12627.jpg
JALが「医師」の座席情報を把握する新制度導入ーー空の上でも「救護義務」あるの?
2016年02月12日 12時32分

日本航空と日本医師会は2月3日、急病人が発生した場合、事前に登録した医師に応急措置を依頼できる「JAL DOCTOR登録制度」を導入すると発表した。これまでは、機内アナウンスで医師の申し出を呼びかけていたが、事前登録することで、客室乗務員が医師の座席をあらかじめ把握できるため、迅速に応急措置にあたることができる。

同社の発表によると、JALのマイレージ会員で、日本医師会が発行するICカード型資格証を持っている医師が対象。登録はあくまで任意だ。飲酒や体調不良などで対応が困難な場合は、断ることもできる。

急病人に迅速に対応できるという点は評価できそうだが、医師にとって、航空機に乗っているときはプライベートな時間のはずだ。そんなときに、応急措置を担当する義務があるのだろうか。池田伸之弁護士に聞いた。

日本航空と日本医師会は2月3日、急病人が発生した場合、事前に登録した医師に応急措置を依頼できる「JAL DOCTOR登録制度」を導入すると発表した。これまでは、機内アナウンスで医師の申し出を呼びかけていたが、事前登録することで、客室乗務員が医師の座席をあらかじめ把握できるため、迅速に応急措置にあたることができる。

同社の発表によると、JALのマイレージ会員で、日本医師会が発行するICカード型資格証を持っている医師が対象。登録はあくまで任意だ。飲酒や体調不良などで対応が困難な場合は、断ることもできる。

急病人に迅速に対応できるという点は評価できそうだが、医師にとって、航空機に乗っているときはプライベートな時間のはずだ。そんなときに、応急措置を担当する義務があるのだろうか。池田伸之弁護士に聞いた。

●義務はないが、倫理的に強く要請される

「医師は、医師法19条1項で『診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。』とされ、診療義務(応召義務)が、課されています。

ただし、応召義務に違反しても、罰則はありません。歯科医師、薬剤師、助産師にも同様の規定があります」

航空機に搭乗中はどうなるのだろうか。

「医療の業務から離れ、航空機内の一乗客にすぎない医師については、『診療に従事する』とはいえず、通常、応召義務はないものと思われます。

ただし、医業を独占し、医療という公共性、公益性の高い職務を担う医師という立場からすると、ドクターコールに応じることは、法律上の義務といえなくても、医療上の倫理から協力が強く要請されるものと思います。

また、今回の事前登録に応じた場合は、急病人などが生じて、乗務員から診療を求められた際に、飲酒などで対応できないときを除き、日本航空との関係で『応急措置』などの診療に応じる必要が生じます。これも任意の協力というのか、さらに一歩進んだ『義務』というのかは、微妙なところでしょう。

もちろん、患者本人に関する医療情報や、医療機器、医療スタッフがないか、あるいは、著しく不足するなかでは、できることには限界があります。診療に応じるとしても、その限度内での義務や責任ということになります」

池田弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る