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「極ZEROは第3のビールだった」 サッポロの「税金返して!」は認められるか?
2015年02月10日 11時00分

納めた税金を返してほしい――。看板商品のアルコール飲料「極ZERO(ゴクゼロ)」をめぐり、サッポロビールが国税当局に対して、酒税115億円の返還を求めていることが1月末、わかった。

「極ZERO」は2013年6月、第3のビールとして発売された。しかし、国税当局から2014年、「(第3のビールよりも税率が高い)発泡酒ではないか」と指摘を受け、サッポロビールは2014年5月に製造を中止。それまでの販売分にかかった酒税の差額として、115億円を追加納税した。

現行の「極ZERO」は、2014年7月に製法を変えたうえで、名実ともに「発泡酒」として再出発している。その一方で、サッポロビールは、旧・極ZEROについて独自に検証をおこなった。その結果、「旧・極ZEROは、やはり第3のビールだった」という確信が得られたとして、追加納税した115億円を返還するよう国税当局に求めることにしたのだという。

かなり規模の大きな「返還」要求といえそうだが、納税制度上、サッポロビールの請求が認められる可能性はあるのだろうか。税務訴訟にくわしい大和弘幸弁護士に聞いた。

納めた税金を返してほしい――。看板商品のアルコール飲料「極ZERO(ゴクゼロ)」をめぐり、サッポロビールが国税当局に対して、酒税115億円の返還を求めていることが1月末、わかった。

「極ZERO」は2013年6月、第3のビールとして発売された。しかし、国税当局から2014年、「(第3のビールよりも税率が高い)発泡酒ではないか」と指摘を受け、サッポロビールは2014年5月に製造を中止。それまでの販売分にかかった酒税の差額として、115億円を追加納税した。

現行の「極ZERO」は、2014年7月に製法を変えたうえで、名実ともに「発泡酒」として再出発している。その一方で、サッポロビールは、旧・極ZEROについて独自に検証をおこなった。その結果、「旧・極ZEROは、やはり第3のビールだった」という確信が得られたとして、追加納税した115億円を返還するよう国税当局に求めることにしたのだという。

かなり規模の大きな「返還」要求といえそうだが、納税制度上、サッポロビールの請求が認められる可能性はあるのだろうか。税務訴訟にくわしい大和弘幸弁護士に聞いた。

●戻ってくる可能性はある

「酒税法は、発泡性の酒類として、大きくわけて『ビール』『発泡酒』『その他の発泡性酒類』の3種類に分類して、それぞれに異なる税率を課しています。

税率は大まかにいうと、大きい順に『ビール>発泡酒>その他の発泡性酒類』となっています。

『第3のビール』は、『その他の発泡性酒類』に入ります。より正確にいうと、その中の『リキュール(発泡性)(1)』に分類されます。

2014年5月まで製造していた旧『極ZERO』が、本来は『第3のビール』だったとしたら、サッポロビールは税率の適用を誤って、税金を払いすぎたことになります。その分は『更正の請求』の対象となりうるでしょう」

その「更正の請求」とは何だろう。

「更正の請求は、大まかにいうと、『払いすぎている分を返してほしい』と言うことです。

サッポロビールなどの酒類製造者は、毎月、製造場ごとに税務署長に納税申告書を提出して、酒税を納めます。

税率の適用の誤りなどによって、納めた税金が多すぎた場合には、その税額等を更正するように、税務官庁に求めることができます。これを『更正の請求』といいます」

つまり、税金が戻ってくる可能性はあるわけだ。

●税務官庁の調査結果しだい

戻ってくるかどうかのポイントは、どこにあるのだろうか?

「ポイントはあくまで『旧・極ZEROが第3のビールだったかどうか』です。更正の請求を受けた税務官庁が調査し、『旧・極ZEROが第3のビールだった』と判断すれば、115億円を『過誤納金』として、サッポロビールに還付することになるでしょう」

【取材協力弁護士】

大和 弘幸(やまと・ひろゆき)弁護士

やまと法律会計事務所 所長

事務所名:やまと法律会計事務所

事務所URL:http://yamato-law-accounting.com


(弁護士ドットコムニュース)

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