12325.jpg
うちわ問題の松島元法相が「不起訴処分」・・・「無罪」と同じなの?
2015年01月19日 16時20分

選挙区内で「うちわ」を配ったとして、松島みどり前法相が公職選挙法違反(寄付行為の禁止)で刑事告発されていた問題で、東京地検特捜部は1月14日、松島前法相を嫌疑不十分で不起訴処分とした。

報道によると、東京地検特捜部は、「うちわ」を配ったことは「寄付行為」に当たるとしながらも、選挙での当選を目的とした配布ではないため、処罰できないと判断したという。

処罰できないということは、「罪がなかった」つまり「無罪」とも受け取れるが、「不起訴処分=無罪」ということなのだろうか。刑事手続きにくわしい石崎冬貴弁護士に聞いた。

選挙区内で「うちわ」を配ったとして、松島みどり前法相が公職選挙法違反(寄付行為の禁止)で刑事告発されていた問題で、東京地検特捜部は1月14日、松島前法相を嫌疑不十分で不起訴処分とした。

報道によると、東京地検特捜部は、「うちわ」を配ったことは「寄付行為」に当たるとしながらも、選挙での当選を目的とした配布ではないため、処罰できないと判断したという。

処罰できないということは、「罪がなかった」つまり「無罪」とも受け取れるが、「不起訴処分=無罪」ということなのだろうか。刑事手続きにくわしい石崎冬貴弁護士に聞いた。

●「不起訴=無罪」ではない

「検察官は、必要な捜査をした後、ある人を起訴するかどうかを判断します。これが『起訴・不起訴』の問題です。

起訴されると、その事件についての刑事裁判が開かれ、検察官の起訴した事実に間違いがないかどうか、裁判所が判断することになります。これが『有罪・無罪』の問題です」

不起訴になったら無罪が決まる、というわけではないようだ。では、起訴するか、それとも不起訴にするかは、どうやって判断するのだろう。

「検察庁は、警察とともに事件について捜査を進めていきますが、その結果、その人を有罪にできるだけの証拠が見つからないことがあります。

そうした場合、最終的に、検察官は『その人を起訴することができない』あるいは『起訴すべきではない』と判断して、その人を不起訴にします。

つまり、今回の場合も、東京地検特捜部は、さまざまな捜査を行った結果、起訴したとしても、『松島前法相を有罪に持ち込めるだけの証拠がない』と判断したということです」

●新しい証拠が出てきたら?

後から新たな証拠が出てきたら、どうなるのだろう。

「不起訴は、あくまで、『その時点』での判断です。後から、新たな証拠が出てくることで起訴されることも、ないわけではありません。だから『不起訴』は『無罪』と異なるのです。

ただ、報道によれば、特捜部が松島前法相を不起訴としたのは、『うちわ』が選挙に関連したといえるかどうか、といった非常に微妙な部分の証拠が欠けていたためのようです。

特捜部もその威信をかけて捜査していますから、これから、新しい証拠が出てくる可能性はかなり低いでしょう。事実上、本件はこれで終結ということになりそうです」

石崎弁護士はこのように指摘していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る