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「持病への配慮なく、握力6キロまで低下した」元トラックドライバー女性が会社を提訴
2016年02月24日 19時56分

ヘルニアを持病として抱えているにもかかわらず、会社に負荷のかかる業務を続けさせられた結果、右手の握力が極度に低下する後遺症が残ったとして、元トラックドライバーの女性(44)が2月24日、東京都内の運送会社(港区・新橋)を相手取って、休業損害や後遺症の慰謝料など約2460万円を求める訴訟を東京地裁に起こした。

ヘルニアを持病として抱えているにもかかわらず、会社に負荷のかかる業務を続けさせられた結果、右手の握力が極度に低下する後遺症が残ったとして、元トラックドライバーの女性(44)が2月24日、東京都内の運送会社(港区・新橋)を相手取って、休業損害や後遺症の慰謝料など約2460万円を求める訴訟を東京地裁に起こした。

●頸椎の椎間板ヘルニアを発症し、握力が5キロまで低下

訴状などによると、女性は2000年1月、同社に契約社員として入社した。10トントラックに乗務し、東京~大阪間の長距離運搬を主に担当してきた。2009年、運搬作業中に「頸椎の椎間板ヘルニア」を発症して以降、女性は会社に業務の軽減を求めてきたが、改善されることはなかったという。

2014年12月上旬には、女性は1枚約10キログラムのベニヤ板を14枚、手作業でトラックに積み込む作業などに従事した数日後、肩から背中、腕に強い痛みとしびれがはしり、起き上がることすらできなくなったため、6日間の有給休暇を取得した。

ところが有休が明け、職場に戻ると、再び負荷の重い業務をすることになった。そして、同月下旬に、1トンのコンテナを22個運ぶ作業を行った際、右肩から右腕にかけて激痛が走った。翌2015年1月に病院を受診したところ、頸椎椎間板ヘルニアが悪化していて、右手の握力が5キロまで低下(左手は25キロ)していたことがわかった。

女性は1月から休業を始めたが、6月末の営業所閉鎖にともない、合意退職をしたという。

●「負荷のかかる業務をさせたことは安全配慮義務に反する」

提訴後、東京・霞が関の厚労省記者クラブで、女性と代理人弁護士らが会見を開いた。女性はヘルニアの治療を継続しているが、未だに右手の握力は6キロのまま戻らない。料理ができなくなり、左手を添えないと手が震えて文字が書けないなど、日常生活に支障がでていると訴える。また、手が震えるなどの症状のため、就労もできない状況だという。

女性の代理人の梅田和尊弁護士は「女性は労働組合に加入し、会社に対して団体交渉を行ってきたが、会社は『訴訟によらなければ損害を賠償できない』と述べており、今回提訴することになった。頸椎の椎間板ヘルニアで身体が万全ではなかったにもかかわらず、会社が有休明けに負荷のかかる業務をさせたことは、労働契約法に定められた安全配慮義務に反する」と話した。

女性は会見で「生活するにも右手はなかなか使えず、運転も左手。右手はウインカーを出すのが精一杯。トラックは18年乗ってきたが、もう乗ることがほぼできない。会社は女性ドライバーを『トラガール』と呼んで、活用をすすめていることを宣伝しているが、その中で働いていた私の身体は今このような状況。早く解決したい」と語った。

同社は弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「担当者が不在なので、わかりかねる」と答えた。

(弁護士ドットコムニュース)

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