13360.jpg
「おいしそうだったので食べちゃいました」 他人が頼んだ回転寿司、横取りは何罪?
2023年01月17日 10時37分

回転寿司店でレーンを移動中の「他人のすし」を横取りして食べる様子を見せた動画がネットで拡散したことを受けて、該当の被害店舗と思われる「はま寿司」は警察に被害相談するなど強く問題視する姿勢を示している。

2023年1月にSNSで広まった動画では、若い男性客が、店のレーンを流れてきたすし2貫のうちの1貫を箸でとって食べる様子がうつっている。動画には「おいしそうだったので食べちゃいました」「#人の注文」などのテキストが書かれていた。

批判の声がSNS等で高まる中、はま寿司は警察に相談したことを認め、「模倣されることによって、ビジネスモデル自体が揺れ動いてしまうもので、非常に重く受け止めています」「毒性の高いものが混入される可能性もないわけではありません。ひどければ殺人につながるものもありえます」と強い懸念をみせた。

食べるだけではなく、そもそも人の頼んだすしに触れる行為もマナー違反だろう。このような行為は一般的に、どんな罪に問われるのだろうか。本間久雄弁護士に聞いた。

回転寿司店でレーンを移動中の「他人のすし」を横取りして食べる様子を見せた動画がネットで拡散したことを受けて、該当の被害店舗と思われる「はま寿司」は警察に被害相談するなど強く問題視する姿勢を示している。

2023年1月にSNSで広まった動画では、若い男性客が、店のレーンを流れてきたすし2貫のうちの1貫を箸でとって食べる様子がうつっている。動画には「おいしそうだったので食べちゃいました」「#人の注文」などのテキストが書かれていた。

批判の声がSNS等で高まる中、はま寿司は警察に相談したことを認め、「模倣されることによって、ビジネスモデル自体が揺れ動いてしまうもので、非常に重く受け止めています」「毒性の高いものが混入される可能性もないわけではありません。ひどければ殺人につながるものもありえます」と強い懸念をみせた。

食べるだけではなく、そもそも人の頼んだすしに触れる行為もマナー違反だろう。このような行為は一般的に、どんな罪に問われるのだろうか。本間久雄弁護士に聞いた。

●人の寿司を食べれば「窃盗罪」、動画拡散で店に影響あれば「偽計業務妨害罪」が考えられる

——店を被害者とした場合、他人が注文した寿司に触れたり、横取りしたりするような行為は、どのような罪に問われる可能性があるでしょうか

偽計業務妨害罪(刑法233条)と窃盗罪(刑法235条)が考えられます。

刑法で偽計業務妨害罪は「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する」と規定されています。

「偽計」とは、人を欺き、あるいは、人の錯誤・不知を利用したり、人を誘惑したりするほか、計略や策略を講じるなど、威力以外の不正な手段を用いることをいいます。

他人が注文したことが明らかな寿司を箸でとって食べることは、威力以外の不正な手段であるといえ、「偽計を用いて」に該当するといえそうです。

また、回転寿司店で他人が注文した寿司を箸で取って食べる行為を動画で撮ってSNSで拡散する行為によって、店舗側は多数の問い合わせに対応せざるを得なくなったり、再発防止のために店員による見回りを余儀なくされるなどすることから、「業務を妨害」に該当するでしょう。

次に、刑法235条の窃盗罪は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する」と規定しています。

「窃取」とは、財物の占有者(事実上の支配者・管理者)の意思に反して、その物を自己または第三者の占有下(支配下・管理下)に移すことをいいます。

レーンを移動中の寿司の占有は、店舗ないし注文者にあり、それを箸でとって食べることは、財物の占有者の意思に反して自己の占有下に移すことに該当し、窃盗罪が成立するものと考えられます。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る