通称」として公式に使用できる範囲を拡大するものとなっている。
●選択的別姓が導入されてこなかった理由
夫婦別姓をめぐっては、法務省の審議機関である法制審議会が1996年、選択的夫婦別姓を導入する民法改正案を答申した。法務省が改正法案を準備したものの、自民党が反対して国会提出には至らなかった。
しかし、婚姻時に改姓する女性は9割以上で、その不均等が指摘されてきた。国連女性差別撤廃委員会も、日本に対して選択的夫婦別姓を導入するよう4回にわたって勧告している。
国内でも選択的夫婦別姓実現を求める声は根強く、複数の訴訟が提起されてきた経緯がある。
最高裁はいずれも夫婦同氏を定めた民法を合憲という判断を下しており、現在も第3次夫婦別姓訴訟が東京地裁と札幌地裁で進められている。
これまで日弁連もたびたび、国に選択的夫婦別姓の導入を求めてきた。院内集会に参加した日弁連の寺町東子副会長は次のように語った。
「最高裁は氏名について、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であるというふうに述べています。ですので、その氏名を変えることなく婚姻できる、そういう制度を作っていくことは、日弁連という日本最大の人権擁護団体として、ぜひとも推進していきいただきたいと願っています」
この日の集会は、選択的夫婦別姓の実現を目指す「一般社団法人あすには」が呼びかけたもの。