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クマ被害「過去最悪」の秋田県に抗議電話が殺到、職員は困惑「岩手でクマが出ても苦情が…」 業務妨害罪になる?
2023年10月26日 15時56分
#クマ被害 #秋田県

秋田県でのクマによる人身被害が過去最悪となっている。県のまとめによると、今年5月から10月25日までの間に58人がクマに襲われてケガをしたという。

被害が拡大する中、人命を守るためには、やむを得ずクマを駆除する場合があるが、そのたびに秋田県庁に抗議の電話が殺到している。

県自然保護課によると、1時間以上にわたり苦情を言い続けたり、1日に何度も同じ人が電話をかけてくるケースなど、業務がまったく進まない時もあるという。

また、他県でクマが山に放されたというニュースが流れた際にも、抗議の電話がかかるなど、県は対応に苦慮している。

こうした事態を受け、佐竹敬久知事は10月23日の定例会見で、苦情電話のほとんどが氏名を名乗らず、一方的な意見を述べるもので、「付き合ってますと仕事ができません。業務妨害です」と苦言を呈した。

刑事事件にくわしい本間久雄弁護士は「悪質な迷惑電話は、偽計業務妨害罪になる可能性がある」と指摘する。

「その日は、途切れることなく電話がかかってきました。職員は対応に追われて、通常の業務ができませんでした」

県自然保護課の担当者はそう振り返る。

秋田県庁に苦情電話が殺到したのは、10月初旬。美郷町で作業小屋に長時間入り込んでいたクマ3頭を駆除したことに対して、県外から「なぜ殺した」「クマがかわいそう」などの「ご意見」の電話が集中した。

こうした電話は何件あったのか尋ねると、数える余裕もないほどひっきりなしに電話が鳴っていたため、把握できていないという。

「1日に何度もかけてくる方もいましたし、1時間以上にわたってずっとご意見をおっしゃってる方もいました。最初はクマの駆除に対する批判だったのが、そのうち公務員批判になる方もいました。そうしたお電話の多くが県外からで、保護団体を名乗る方もいます。一方で県内からは『がんばってください』など励ましのお声をいただいています」(自然保護課担当者)

また、岩手県でクマが捕獲され、山に放たれたというニュースが流れた際にも、「秋田県と比較して、『なぜ秋田県では殺すのか』というご意見のお電話が多かったです」と困惑気味に話す。

「すぐ切ります。ガチャンです」

こうした抗議の電話が秋田県庁に殺到したことを受けて、定例会見で対応を記者から問われた佐竹知事は、憤りを隠さずにこう答えた。

佐竹知事はこうした電話について、「業務妨害」と発言したが、実際に法的責任は生じるのだろうか。本間弁護士は「偽計業務妨害罪」について、こう説明する。

「刑法に『偽計を用いて…その業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する』と規定されています。偽計とは、『人を欺き、あるいは、人の錯誤・不知を利用したり、人を誘惑したりするほか、計略や策略を講じるなど、威力以外の不正な手段を用いること』をいいます。迷惑電話をかけて相手の業務を妨害することは、偽計にあたります」

本間弁護士によると、高松市内の銀行に2カ月にわたり、316回の迷惑電話をかけた男性が偽計業務妨害罪に問われて、懲役1年の実刑判決を下された判例があるという(2016年岡山地裁判決)。

「迷惑電話の程度がどの程度になれば偽計業務妨害罪が成立するか否かは、ケースバイケースとなりますが、着信回数や内容、かかってきた時間帯などを総合的に考慮して、刑罰を用いるほどの悪質性があるかと言えるか否かがポイントとなるでしょう」

秋田県でのクマによる人身被害が過去最悪となっている。県のまとめによると、今年5月から10月25日までの間に58人がクマに襲われてケガをしたという。

被害が拡大する中、人命を守るためには、やむを得ずクマを駆除する場合があるが、そのたびに秋田県庁に抗議の電話が殺到している。

県自然保護課によると、1時間以上にわたり苦情を言い続けたり、1日に何度も同じ人が電話をかけてくるケースなど、業務がまったく進まない時もあるという。

また、他県でクマが山に放されたというニュースが流れた際にも、抗議の電話がかかるなど、県は対応に苦慮している。

こうした事態を受け、佐竹敬久知事は10月23日の定例会見で、苦情電話のほとんどが氏名を名乗らず、一方的な意見を述べるもので、「付き合ってますと仕事ができません。業務妨害です」と苦言を呈した。

刑事事件にくわしい本間久雄弁護士は「悪質な迷惑電話は、偽計業務妨害罪になる可能性がある」と指摘する。

⚫️クマ駆除批判がいつの間にか公務員批判に発展

「その日は、途切れることなく電話がかかってきました。職員は対応に追われて、通常の業務ができませんでした」

県自然保護課の担当者はそう振り返る。

秋田県庁に苦情電話が殺到したのは、10月初旬。美郷町で作業小屋に長時間入り込んでいたクマ3頭を駆除したことに対して、県外から「なぜ殺した」「クマがかわいそう」などの「ご意見」の電話が集中した。

こうした電話は何件あったのか尋ねると、数える余裕もないほどひっきりなしに電話が鳴っていたため、把握できていないという。

「1日に何度もかけてくる方もいましたし、1時間以上にわたってずっとご意見をおっしゃってる方もいました。最初はクマの駆除に対する批判だったのが、そのうち公務員批判になる方もいました。そうしたお電話の多くが県外からで、保護団体を名乗る方もいます。一方で県内からは『がんばってください』など励ましのお声をいただいています」(自然保護課担当者)

また、岩手県でクマが捕獲され、山に放たれたというニュースが流れた際にも、「秋田県と比較して、『なぜ秋田県では殺すのか』というご意見のお電話が多かったです」と困惑気味に話す。

⚫️悪質なケースは偽計業務妨害罪の可能性

「すぐ切ります。ガチャンです」

こうした抗議の電話が秋田県庁に殺到したことを受けて、定例会見で対応を記者から問われた佐竹知事は、憤りを隠さずにこう答えた。

佐竹知事はこうした電話について、「業務妨害」と発言したが、実際に法的責任は生じるのだろうか。本間弁護士は「偽計業務妨害罪」について、こう説明する。

「刑法に『偽計を用いて…その業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する』と規定されています。偽計とは、『人を欺き、あるいは、人の錯誤・不知を利用したり、人を誘惑したりするほか、計略や策略を講じるなど、威力以外の不正な手段を用いること』をいいます。迷惑電話をかけて相手の業務を妨害することは、偽計にあたります」

本間弁護士によると、高松市内の銀行に2カ月にわたり、316回の迷惑電話をかけた男性が偽計業務妨害罪に問われて、懲役1年の実刑判決を下された判例があるという(2016年岡山地裁判決)。

「迷惑電話の程度がどの程度になれば偽計業務妨害罪が成立するか否かは、ケースバイケースとなりますが、着信回数や内容、かかってきた時間帯などを総合的に考慮して、刑罰を用いるほどの悪質性があるかと言えるか否かがポイントとなるでしょう」

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