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桃太郎を題材に「法的思考」に触れる――弁護士会が子ども向け「サマースクール」開催
2016年08月05日 16時32分

愛知県弁護士会は8月5日、名古屋市中区の愛知県弁護士会館で、小学校高学年から高校生までの子どもを対象にした「サマースクール」を開催した。弁護士たちによる模擬裁判と子どもたち同士の議論を通して、法的な思考に触れてもらうのが狙いだ。小学5・6年生(20人)と中学・高校生(40人)がそれぞれの部に分かれて参加し、弁護士とともに架空の事件について考えた。

小学5・6年の部では、昔話の「桃太郎」をアレンジした事件が問題となった。桃太郎がキビダンゴを犬と猿とペンギン(キジの代わり)に渡して、鬼ヶ島に鬼退治に出かけたが、犬たちが戦う前に逃げてしまい、一人残された桃太郎は、鬼に敗れて大ケガを負ってしまう。桃太郎は「契約違反だ」として犬たちに損害賠償を請求するが、はたして認められるだろうか――という問題だ。

裁判に先立って、桃太郎や鬼に扮した弁護士たちが、事件の模様を寸劇で再現。続く裁判で、20人の小学生たちは、原告(桃太郎)と被告(犬、猿、ペンギン)の主張を聞いた。その後、4つのグループに分かれて、犬や猿やペンギンが治療費を賠償すべきかどうかを議論し、それぞれの意見を発表した。

ある子どもは「猿は桃太郎から『鬼ヶ島に行く』とは聞いていたけれど、『鬼退治をする』とは言われていなかったので、病院代を払わなくてもいい」と、賠償責任を否定。一方、別の子どもは「桃太郎は刀という武器を持っていたから、猿も鬼退治に行くと分かっていたはずなので、猿は病院代を払わないといけない」と答えるなど、子どもたちの意見は分かれた。

愛知県弁護士会は8月5日、名古屋市中区の愛知県弁護士会館で、小学校高学年から高校生までの子どもを対象にした「サマースクール」を開催した。弁護士たちによる模擬裁判と子どもたち同士の議論を通して、法的な思考に触れてもらうのが狙いだ。小学5・6年生(20人)と中学・高校生(40人)がそれぞれの部に分かれて参加し、弁護士とともに架空の事件について考えた。

小学5・6年の部では、昔話の「桃太郎」をアレンジした事件が問題となった。桃太郎がキビダンゴを犬と猿とペンギン(キジの代わり)に渡して、鬼ヶ島に鬼退治に出かけたが、犬たちが戦う前に逃げてしまい、一人残された桃太郎は、鬼に敗れて大ケガを負ってしまう。桃太郎は「契約違反だ」として犬たちに損害賠償を請求するが、はたして認められるだろうか――という問題だ。

裁判に先立って、桃太郎や鬼に扮した弁護士たちが、事件の模様を寸劇で再現。続く裁判で、20人の小学生たちは、原告(桃太郎)と被告(犬、猿、ペンギン)の主張を聞いた。その後、4つのグループに分かれて、犬や猿やペンギンが治療費を賠償すべきかどうかを議論し、それぞれの意見を発表した。

ある子どもは「猿は桃太郎から『鬼ヶ島に行く』とは聞いていたけれど、『鬼退治をする』とは言われていなかったので、病院代を払わなくてもいい」と、賠償責任を否定。一方、別の子どもは「桃太郎は刀という武器を持っていたから、猿も鬼退治に行くと分かっていたはずなので、猿は病院代を払わないといけない」と答えるなど、子どもたちの意見は分かれた。

●子どもたちに「正解が一つではない問題」を考えてもらう

サマースクールを担当した中根志保弁護士は「同じ学年の子が同じものを見ても、意見が分かれるということを知ってもらうことこそが重要なので、いろいろな意見が出たことはうれしかった。それぞれの発表を通じて、ほかの子はこういうことを考えるんだということを実感してもらえたのではないかと思う」と話していた。

愛知県弁護士会では、法教育委員会が中心となって、毎年夏に子ども向けのサマースクールを実施している。今年は8月1日、3日、5日の3日間にわたって開催。模擬裁判のほかには、裁判官・検察官・弁護士に子どもたちが自由に質問できる懇談会や、中高生と弁護士があるテーマの賛否について討論するディベート対決などを実施した。

法教育委員会の委員長を務める古澤仁之弁護士は「サマースクールを含めた法教育の目的は、『正解が一つではない問題』について、他人の意見も聞きながら、自分なりに考えて意思決定したり、グループで合意形成していくプロセスを学ぶことにある。今回の模擬裁判では、子どもたちがみんなで議論することで、我々の想定を超えるような広がりのある意見がたくさん出て、とても良かった」と語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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