13135.jpg
ブライダルエステでアザ、結婚式前日に絶望して「顔グチャグチャ」の新婦…慰謝料請求できる?
2023年12月23日 08時29分

結婚式に向けたブライダルエステで、体に「アザ」ができるトラブルに見舞われ、晴れ舞台を台無しにされたという悩みが弁護士ドットコムの法律相談に届いた。

ブライダルエステのトラブルをめぐっては、国民生活センターにも「フェイシャルエステの施術を受けたところ顔にニキビが大量にできてしまいました」「当日は腕の出るドレスだったため痩身サービスを受けたが腕が腫れてしまった」などの被害情報が寄せられている。

はたして、施術したエステサロン側に慰謝料などをもとめることはできるのだろうか。前島申長弁護士に聞いた。

結婚式に向けたブライダルエステで、体に「アザ」ができるトラブルに見舞われ、晴れ舞台を台無しにされたという悩みが弁護士ドットコムの法律相談に届いた。

ブライダルエステのトラブルをめぐっては、国民生活センターにも「フェイシャルエステの施術を受けたところ顔にニキビが大量にできてしまいました」「当日は腕の出るドレスだったため痩身サービスを受けたが腕が腫れてしまった」などの被害情報が寄せられている。

はたして、施術したエステサロン側に慰謝料などをもとめることはできるのだろうか。前島申長弁護士に聞いた。

●【相談の内容「腕の1番目立つところにアザが」】

ある新婦は、結婚式数日前に受けたエステで「腕の1番目立つ」ところにアザができたという。施術前に、アザができないようにしてほしいという旨を伝えていたにもかかわらず、だ。

コンシーラーでも隠しきれなかったアザは、式当日の写真や動画でも確認できるほどで、それを見返すたびにつらい思いをしているという。

「前日は泣き腫らしてしまい、当日は顔がパンパンになりました。慰謝料など、何かしらの形で請求することは可能でしょうか」

●適正な使い方ではなかった場合、損害賠償請求の対象になることも

——新婦は結婚式を数日後に控え、アザができないように伝えたうえで、当日も残るアザをつくられたといいます。エステの施術側に返金や慰謝料などを求めることはできるでしょうか

エステサロンと客とは、フェイシャルエステや痩身エステなどの施術内容に応じた契約を結びます。(民法上の準委任ないしそれに類する無名契約と考えます)

そのため、エステサロン側には、アザなどの発生リスクの説明義務とハイパーナイフやハイパーシェイプなどの機器の使用に際して、施術時間や出力について適正に管理し施術する義務が生じます。(善管注意義務もしくは安全配慮義務)

ただし、エステサロンでの施術は、これらの機器の使用や施術の方法について、施術者が善管注意義務を尽くして適正な施術をした場合でも、客側の体調や肌質によっては、多少のアザなどが発生してしまうこともあります。

そのため、施術の結果としてアザができてしまった場合に、必ずしも、すべてのケースにおいて、施術者に用法義務違反があるとまではいえないと思われます。

一方、これらの機器には、身体の部位に継続して施術できる適正時間が設定されているので、その時間を超えて施術した場合であるとか、強度の調整を誤り通常より強い出力で施術した場合などは、用法義務違反や安全配慮義務違反が認められるケースも考えられ、損害賠償請求の対象になる可能性があります。

なお、エステサロン側に、上述のような善管注意義務違反がある場合には、債務不履行責任だけでなく、施術した従業員に対する不法行為責任(民法709条)およびエステサロンに対する使用者責任(民法715条)の請求ができることになります。

●同じような裁判では客側の「敗訴」も…その理由は

——どれくらいの損害があったと認められるでしょうか

次に、エステサロン側に善管注意義務違反があるとして、アザの発生と施術上のミス(注意義務違反)との間に因果関係が認められるかが問題となります。

さらには、両者の因果関係が認められるとして、その損害の範囲はどこまでかも問題です。

過去の判例には、客側が敗訴しているケースも散見されますが、その多くは、施術とアザの発生に明確な因果関係が認定できなかった場合や、施術に一定のミスがあったとしても、賠償の範囲として相当性が認められなかったことによるケースが多いと思われます。

たとえば、今回の相談のケースでも、アザのために、「前日は泣き腫らしてしまい、結婚式当日は顔がパンパンになってしまった」ことに対する慰謝料は、相当因果関係(社会通念上の相当性)が認められないと思います。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る