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「あなたは一人じゃない」 いじめ問題に取り組む「弁護士」が小中学校で出張授業
2014年03月26日 20時21分

「いじめられる子にも、悪いところがありますか?」。弁護士が小学生や中学生に問いかけ、一緒にいじめの問題を考える。そんな授業が愛知県の学校で始まろうとしている。

弁護士による「出張授業」。そのねらいは、子どもたちが自分の頭と心で考えるきっかけを与えることだ。対象は、小学5年生から中学3年生のクラス。いじめは、思春期の始まるころから陰湿化、深刻化することが多いとされる。その渦中にいる子どもたちを対象にした。

学校側の要請を受け、この4月から、愛知県弁護士会の「子どもの権利委員会」のメンバーらが講師として学校に赴く。東京や奈良などに続き、弁護士会としていじめ対策の出張授業に取り組むのだという。

「いじめられる子にも、悪いところがありますか?」。弁護士が小学生や中学生に問いかけ、一緒にいじめの問題を考える。そんな授業が愛知県の学校で始まろうとしている。

弁護士による「出張授業」。そのねらいは、子どもたちが自分の頭と心で考えるきっかけを与えることだ。対象は、小学5年生から中学3年生のクラス。いじめは、思春期の始まるころから陰湿化、深刻化することが多いとされる。その渦中にいる子どもたちを対象にした。

学校側の要請を受け、この4月から、愛知県弁護士会の「子どもの権利委員会」のメンバーらが講師として学校に赴く。東京や奈良などに続き、弁護士会としていじめ対策の出張授業に取り組むのだという。

●「すべての人に幸せになる権利がある」

授業ではまず、弁護士が「いじめられる子にも、悪いところがありますか?」と問いかけ、子どもたちに選択肢を3つ与える。

「〇いじめられる子は、悪くない」

「×悪い」

「△悪い時もある」

すると、多くの子が「△悪い時もある」を選ぶという。

授業では続けて、「葬式ごっこ」や暴力によるいじめを苦に男子生徒が自殺した東京・中野富士見中学校のケース(1986年)など、裁判になった具体例を交えながら、子どもにも認められている「権利」について丁寧に話をしていく。

いじめられる子に原因があると考えていた子どもたちも、少しずついじめの本質を考えていく。

自分自身も、クラスメイトも、全員が生まれながらにして持っている「幸せになる権利」。この権利についてリアリティをもって話ができるのは、専門家である弁護士だからこそだろう。

●いじめっ子にも「一人じゃない」と呼びかける

もうひとつ特徴的なのは、授業の終わりに弁護士が、クラス全体に向かって「あなたは、一人じゃないんだよ」と呼びかけることだ。これは、いじめられている子に対してだけでなく、いじめている子にも向けたメッセージだという。

子どもの権利委員会いじめ予防出張授業プロジェクトのチーム長である竹内千賀子弁護士は「いじめている子も、家庭に居場所がないなど、学校以外の場で追い込まれていることが多い。私たち弁護士はそれを体験的に知っています」と話す。

こうした授業は、いじめ問題について、「弁護士」という心強い相談相手が存在することを、小学生や中学生が知るきっかけにもなるだろう。竹内弁護士は「子どもたちは『押し付ける授業』だと心に入らない。一緒に考える授業をやっていきたい」と意気込みを語っていた。

【取材協力】

愛知県弁護士会

会員は1500人以上。子どもの人権擁護活動にも力を入れている。毎月発行の会報「SOPHIA」には、会員弁護士らが現場の体験を率直に語る「子どもの事件の現場から」を掲載。連載は120回を超える。「子どもの人権相談」は専用電話(052-856‐7831)で毎週土曜日午前9時45分から午後5時15分まで受付。電話・面談とも相談無料。

(弁護士ドットコムニュース)

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