12571.jpg
月曜朝に増える「中高年男性」の自殺…調査で「ブルーマンデー」の怖さ浮き彫りに
2018年10月21日 09時27分

日本の中高年男性の自殺は月曜朝に多く、失業率が上がると早朝から通勤時間にかけての自殺が増加するーー。こんな研究結果を早稲田大と大阪大の研究グループがまとめた。

これまで自殺がどの時間帯で多く発生するかについての研究は、国内外で実施されていなかったという。結果を受け、早大の上田准教授(政治経済学)は「自殺が増えるタイミングに相談体制を充実させ、見守りを強化することが不可欠」と話している。

日本の中高年男性の自殺は月曜朝に多く、失業率が上がると早朝から通勤時間にかけての自殺が増加するーー。こんな研究結果を早稲田大と大阪大の研究グループがまとめた。

これまで自殺がどの時間帯で多く発生するかについての研究は、国内外で実施されていなかったという。結果を受け、早大の上田准教授(政治経済学)は「自殺が増えるタイミングに相談体制を充実させ、見守りを強化することが不可欠」と話している。

●男性の勤労世代の自殺、月曜朝に集中

研究グループは厚生労働省の人口動態調査の個人票を元に、1974〜2014年に自殺した約90万人について、若者(20~39歳)、中高年(40~65歳)、高齢者(66歳~)の年齢グループと男女別に死亡時刻・曜日データを集計。それぞれ1994年まで(20年間)と95年以降(21年間)の二期に分けて分析した。

その結果、40〜65歳の中高年男性の場合、95年以降は月曜日の朝(4:00〜7:59まで)に大きな自殺のピークがあり、週末の土曜と比べると1.55倍だった。また朝(4:00〜7:59まで)の自殺が一番多く、深夜(20:00~23:59)と比較すると1.57倍だった。

1994年以前は曜日や時間帯による違いはなく、上田准教授は「95年以降、勤労世代の自殺が月曜日の朝に集中している。個人票から職業は分からなかったが、仕事に行きたくないという理由がおそらくあるのではないか」と推測する。95年ごろは、バブル崩壊の影響で日本の景気が低迷していた。

また、女性は全年齢層で昼間の自殺が多かった。この傾向は、1994年までと95年以降で変化はみられなかったという。

●自殺リスク高い人を「ひとりにしない」

中高生の自殺は9月1日がもっとも多く、夏休み後半から集中的に自殺防止の対策が取られている。今回の研究結果で特に傾向が如実に表れた中高年男性については、どのような対策を取ればいいだろうか。

上田准教授は「いのちの電話は夜から早朝にかけて行なっていることが多いが、朝の通勤時間帯や昼間に相談体制を充実させることが大事。リスクが高い人をひとりにしないことも重要だと思います」と話していた。

今回の研究結果は、2018年9月17日に科学研究出版社のエルゼビア(Elsevier)「Journal of Affective Disorders」電子版に掲載された。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る