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「非正規の図書館員、雇用継続を」日本図書館協会が地方自治体に要望 「会計年度任用職員問題」改善求める
2024年12月13日 16時59分
#非正規雇用 #図書館 #日本図書館協会 #会計年度任用職員

公共図書館や学校図書館で働く会計年度任用職員(1年雇用の非正規職員)が増えている問題を受け、日本図書館協会(植松貞夫理事長)は12月13日、文部科学省で会見を開き、会計年度任用職員の雇用を継続するよう都道府県知事会や市町村会などに要望を送付したと発表した。

会計年度任用職員とは、1年任期で地方自治体に雇用される非正規雇用の公務員で、2020年から始まった制度。日本図書館協会によると、現在、公共図書館の職員の4割以上、学校図書館職員の9割以上がこの会計年度任用職員という。

当初、総務省のマニュアルには、公募試験をせずに再度の採用ができる回数を原則2回までとする「3年目公募」ルールが記載されており、2022年度末には各地で長年働いてきた図書館員の雇い止めが発生するなど、問題が指摘されていた。

しかし、総務省は今年6月、マニュアルを刷新して「3年目公募」ルールを削除した。これを受け、日本図書館協会では、来年度が制度導入から2巡目となる6年目を迎えることから、会計年度任用職員の雇い止めをしないよう求めた形だ。

公共図書館や学校図書館で働く会計年度任用職員(1年雇用の非正規職員)が増えている問題を受け、日本図書館協会(植松貞夫理事長)は12月13日、文部科学省で会見を開き、会計年度任用職員の雇用を継続するよう都道府県知事会や市町村会などに要望を送付したと発表した。

会計年度任用職員とは、1年任期で地方自治体に雇用される非正規雇用の公務員で、2020年から始まった制度。日本図書館協会によると、現在、公共図書館の職員の4割以上、学校図書館職員の9割以上がこの会計年度任用職員という。

当初、総務省のマニュアルには、公募試験をせずに再度の採用ができる回数を原則2回までとする「3年目公募」ルールが記載されており、2022年度末には各地で長年働いてきた図書館員の雇い止めが発生するなど、問題が指摘されていた。

しかし、総務省は今年6月、マニュアルを刷新して「3年目公募」ルールを削除した。これを受け、日本図書館協会では、来年度が制度導入から2巡目となる6年目を迎えることから、会計年度任用職員の雇い止めをしないよう求めた形だ。

●「実績ある職員は期間区切らず任用を」

要望では、総務省による新たなマニュアルを踏まえた運用を要望するとともに、次の3点を求めている。

(1)公共図書館・学校図書館の維持・充実・発展のためには、そこで働く職員の安定、継続 した雇用が不可欠です。総務省のマニュアルでは、「募集に当たって、任用の回数や年数の制限を設ける ことは避けるべき」とされています。

(2) 図書館職員の任用に当たっては、図書館職場で培われた知識と経験によって評価される ことが望ましいと考えます。

(3) 既に十分な勤務実績を積んでいる職員については、期限を区切っての雇用ではなく、か つ公募によらない雇用更新任用を求めます。

会見で植松理事長は、「全国3300館を越す公共図書館は、市民の生活にとってなくてはならぬものになっています。また学校図書館は児童生徒の成長にとって不可欠なものです」とした上で、今回の要望についてこう説明した。

「図書館職員には司書としての資格の上に経験によって培われた様々な知識と対応力が求められ、それが市民や児童生徒に対して良質なサービスを生み出す源にもなっています。そのような人材は地域や自治体にとっての貴重な財産であると言えます。

しかし、本来正規雇用であるべき職員の多くは非正規雇用となっています。少なくとも、非正規雇用の職員も安心して働ける環境が必要です」

●非正規雇用増え続ければ、若い世代にも影響

日本図書館協会では、図書館の非正規雇用職員が増加していることを受け、2017年度からこの問題について調査や提言を行ってきた。

日本図書館協会の非正規雇用職員に関する委員会の小形亮委員長は、この問題の背景について、こう述べた。

「1990年代から、正規雇用職員と非正規雇用職員の割合が逆転している状態になりました。図書館のみならず、自治体の仕事の中で、窓口担当の職員など、比較的根幹的とは思われがちな仕事が非正規雇用に置き換えられる傾向があります。そうした中で、図書館員もターゲットになってきた経緯があります」

非正規雇用職員が増えることによって、司書として就職したいという若い世代が別の業界に転じる現象も起きているといい、図書館の質低下が懸念されているという。

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