12333.jpg
五輪選手村の「ベッド」を9人同時ジャンプで破壊、イスラエル選手の法的責任は?
2021年07月29日 18時08分

東京五輪の選手村のベッドでジャンプする――。五輪に参加しているイスラエル代表の野球選手が、動画共有アプリ「TikTok」に投稿したとみられる動画が波紋を呼んだ。すでに元の動画は削除されている。

イスラエルの公共放送が7月28日、ツイッターに掲載した動画には、まず1人の選手が1台のベッドの上でジャンプするところから始まる。1人ずつジャンプする人が増えて、9人が同時にジャンプしたあと、ダンボール製のベッドが壊れた様子が映っている。

報道によると、元の動画は26日に公開されたが、批判が相次いで、イスラエルの野球協会が問題視し、選手たちは謝罪したという。「ベッドの耐久性を試そうとしていた」というが、このような行為は法的に問題ないのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

東京五輪の選手村のベッドでジャンプする――。五輪に参加しているイスラエル代表の野球選手が、動画共有アプリ「TikTok」に投稿したとみられる動画が波紋を呼んだ。すでに元の動画は削除されている。

イスラエルの公共放送が7月28日、ツイッターに掲載した動画には、まず1人の選手が1台のベッドの上でジャンプするところから始まる。1人ずつジャンプする人が増えて、9人が同時にジャンプしたあと、ダンボール製のベッドが壊れた様子が映っている。

報道によると、元の動画は26日に公開されたが、批判が相次いで、イスラエルの野球協会が問題視し、選手たちは謝罪したという。「ベッドの耐久性を試そうとしていた」というが、このような行為は法的に問題ないのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

●器物損壊罪に該当するが・・・

――犯罪に問われないのでしょうか?

選手村のベッドが誰のものなのか、正確なところはわかりませんが、選手からすれば「他人の物」に該当することは明らかです。

ベッドを破壊する行為が、財物の効用を害する行為であることも明らかですから、イスラエル代表の野球選手の行為は、器物損壊罪に該当します。

ただし、器物損壊罪は親告罪なので、選手村のベッドの所有者にあたる人・団体が告訴しなければ、起訴されることはありません。

――選手たちは弁償しなくてよいのでしょうか?

イスラエル代表選手は、故意に他人の所有権という権利を侵害しているといえます。不法行為に基づく損害賠償責任を負うこととなります(民法709条)。したがって、法律上は、弁償しなければならないのは間違いないです。

報道によりますと、選手村のベッドを提供するエアウィーヴ社は7月20日、「木材やスチールなど、さまざまな素材で検証した結果、段ボールが最も頑丈であることがわかりました。耐久性テストの結果、200kgまでの荷重に対応できることが実証されています」とコメントを発表しています。

エアウィーヴ社にとってはいい宣伝になったかもしれませんが、今回の代表選手たちの行為は悪質といえます。

ただ、ベッドの所有者が損害賠償請求するかどうかは、少なくとも東京五輪パラリンピック開催期間中は考えにくいです。選手たちも後悔して、謝罪されていることのようですから、おそらく請求しない可能性が高いでしょう。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る