12814.jpg
入浴中に大きな虫、慌てて「全裸で玄関を開けてしまった」 ご近所さんにも目撃されて…罪に問われる?
2025年05月31日 07時43分
#ご近所トラブル #軽犯罪法 #公然わいせつ罪

うっかり全裸のまま、玄関のドアを開けてしまった──。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者は自宅で入浴中、大きな虫を発見。捕まえて外に逃がそうとした際、気が動転して、全裸のまま玄関のドアを開けてしまったといいます。

虫を追い払うことには成功しましたが、向かいの駐車場に人がいたため、その姿を見られてしまいました。

すぐにドアを閉めたものの、目撃者の家族から「お前、全裸だったらしいな」「次やったらどうなるかわかってるな」などと怒られたそうです。

相談者は事情を話し、謝罪もしましたが、後日、通報されたりしたらどうなるのかと不安に感じています。

このようなケースで罪に問われる可能性はあるのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。

うっかり全裸のまま、玄関のドアを開けてしまった──。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者は自宅で入浴中、大きな虫を発見。捕まえて外に逃がそうとした際、気が動転して、全裸のまま玄関のドアを開けてしまったといいます。

虫を追い払うことには成功しましたが、向かいの駐車場に人がいたため、その姿を見られてしまいました。

すぐにドアを閉めたものの、目撃者の家族から「お前、全裸だったらしいな」「次やったらどうなるかわかってるな」などと怒られたそうです。

相談者は事情を話し、謝罪もしましたが、後日、通報されたりしたらどうなるのかと不安に感じています。

このようなケースで罪に問われる可能性はあるのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。

●公然わいせつ罪に問われる可能性は低い

——うっかりとはいえ、全裸でドアを開けて、他の人に裸を見せてしまった相談者ですが、このようなケースで罪に問われる可能性はありますか。

今回のケースで成立する可能性がある犯罪としては、公然わいせつ罪(刑法174条)と身体露出の罪(軽犯罪法1条20号)が考えられます。

このうち、公然わいせつ罪は、不特定または多数の人が認識する状況で性欲を刺激する、性的道義観念に反する行為をすること、および行為者がこのことを認識していたことによって成立します。

今回は、向かいに駐車場がある玄関先に全裸で出てしまったということですから、一見、この要件を満たし、公然わいせつ罪が成立するようにも思われます。

しかし、本人はとっさのことで全裸であることを忘れていた状況であったとも考えられ、この点を重視すれば、わいせつ行為を公然と行う認識がなかった、ということもできるでしょう。

大きな虫を見つけたことで気が動転していたという事情や、ドアを開けた時間もほんの短時間であったという事情もあるといえます。

そうすると、公然わいせつ行為の故意が欠けている、不特定または多数の人が認識する状況とは言い難いと判断されて、公然わいせつ罪に問われる可能性は低いと考えられます。

また、軽犯罪法の身体露出の罪の成立には、身体の一部を「みだりに」露出することが必要であり、今回のケースはこの要件を満たさないと思われます。したがって、軽犯罪法違反になる可能性もないと考えられます。

●目撃者が「のぞき」になる可能性は?

——逆に駐車場にいた人が「のぞき」をしたとして、軽犯罪法違反などに問われる可能性はありますか。

軽犯罪法の「のぞき」は、人が通常衣服(居室、浴場、更衣室、トイレなど)を脱ぐような場所を正当な理由なくのぞき見た行為を指します。

ことさらに、駐車場から家の中をのぞき込んだようなことがなければ、「のぞき」には該当しないと考えられます。

個人的には、虫を外に出そうと無我夢中になってしまう気持ちには共感するところです。

一方で、せめてタオルを体に巻いたり、ガウンを羽織るなどしていれば、今回のようなトラブルにはならなかったのも事実です。

アクシデントが起こっても、一呼吸おいて自分がどのような状況にあるかをまず考えることが大切です。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る