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「税死」の危機から救いたい 「スーツを着ない税理士」がフリーランス向けに税マンガ
2018年11月19日 09時56分

フリーランスを悩ませるのが「税金」。会社勤め時代は天引きがあり、年末調整もしてもらえた。税金についてかなり無頓着でいることができたのに、フリーランスになると自分の頭で考え、時には今まで縁遠かった税理士を頼って申告をしなければならなくなる。その高い心のハードルを下げようとする書籍を、「スーツを着ない税理士」(自称)がこのほど出版した。

税理士は大河内薫さん。「日芸」(日本大学芸術学部)出身で、すらっとしたオシャレなお兄さんという印象。ツイッターを通じ知り合った漫画家・若林杏樹さんの協力を得て完成したのが『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』(サンクチュアリ出版)という単行本だ。主に漫画形式でわかりやすさを意識した。

11月上旬、大河内税理士を訪ね、本の狙いや税金について感じることを聞いた。(主なやりとりは以下のとおり)

フリーランスを悩ませるのが「税金」。会社勤め時代は天引きがあり、年末調整もしてもらえた。税金についてかなり無頓着でいることができたのに、フリーランスになると自分の頭で考え、時には今まで縁遠かった税理士を頼って申告をしなければならなくなる。その高い心のハードルを下げようとする書籍を、「スーツを着ない税理士」(自称)がこのほど出版した。

税理士は大河内薫さん。「日芸」(日本大学芸術学部)出身で、すらっとしたオシャレなお兄さんという印象。ツイッターを通じ知り合った漫画家・若林杏樹さんの協力を得て完成したのが『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』(サンクチュアリ出版)という単行本だ。主に漫画形式でわかりやすさを意識した。

11月上旬、大河内税理士を訪ね、本の狙いや税金について感じることを聞いた。(主なやりとりは以下のとおり)

●手に取りやすい「漫画形式」に

ーーどんな人に向けた本か教えてください

「まずはフリーランスの初心者に手に取ってほしいです。というのも、税金についてはほとんど学校で教えてくれませんし、就職しても一部の専門職や部署を除けば、会社が教えてくれるわけでもありません。天引きや年末調整を会社が勝手にやってくれるので、知らずにいても何とかなってしまうんです。

会社が年末調整などをしてくれなくなるため、フリーランスの人たちは自然と税金について詳しくなっていくはずだと思っていました。ところが、色々なフリーランスの人たちと話していくうちに、『あまり知らないんだな』ということに気づきました。出版社と相談して、手に取ってもらいやすいよう、漫画形式の本にすることにしたんです」

ーー漫画家との二人三脚で作られたのですね

「はい。漫画家の『あんじゅ先生』にはとても苦労をかけました。朝から晩まで机の隣同士でやり取りしながら作ることもあって、先生自身、かなり税に詳しくなったようです。

フリーランスになると初年度から思うように稼げないことがありますが、その場合、前年のサラリーマン時代に稼いだ収入に基づいて決まる住民税などの負担で苦しみます。そういう状況について『税死』と表現されるなど、先生の言葉のセンスはすごいなと思いました」

●もったいない確定申告が多い

ーーフリーランスの人たちと話していて、どういう誤解が印象に残っていますか

「はい、例えばフリーランスの申告は、青色申告と白色申告がありますが、かつては白色申告なら帳簿をつける必要がなかった点でメリットだと感じる人がいました。

ただ2014年分からはすべての白色申告者に帳簿記帳が義務づけられたので、手間という意味では青色とあまり変わらなくなったのです。それなのに控除が受けられる青色申告を選ばずに、ズルズルと白色申告を続けている人がいます。

ほかにも、生命保険料を払っているのに生命保険料控除を申告していなかったり、やれば得になるふるさと納税をしていなかったりと、もったいない申告をしている人が結構いるというのが実感です」

ーーなるほど。ただ、満点の確定申告をするのは難しそうです

「そうなんです。自分で申告して、100点の確定申告をできる人はほとんどゼロだと思います。本は『基本の基本』という位置づけで、税金への苦手意識やアレルギーみたいなものを取り払ってもらうつもりで作っています。

なので細かい論点まで網羅することはあえてしませんでしたが、今まで10点だった人が本を読めば次の確定申告では60点とか70点くらいまで取れると思っています。控除ひとつひとつのメリットは小さくても『塵も積もれば山となる』です。受けられる控除のメリットはなるべく落とさずに申告してもらいたいと思います」

●源泉徴収制度に頼り続けるのは無理がある

ーーフリーランスのなかには、ずっと無申告できている人もいると思いますか

「過去に聞いた話では、『税金を払わなきゃいけないけど、どうしていいか分からない』とのことでフリーランスになって以来ずっと、無申告のままだという人がいました。税務調査に入られないと、問題意識はあってもそのまま過ごしてしまう人は少なくないのでしょう。

やはり、税金についての教育を充実させないといけないと思います。これまではサラリーマンが大量にいたために、会社による源泉徴収を使って無意識のうちに税金を徴収することが機能してきました。ただ、今後は多様な生き方が受け入れられていくなか、フリーランスはどんどん増えていくのではないでしょうか。

そうすると、とにかく税金を徴収したくてたまらない当局としては、フリーランスに適正申告を促すようなアプローチを強化しないと、一人ひとりの納税額は少なかったとしても、全体として取りっぱぐれが増えてしまうと思います。フリーランスが増え、サラリーマンが減っていくとしたら源泉徴収制度に頼り続けるのは無理があります」

【プロフィール】

大河内 薫 (おおこうち・かおる)税理士

日本大学芸術学部卒。スーツを着ない次世代税理士。クライアントはクリエイターや芸術/芸能系、IT系に特化している。最近は自らがメディア露出を増やしており「高齢、お堅い」などの税理士のイメージ刷新を目指す。Twitterでは「税金の仕組み」を知ることの重要性を発信(ブログURL:https://bafs-style.biz/

事務所名 :ArtBiz税理士事務所

事務所URL:https://artbiz.jp/

(弁護士ドットコムニュース)

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