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転職エージェント経由の「内定」辞退を告げたら脅された…損害賠償請求のリスクは?
2016年04月02日 10時17分

転職を考えた時、「転職エージェント」を使ってみようと思ったことはないだろうか。自分にマッチした企業を紹介してくれるので、転職活動の大きな手助けになる。ただ、内定の辞退をめぐって、トラブルが発生することもあるようだ。

弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、転職エージェントから紹介を受けた企業の内定を辞退しようとしたら、エージェントから「辞退したらペナルティを課す」「現在の職場に行って、退職交渉をする可能性がある」とメールで告げられたという相談があった。相談者は賠償金を請求されることを恐れている。

別のQ&Aサイトに相談を寄せた人は、利用していた転職エージェントが信用できず、エージェントを介さずに別の企業に転職することになった。エージェントの紹介で得た内定を辞退しようとしたら「営業妨害だ」「俺の顔に泥塗る気か」などの脅しを受けたという。

内定を辞退した場合、転職エージェントから賠償請求をされる可能性はあるのだろうか。強引に入社させようとするエージェントには、どう対応したら良いのだろうか。笹山尚人弁護士に聞いた。

転職を考えた時、「転職エージェント」を使ってみようと思ったことはないだろうか。自分にマッチした企業を紹介してくれるので、転職活動の大きな手助けになる。ただ、内定の辞退をめぐって、トラブルが発生することもあるようだ。

弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、転職エージェントから紹介を受けた企業の内定を辞退しようとしたら、エージェントから「辞退したらペナルティを課す」「現在の職場に行って、退職交渉をする可能性がある」とメールで告げられたという相談があった。相談者は賠償金を請求されることを恐れている。

別のQ&Aサイトに相談を寄せた人は、利用していた転職エージェントが信用できず、エージェントを介さずに別の企業に転職することになった。エージェントの紹介で得た内定を辞退しようとしたら「営業妨害だ」「俺の顔に泥塗る気か」などの脅しを受けたという。

内定を辞退した場合、転職エージェントから賠償請求をされる可能性はあるのだろうか。強引に入社させようとするエージェントには、どう対応したら良いのだろうか。笹山尚人弁護士に聞いた。

●毅然とした態度で縁を切ろう

「職業安定法4条は『職業紹介とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること』と定めています。我が国は、ILO181号条約(民間職業仲介事業所条約)を批准しており、この条約に基づき、民間職業紹介事業は、国が行う職業紹介機関(いわゆる公共職業安定所、ハローワーク)があることを前提にしています。

国が無料で行う職業紹介事業との比較で、民間の転職エージェントは『有料職業紹介事業者』と呼ばれます。ここで有料とは、求職者から紹介料をもらうということではありません。求人者の企業から『良い労働者を紹介してくれた』という評価を受けて、この企業から報酬を得ることを意味しています」

では、内定辞退についてはどうなるのだろうか。

「求職者は、転職エージェントとの間で『しっかりした求人先を紹介してもらうが、それを反故にしたら損害賠償を支払う』という法的関係を形成しているわけではありません。したがって転職エージェントから紹介を受けた内定先でも、自由に内定辞退できます。それは紹介無しの転職活動でも内定辞退できるのと同様。辞退をしても違法行為ではありません。

以上のことから、転職エージェントは求職者に損害賠償請求をすることはできません。あくまで求人者に求職者を引き合わせているだけですから、内定辞退をするときにも転職エージェントを介さず、直接、先方の企業に断ればよいのです。

転職エージェントが怒るのは、内定辞退されると求人者から得られる自分の報酬が無くなったり、求人者から信用を失ったりするためでしょう。しかし、それはエージェントにとって必然的なリスクです。しつこく強引につきまとうような転職エージェントはどのみち、今後も優良な紹介をしないでしょう。その転職エージェントの要求を毅然と拒絶し、縁を切るべきです」


笹山弁護士はこのように話していた。損害賠償を気にせず、安心して断ればいいようだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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