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クラウドソーシングでトラブル――ボツになった「ウェブデザイン」が無断で使われた?
2014年08月22日 18時48分

わが社が提案した「ウェブサイトのデザイン」を、クライアントに勝手に使われた――。ウェブサイトのデザインやプログラムなどの仕事を依頼したい人と、それを請け負うデザイナーやプログラマーらをネット上で結び付けるサービス「クラウドソーシング」をめぐって、トラブルが起きている。

クラウドソーシングの代表的なサイト「ランサーズ」を通じてウェブサイト制作の仕事を請け負ったデザイン会社の社長が8月19日、ブログで依頼者とのトラブルを告白し、話題を呼んでいるのだ。

わが社が提案した「ウェブサイトのデザイン」を、クライアントに勝手に使われた――。ウェブサイトのデザインやプログラムなどの仕事を依頼したい人と、それを請け負うデザイナーやプログラマーらをネット上で結び付けるサービス「クラウドソーシング」をめぐって、トラブルが起きている。

クラウドソーシングの代表的なサイト「ランサーズ」を通じてウェブサイト制作の仕事を請け負ったデザイン会社の社長が8月19日、ブログで依頼者とのトラブルを告白し、話題を呼んでいるのだ。

●「契約をキャンセルするメールを送った」

沖縄県でデザイン会社を営んでいる男性に、弁護士ドットコムが取材したところ、この会社は今年5月、ランサーズを通じて、東京都内のあるクライアント(制作会社)と契約を結んだという。その内容は「マンションの紹介サイトを作成する」というもので、受注後、デザインなどに関してやりとりをしていたのだそうだ。

デザインを提案すると、クライアントは「私の思い描いている色を提案しなさい」などと指示。デザイン会社側がそれに応えると、「外れです。正解をこちらで教えたことになるので、その分はこちらで作業したことになりますよね」などと、暗に値引きを要求してきたという。

しばらくそうしたやり取りが続いた後、6月上旬の金曜になって、クライアントは「あと、何日で完成しますか?」と質問してきた。

これに対して、デザイナーは「デザインにOKが出て、原稿をいただければ制作に入ることができます。制作に入れば3日ほどで完成しますが、原稿はいついただけますか」と返答した。するとクライアントは「質問を質問で返すなんて非常識!この人外してください!!この人からの質問にはこれから一切返事しません!」と言ってきた。

さらに、クライアントは金曜深夜にもかかわらず、すぐに作業をして完成させるよう要求。デザイン会社の社長は「週末に作業を命じられない」として、自ら契約をキャンセルする旨をクライアントに対してメールで通告したのだという。デザイン会社側は、クライアントからお金を一切受け取っていないとのことだ。

ところが、8月になって、それまでやり取りしていたデザインをほぼそのまま利用したサイトが、ネットで公開されているのを発見したのだという。

●「契約はどうなったか」がポイント

デザイン会社の社長は 「叩き台として『ここに御社の物件画像いれましょう。物件の写真ないですか』『配色を決めましょう』とやり取りしていた時のデータなので、この段階のものが利用されることに困惑している」と語る。そのうえで、「無断利用したデザインの削除」をクライアントに求めているが、こうした場合、法的権利として削除してもらえるのだろうか?

企業法務にくわしい秋山直人弁護士は、次のように話す。

「ランサーズの利用規約によると、クライアントとランサー(仕事を請け負う側)との間の本件のような契約は、業務委託契約と位置付けられています。本件では、いったん業務委託契約が有効に成立していますので、結論を導き出すためのポイントは『その契約がどうなったか』です」

つまり、契約が解消されたのか、それとも続いているのかが、重要なポイントだというわけだ。秋山弁護士は続けて、こう述べる。

「仮に契約解除が有効であれば、契約の効力は失われます。その場合、クライアントが、ランサーの提供した成果物を利用する権限はありません。つまり、無断利用は違法ですから、ランサーは使用中止の請求が可能です。

一方で、仮に契約解除が無効となると、契約は継続していることになりますので、むしろランサーのほうで受託業務を一方的に中止したことが、契約違反ということになりかねません」

●「クライアントの言い分も聞く必要がある」

この点について、デザイン会社の社長は「6月上旬に契約をキャンセルさせてもらうというメールを送った。クライアントから直接返事はなかったが、その後すぐ、クライアントが作業のために用意したサーバーにアクセスできなくなった。さらに、ランサーズの『エスクロー(仮払金)』が取り下げられたので、キャンセルに合意したと判断した」と話している。

この「エスクロー(仮払金)」は、仕事が開始される前にクライアントがランサーズに預け、仕事が完了したタイミングで、ランサーズからデザイナーに支払われる予定のお金のことだ。

その後、7月になって、この社長のもとに、ランサーズから「クライアントが困っているようだから連絡してあげてくれないか」という伝言があったが、社長は「それなら直接連絡してくるべきではないか」と返答。その後クライアントからの直接の連絡はなかったという。

こうした場合、契約がどうなるのか。判断するポイントについて、秋山弁護士はこう説明する。

「デザイン会社側の主張が事実だとして、それが契約を解除できる理由になるかどうかが、ポイントです。また、業務委託の対価や納期について、どのような合意があったのかも、検討する必要があるでしょう。デザイン会社社長のブログを見る限り、上記の点について、この社長に分がありそうですが、クライアントの言い分も聞いてみる必要があると思います」と話していた。

この件について、ランサーズは「利用規約違反が疑われる」として、8月20日から調査に乗り出したと発表した。8月22日現在、クライアント(制作会社)とランサー(デザイン会社)をまじえた3者で協議中だという。

(弁護士ドットコムニュース)

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