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温泉施設が「泡だらけ」で営業できず…悪質ないたずらはどんな罪になる?
2017年08月23日 09時48分

和歌山県新宮市の日帰り温泉施設「熊野川温泉さつき」(市営)で、内湯が泡だらけになるいたずらがあった。

新宮市商工観光課によると、2017年8月17日の午後3時ごろ、入浴しようとした客が泡だらけになっている浴槽を見つけた。従業員が確認したところ、内湯と洗い場、ジェットバスが泡であふれていたという。このうちジェットバスは循環していたため、女湯も泡だらけになってしまった。

その後男湯で、備え付けのボディーソープ5本、シャンプー3本が空になっているのが発見された。結局17日は通常午後9時までの営業予定を中止し、従業員が清掃におわれたという。市の担当者は「温泉を楽しみにして来られるお客さんにも迷惑がかかり、施設自体の営業も止めないといけなかった。大変残念」と話している。

市は今回の件を警察にも相談しているというが、今回の行為の法的責任はどうなるのか。冨本和男弁護士に聞いた。

和歌山県新宮市の日帰り温泉施設「熊野川温泉さつき」(市営)で、内湯が泡だらけになるいたずらがあった。

新宮市商工観光課によると、2017年8月17日の午後3時ごろ、入浴しようとした客が泡だらけになっている浴槽を見つけた。従業員が確認したところ、内湯と洗い場、ジェットバスが泡であふれていたという。このうちジェットバスは循環していたため、女湯も泡だらけになってしまった。

その後男湯で、備え付けのボディーソープ5本、シャンプー3本が空になっているのが発見された。結局17日は通常午後9時までの営業予定を中止し、従業員が清掃におわれたという。市の担当者は「温泉を楽しみにして来られるお客さんにも迷惑がかかり、施設自体の営業も止めないといけなかった。大変残念」と話している。

市は今回の件を警察にも相談しているというが、今回の行為の法的責任はどうなるのか。冨本和男弁護士に聞いた。

●泡だらけのいたずらは威力業務妨害罪に当たる

温泉施設が泡だらけになってしまったが、どういった罪になるのか。

「威力業務妨害罪の責任を負うと考えます。業務妨害罪が保護する利益は、人の事業活動です。威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害した場合に成立します」

今回のいたずらでは、「威力」というと何を指すのか。

「威力とは、人が事業活動の遂行を躊躇するような行為です。今回は温泉施設のジェットバスから泡があふれ出すようないたずらをされたということです。このようないたずらをされた場合、温泉施設としては営業を停止せざるをえませんから、威力を用いたということができます。

また、このことによって、温泉施設の温泉事業が妨害されたのは明らかですから、犯人は、威力業務妨害罪の責任を負います。その結果、3年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰を受ける可能性があります」

これ以外にも、何かの罪に問われる可能性はあるのか。

「さらに、器物損壊罪の責任を負う可能性もあります。器物損壊罪は他人の物を損壊した場合に成立する犯罪です。

損壊とは、物本来の効用を失わせる行為です。ボディソープやシャンプーは空にしたら使い物になりませんから、空にする行為は損壊に当たります。

また、湯船・ジェットバス等についても、物理的または機能的に今後使い物にならないようにしたのであれば損壊に当たるかと考えます。器物損壊の責任を負う場合、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料という罰を受ける可能性があります」

●子どもがいたずらしていた場合、親が損害賠償責任を負う場合も

刑事だけでなく、民事上の責任も問われる可能性があるのか。

「はい。いたずらをした者の責任は、刑事責任だけではありません。不法行為を行ったとして民事上の損害賠償責任も負います。不法行為とは、わざとまたはうっかり他人の権利・利益を侵害することです。不法行為を行った者は、被害者に対して発生した損害について賠償する責任を負います。

いたずらをした者は、わざと温泉施設の事業活動上の権利・利益を違法に侵害していますので、温泉施設が営業を停止することによって得られなくなった収入等の損害について賠償する責任を負うことになります。仮に子どもがいたずらしていた場合、親が監督者として損害賠償責任を負う場合もあります」

(弁護士ドットコムニュース)

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