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ヤフコメ投稿、携帯番号の登録必須に 弁護士は評価「開示の時間と費用、抑制できる可能性」
2022年10月18日 20時24分

ヤフーは10月18日、Yahoo!ニュースのコメント欄(通称:ヤフコメ)の投稿に携帯電話番号の設定を必須にすると発表した。実施は11月中旬予定。

同社によると、不適切なコメントを繰り返し投稿してコメントの「投稿停止措置」を受けたユーザーのうち、携帯電話番号の設定がないIDの割合は5割以上と高水準になっているという。

2022年10月1日には、改正プロバイダ責任制限法が施行され、投稿者特定のための情報開示が迅速化されることが期待されている。携帯電話番号の登録が必須になることで、発信者情報開示に影響はあるのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。

ヤフーは10月18日、Yahoo!ニュースのコメント欄(通称:ヤフコメ)の投稿に携帯電話番号の設定を必須にすると発表した。実施は11月中旬予定。

同社によると、不適切なコメントを繰り返し投稿してコメントの「投稿停止措置」を受けたユーザーのうち、携帯電話番号の設定がないIDの割合は5割以上と高水準になっているという。

2022年10月1日には、改正プロバイダ責任制限法が施行され、投稿者特定のための情報開示が迅速化されることが期待されている。携帯電話番号の登録が必須になることで、発信者情報開示に影響はあるのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。

●中傷対策として一定の効果を発揮する

——コメント欄の投稿に、携帯電話番号の登録が必須になることが発表されました

ヤフーの対策は、ヤフコメ投稿に電話番号の設定をすることで、過去に「投稿停止措置」を受けたIDと電話番号を紐付けることで、新たなIDを取得してコメント投稿を繰り返すといった行為を制限することにあります。

このような対策は、中傷対策として一定の効果を発揮すると思われ、とても良い施策だと思います。

また、発信者情報開示請求という観点からもプラスの要素があります。結論的には、電話番号の設定が必須になることで、時間的・費用的に特定がしやすくなるという効果が生じることになります。

●これまでは2回の裁判手続をする必要があった

——これまでヤフーに携帯電話番号を登録していないユーザーについては、特定ができなかったのでしょうか。

これまでも、電話番号が登録されていない者からの誹謗中傷がされたケースでは、IPアドレスからの開示請求をすることで、最終的に相手を特定する余地はありました。

具体的には、ヤフーからIPアドレス、タイムスタンプの開示を受け、そのIPアドレスから把握されるアクセスプロバイダ(ソフトバンク等)に対して、プロバイダ契約者の情報開示を受ける、という方法です。

この方法では、開示請求のためには、実質的に、2回の裁判手続をする必要があり、時間と費用がかかっていました。

また、IPアドレス等のログが保存されている期間は、3か月程度のことが多く、投稿された直後から開示請求をしないと“時間切れ”になってしまうこともあり、その点でも難しさがありました。

●改正法で時間と費用が抑制できる可能性

——2022年10月1日には、改正プロバイダ責任制限法が施行されました。どのような影響がありますか。

発信者情報開示請求では、電話番号の開示請求も可能となっており、ヤフーなどサイト側に電話番号が登録されていれば、これまでよりも開示のための時間と費用は抑制できる可能性があります。

これは、プロバイダ責任制限法が改正されたことが大きな理由です。実際に開示をしてもらうには裁判において開示が命じられないといけないとは思いますが、プロバイダ責任制限法改正によって、「発信者情報開示命令事件」という新しい裁判手続が定められました。

電話番号の開示を受けるには、これまでは通常の裁判手続を用いる必要がありました。通常の裁判では、訴訟提起から約1か月後に第1回目の裁判、その後約1か月ごとに裁判が行われ、結審まで早くて3か月程度、その後判決まで早くて1か月程度かかりました。

しかし、新しい「発信者情報開示命令事件」では、口頭弁論という手続きを行う必要がなく、審理方式について定めがありません。その結果、どのくらい争われるかにもよりますが、審理期間を2か月程度まで短くできるのではないかと思われます。

また、電話番号については、IPアドレス等のように削除されていくものではないので、時間的制約も大幅に緩和されることになります。

●電話番号がわかれば弁護士会照会で開示も

また、電話番号の開示がされれば、その後、弁護士法23条の2の照会(いわゆる「弁護士会照会」)によって、その契約者情報の開示を受けることは比較的容易です。

この点については、「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン 解説」において、「当該電話会社にとって、権利侵害情報の投稿通信は自ら提供する電話サービスの個々の通信ではなく、また、当該弁護士会照会は 当該電話会社が提供する電話サービスの個々の通信の発信者を明らかにするためのものではないため、これに応じることは通信の秘密を侵害するものではないと解される」とされていることも重要なポイントです。

これまでは、そもそもヤフー側が電話番号を保有しているかどうか外部からは分からないことから、いきなり訴訟提起をすることには躊躇を覚えるところでした。

しかし、今後は「ヤフコメにコメント投稿をしているということは電話番号がある」という前提で手続きをとっていくことができるようになるので、その点でも対応しやすくなります。

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