13221.jpg
TKO木本さん、仲間に返金したらオールOK? 投資トラブルの法的責任を検証
2023年01月25日 11時14分

2022年夏に投資トラブルが発覚したお笑いコンビTKOの木本武宏さんが1月23日、会見を開き、経緯を説明した。それぞれFX、不動産の投資を持ちかけてきたAさんとBさんと一時、連絡が取れなくなり、木本さんが友人10人から集めた約4億5000万円が宙に浮いた状態となった。現在は3分の1程度になっていると説明している。

会見で木本さんは紹介した友人には、私財などから捻出して肩代わり弁済していると説明。Aさんからは1億1000万円の返還で合意書を交わした。Bさんからも返済計画を伝えられているが、約束が果たされない場合は刑事告訴も辞さないと話した。

木本さんは「うまい話はない」などと語り、再出発を誓った形だが、10人もの友人を巻き込んだ責任が問われる可能性はもうないのか。澤井康生弁護士に聞いた。

2022年夏に投資トラブルが発覚したお笑いコンビTKOの木本武宏さんが1月23日、会見を開き、経緯を説明した。それぞれFX、不動産の投資を持ちかけてきたAさんとBさんと一時、連絡が取れなくなり、木本さんが友人10人から集めた約4億5000万円が宙に浮いた状態となった。現在は3分の1程度になっていると説明している。

会見で木本さんは紹介した友人には、私財などから捻出して肩代わり弁済していると説明。Aさんからは1億1000万円の返還で合意書を交わした。Bさんからも返済計画を伝えられているが、約束が果たされない場合は刑事告訴も辞さないと話した。

木本さんは「うまい話はない」などと語り、再出発を誓った形だが、10人もの友人を巻き込んだ責任が問われる可能性はもうないのか。澤井康生弁護士に聞いた。

● 持ちかけた人が逮捕されたらどうなる?

――会見では投資家2人への捜査などについて詳しい説明はありませんでした。友人をつないだ木本さんは、お金を返せば終わりなのでしょうか? もし今後2人が逮捕されるなどの動きがあったとしても、もう罪に問われることはないのでしょうか?

あくまで仮定の話ですが、今後、Aさん、Bさんが出資法違反(不特定多数に元本を保証して出資を募る)、金融商品取引法違反(無登録で金融商品取引業を行う)の疑いで逮捕された場合について解説します。

2人が逮捕された場合、資金集めに関与していた木本さんも違法性の認識の有無や関与の程度によっては共犯として立件される可能性はあります。

例えば、Aさんが無登録で金融商品取引業を行っていることを知っていて、自分も分け前を得るために資金集めに加担していたような場合とか、Bさんの不動産投資についても分け前を得るために資金集めに協力していたような場合には共謀共同正犯や幇助犯が成立する可能性があります。

例え事後的に集めた資金を返したとしても犯罪行為自体は成立しているので罪に問われることはないとはいえません。

● 木本さんが詐欺で訴えることは可能か

――木本さんはBさんについて、返済されなかった場合には刑事告訴、法的手段をとる構えを見せています。詐欺罪として告訴した場合、どんな捜査がなされるのでしょうか?

詐欺罪が成立するためにはBさんに当初から騙す意思があったことを立証しなければなりません。騙す意思は目に見えませんので、当時の客観的状況から証明することになります。

例えば当時の資金繰りの状況や不動産への投資状況、配当金の計算などから自転車操業に陥っており、出資を受けても返済できない状態だったにもかかわらず資金を集めていたといえる場合には詐欺罪の騙す意思が認められます。

これが立証できればもちろん逮捕もありえると思います。ただし、当初は真面目に不動産投資をしていて、結果的に破綻して返済できなくなったというような場合には騙す意思が認められないので、詐欺罪は成立しません。

●「過失による幇助」で責任認めた判例も

――木本さんはBさんから返金がなかったとしても「必ず自分で代位弁済して何年かかってもお返しする」と話しています。友人からの賠償請求は回避できるのでしょうか?

木本さんが紹介した友人から民事責任を問われる可能性は否定できません。投資詐欺の事案で、東京地裁で平成26年1月28日にこのような判決があります。

主催者から依頼を受けて、知人に取引の概要を説明して主催者と会わせたり、「連帯保証人になってもかまわない」と提案したりした紹介者について、「知人が取引に出資する意欲を高める役割をした」「故意に騙したものではないとしても、過失によって不法行為者である主催者を幇助したものというべきである」として、共同不法行為責任を認めています。

木本さんの関与の程度は不明ですが、上記裁判例と同様に友人が取引に出資する意欲を高める役割までしていた場合には共同不法行為責任を負う可能性があります。

ただし、木本さんが自主的に被害者に代位弁済していくのであれば、その限度で損害が填補されるので事実上、民事責任の追及は待ってもらえるのではないでしょうか。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る