12634.jpg
退職しようとしたら、社長が「社内不倫をバラす」と脅し! 法的な問題は?
2019年03月21日 09時47分

退職しようとしたら同僚と不倫した過去をバラすと社長に言われたーー。ある男性から、こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられた。

相談者は過去に同僚の女性と不倫し、相手を離婚させてしまったことがあるという。同僚女性の夫から慰謝料請求があったものの、払えないと返事をしてそれきりだったそうだ。

その後、会社に退職の意向を伝えたところ、社長から「不倫相手の旦那に全てしゃべって、改めて慰謝料請求させる」と言われたという。

会社が、従業員の不倫問題に立ち入り、脅しをかけてくることに法的な問題はないのだろうか。江上裕之弁護士に聞いた。

退職しようとしたら同僚と不倫した過去をバラすと社長に言われたーー。ある男性から、こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられた。

相談者は過去に同僚の女性と不倫し、相手を離婚させてしまったことがあるという。同僚女性の夫から慰謝料請求があったものの、払えないと返事をしてそれきりだったそうだ。

その後、会社に退職の意向を伝えたところ、社長から「不倫相手の旦那に全てしゃべって、改めて慰謝料請求させる」と言われたという。

会社が、従業員の不倫問題に立ち入り、脅しをかけてくることに法的な問題はないのだろうか。江上裕之弁護士に聞いた。

●脅迫罪・名誉毀損罪等の犯罪行為になりうる悪質行為

「損害賠償をちらつかせながら働かせることは法的に許されません

退職時のトラブルに関する相談が増えており、退職代行サービスを扱う民間企業も出てきています。今回の相談も退職時のトラブルに区分される問題ですが、『損害賠償請求をちらつかせながら働き続けさせる』というやり口は法的に許されるものではなく、悪質な問題といえます」

具体的に、どのような法的な問題があるのか。

「社長の言動は脅迫罪・名誉毀損罪等の犯罪行為になりうる悪質なものです

社長は、退職するなら不倫相手の夫に暴露すると言っているようですが、この発言自体脅迫罪に該当しうるものです。また、社長が実際に相談者の過去の不倫を暴露した場合、態様によっては(従業員に吹聴するなど不特定多数の人に拡散されうる方法で暴露した場合)、名誉毀損罪等の犯罪が成立します」 どう対処すればいいのか。

「退職時の会社の対応に不安を覚えた場合、弁護士への相談をおすすめします。

このような会社では、退職できたとしても、離職票の発行など退職に伴う手続きをしない、離職票の記載が不当(失業給付の内容に影響しうる)というトラブルも予想されます。

また、相談者が退職を決意した理由が業務過多により医師から休養を勧められたためということであれば、すぐ退職届を提出するのではなく、休職制度を利用して休養するという選択も考えられます。

このように退職届の提出だけでは解決しない問題も多々あるため、退職時の会社の対応に不安を覚えた場合、弁護士に相談することをお勧めします(退職代行サービスの内容は、労働者の代わりに退職届を提出することだけに限られています)」

情報募集

弁護士ドットコムニュースの記者に取材してほしい社会問題はありますか。働いていて疑問に思ったことや、法律に関するトラブルなど、情報を求めています。以下からLINE友だち登録をして、ご連絡ください。
https://line.me/R/ti/p/%40htt0723w

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る