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公立小教員の残業代訴訟、上告棄却 原告の教員「無賃残業を世の中に知って頂いた」
2023年03月13日 11時25分
#埼玉教員超勤訴訟

教員の時間外労働に残業代が支払われていないのは違法だとして、埼玉県内の市立小学校の男性教員が県に約242万円の未払い賃金の支払いを求めた訴訟の上告審で、最高裁判所は教員側の上告を棄却する決定をした。3月8日付。

男性は2017年9月〜18年7月までの間、校長の違法な時間外勤務命令によって、労働基準法32条に定める法定労働時間を超えて時間外勤務をおこなったとして、約242万円の割増賃金の支払いを求めていた。

教員の時間外労働に残業代が支払われていないのは違法だとして、埼玉県内の市立小学校の男性教員が県に約242万円の未払い賃金の支払いを求めた訴訟の上告審で、最高裁判所は教員側の上告を棄却する決定をした。3月8日付。

男性は2017年9月〜18年7月までの間、校長の違法な時間外勤務命令によって、労働基準法32条に定める法定労働時間を超えて時間外勤務をおこなったとして、約242万円の割増賃金の支払いを求めていた。

●争点は?

公立学校の教員は1972年に施行された「給特法」により、時間外勤務手当と休日勤務手当が支払われないことになっている。その代わり、基本給の4%に当たる「教職調整額」が支給されている。

「原則として時間外勤務を命じない」ことになっているが、正規の時間を超えて勤務させることができるのは、生徒の実習、学校行事、職員会議、災害など緊急事態からなる「超勤4項目」に限るとされている。

校長が教員に「超勤4項目」以外の事務について時間外勤務を命じた場合に、労働基準法37条に基づいて割増賃金を請求できるかどうかが主な争点となったが、東京高裁は「給特法は超勤4項目に限らず、教員のあらゆる時間外での業務に関し、労基法37条の適用を排除している」などと却下した。

●男性「これが日本の文化レベルだ」

男性は2018年9月、現役教員最後の年に訴訟を起こすことを決めた。裁判では毎回意見陳述をおこない、「私のやっている今の時間外勤務の仕事は、残業代を出すことに値しないのかを、裁判所をはじめ全国の皆さんに問いたい」と訴えかけた。いつしか支援者が列をなして傍聴に訪れるようになった。

上告棄却を受け、男性は自身のツイッターで「判決に対しては、これが日本の文化レベルだと感じました。裁判に対しては、教員の無賃残業を世の中に知って頂きうれしい結果になりました」と話した。

「教員の時間外勤務は間違えない事実です。事実に目を向ける事なく法解釈に終始する裁判官に問題があります。人を不幸にする法律になっていく過程が、裁判判決を詳しく分析することによって、今後は明らかにされて行くと思います」(男性のツイッター)

代理人の若生直樹弁護士は「教員が長時間の時間外労働を強いられているという、法の趣旨に反した実態があるにもかかわらず、最高裁が一切の救済を認めない判断を下したことは非常に残念です。もっとも、訴訟を通じて、教員の働き方の現状に一石を投じる意義はあったと感じています。引き続き、教員の長時間労働をなくしていくために必要なことを訴えていきたいと思っています」と話した。

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