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ツバメの巣作りを見守りたいが…鳥嫌い隣人から「取り壊し求める圧」、撤去義務ある?
2023年05月20日 09時08分

春の訪れとともに、各地でツバメが巣作りをする様子が、ニュースやSNSで取り上げられています。親鳥がせっせと餌を運ぶのをほほえましく受けとめる人もいますが、なかには「糞害」を心配する人もいるようです。

自宅にツバメの夫婦が巣を作ったことから、「鳥嫌いな隣人」とのトラブルを心配する相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は自分の子どもに、ツバメの巣作りや巣立ちを見せてあげたい気持ちもあって、「糞受け」を作るなどの対策をとりつつ、見守りたい考えです。

しかし、お隣さんから、鳥類に強いストレスを感じるのでツバメの巣を壊してほしいと、遠回しに伝えるような態度を感じたといいます。

「ご近所様との仲は良好に保っておきたいのですが、ツバメの夫婦が健気に泥を運んで少しずつ巣を作っているのを見ると、今更壊すのも気が引けてしまいます」

もしも隣人がもとめてきたら、巣を撤去しなければいけないのでしょうか。動物をめぐる問題にくわしい坂野真一弁護士に聞きました。

春の訪れとともに、各地でツバメが巣作りをする様子が、ニュースやSNSで取り上げられています。親鳥がせっせと餌を運ぶのをほほえましく受けとめる人もいますが、なかには「糞害」を心配する人もいるようです。

自宅にツバメの夫婦が巣を作ったことから、「鳥嫌いな隣人」とのトラブルを心配する相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は自分の子どもに、ツバメの巣作りや巣立ちを見せてあげたい気持ちもあって、「糞受け」を作るなどの対策をとりつつ、見守りたい考えです。

しかし、お隣さんから、鳥類に強いストレスを感じるのでツバメの巣を壊してほしいと、遠回しに伝えるような態度を感じたといいます。

「ご近所様との仲は良好に保っておきたいのですが、ツバメの夫婦が健気に泥を運んで少しずつ巣を作っているのを見ると、今更壊すのも気が引けてしまいます」

もしも隣人がもとめてきたら、巣を撤去しなければいけないのでしょうか。動物をめぐる問題にくわしい坂野真一弁護士に聞きました。

●ツバメの巣を撤去する義務は課されていない

——そもそも、自宅にツバメの巣を作られた場合、住人は自由に撤去できるのでしょうか

ツバメは鳥獣保護管理法で保護され、「鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等をしてはならない」(同法8条)とされています。違反者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められています(同法83条1項1号)。

ヒナや卵が存在するツバメの巣を撤去すると、同法8条に違反する危険性が高いですが、「産卵前」や「ヒナが巣立ったあと」のツバメの巣を撤去しても同条違反ではないと考えられます。

なお、住宅に営巣されたツバメの巣に関して、住人に撤去義務を定めている法律は、ないと思います。

ただし、極めて考えにくいのですが、相談者の方が借家に住んでいて、賃貸借契約に「ツバメの巣の撤去義務」が明記されている場合は、家主に対する契約上の義務として、ツバメの巣の撤去義務を負うことも可能性としてはありえます。

そのような場合であっても、卵やヒナがいる状態の巣の撤去は鳥獣保護管理法違反となるので、巣を撤去する際には「ヒナが巣立った後にする」などの注意が必要です。

●頼まれても応じる必要はないと考えられる

——ツバメの巣の撤去をお隣さんから求められたら、どうすべきでしょうか

相談事例のツバメの巣は1つで、糞害対策もとるようです。いくら隣人の方が鳥類を嫌いだとしても、受忍限度を超える被害を与える可能性はおそらくないものと考えます。

まだ卵もヒナもいない巣作り中の巣ですから、撤去しても鳥獣保護管理法に違反しないので、撤去するかどうかは、ご自身の判断で決めればよいでしょう。

ただ、お隣さんから巣の撤去を直接申し込まれている状況で、巣作りや子育てを見守りたいのであれば、お隣さんとの関係をこじらせないために、申入れを無視するのではなく、

(1)ツバメは鳥獣保護管理法で保護されており巣の中の卵の有無の確認も困難なので、下手に撤去すれば法律で罰せられる危険性がある
(2)ツバメの抱卵期間は約15日、ヒナを育てる期間は約20日と言われており、長期に及ぶことはないといわれている
(3)糞害対策をキチンとし、可能な限り隣家に迷惑をかけないように努める

などの説明をして理解を求めた方が、問題が生じにくいように思います。

なお、お隣さんから「ツバメの『飼い主』だから責任をとれ」などと指摘されたとしても、本件における相談者の方は「飼い主」ではないと考えられます。

「飼い主」とは、動物の所有者・占有者と考えられ、自治体のいわゆるペット条例の多くでも、そのように定義されています。相談事例のツバメは野生の鳥ですから、相談者の方が所有しているわけでも、事実上支配しているわけでもないからです。

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