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「男性は自由だったのか?」白河桃子さんが問う、日本のジェンダーギャップの根深い問題
2025年06月19日 10時31分
#さす九 #さすが九州 #ジェンダーギャップ

「さす九」とは「さすが九州」を意味するネットスラングで、「男尊女卑」の意識が根強いとされる九州地方(および出身者)を揶揄する言葉としてネットやSNSで広がる。

ジェンダー問題にくわしいジャーナリストで昭和女子大学客員教授の白河桃子さんは、全国的なジェンダーギャップの問題が背景にあると指摘する。

通常、女性の生きづらさとからめて語られるジェンダーギャップだが、それに苦しむのは、女性だけではない。ジェンダーギャップ解消をすすめることで築かれる社会は、男性も女性も生きやすくなると強調する。

「さす九」とは「さすが九州」を意味するネットスラングで、「男尊女卑」の意識が根強いとされる九州地方(および出身者)を揶揄する言葉としてネットやSNSで広がる。

ジェンダー問題にくわしいジャーナリストで昭和女子大学客員教授の白河桃子さんは、全国的なジェンダーギャップの問題が背景にあると指摘する。

通常、女性の生きづらさとからめて語られるジェンダーギャップだが、それに苦しむのは、女性だけではない。ジェンダーギャップ解消をすすめることで築かれる社会は、男性も女性も生きやすくなると強調する。

●“男らしさ”が男性を苦しめている

「私が講師を務める大学の授業で、生徒にアンケートを取ったところ、女性も男性も、アンコンシャスバイアス、つまり『押し付けられた〇〇らしさ』に苦しんでいました」

男性の場合は、成功やお金を稼ぐプレッシャー、車の運転やスポーツが上手くなきゃいけないプレッシャーなどがあるという。

「『マンボックス』というスケール(尺度)で、暴力性を伴うような有害な男らしさが強いと判定される人はメンタルヘルスに問題があるという研究結果があります。

つまり、稼がなければ、家長なんだから、尊敬されなければ、男性なんだからこうありなさいということを実現できないと、大きな苦しみになってしまうのです」

規範的な“男らしさ”が男性を苦しめていると指摘する。

「女性は『女性らしさ(ウーマンボックス)』の中にいると不利なわけです。お金も稼げないばかりなので、出ていきたいという動機があります。

男性の場合は『男性らしさ(マンボックス)』の中に入っておけば、昇進とかの下駄を履かせてもらえるというようなことがたくさんあるじゃないですか。

だから、苦しいと思ってもマンボックスの中にいなきゃいけないんです。

今は女性が動きはじめているけど、男性もそろそろ男性らしさから降りてもいいのではないか」

●格差をなくせば男性も女性も生きやすい

白河さんは、ジェンダーギャップの解消が男性も女性もメリットがあると話す。

「ジェンダーギャップの格差をなくしていこうとする社会は、女性だけじゃなくて男性も生きやすくなるよということなんですね。

ぜひ男性もそこを自分たちのためにも、そういったアンコンシャスバイアスとか、そういったものをね、どんどん払拭していってほしいなと思います」

例に挙げられたのは、親族の集まりで、男性は飲んでて、女性は台所にいるとか、男女の格差があるところで、男性が女性たちに『一緒に食べたら』と声をかけるようなことだった。

「それはすごい小さいことなんですけど、実は結構勇気がいるんですよ。

長年培われた風土や風習の外に勇気を持って出るってすごい大変なことなんだろうなとは思うんだけど、あえてそこをやってもらったらすごくいいと思います。

この前、熊本県の銀行でアンコンシャスバイアスの講演をしました。企業が女性活躍とかやってるけど、いまだにお茶汲みは女性の役割といったような風潮があるよねということがわかった。

そしたら頭取がその場でもうじゃあお茶くみやめて、ペットボトルを自分で持っていくことにしようと決めた。こうやって見た目の第1歩を変えるって本当に重要なところなんですよね」

白河さんが行く地方創生イベントでも、地方の登壇者の多くが男性に偏りやすいという。

「男性ばかりのパネルディスカッションのことを『マネル』と呼びます。

最近は、オファーをかけられた男性が、登壇するメンバーが男性ばかりだとわかると『男だけですね。僕は出ません』と言うことも結構あります。

ジェンダーバランスの悪いところに登壇する依頼が来たら、こうやって断るか、他の女性女性を推薦するという動きもあります」

●「これまで男性は自由だった?」最後の問いかけ

ジェンダーギャップの問題を克服するために、社会や地域はどのように変わっていくべきなのか。

白河さんはこう言う。

「重要なのは、ジェンダーギャップを解消すること自体が目的じゃないんですね。それはただの数字。ジェンダーギャップを解消して、皆さんが男性でも女性でもいくつの人でも、自分が望むような選択をできるような環境になることが目的なんですね」

具体的に、地方の問題は若い女性が出ていって少子化になってしまうとわかった。

「であれば、まずは当事者の声を聞きましょう。これはどこの県でもできることです。それなのに、女性を閉じ込めようみたいな施策をするところが結構あるんですよね。

まだまだそこはジェンダーギャップの問題がちゃんと本質的なところが理解されてないんだなと思います。

男性でも女性でも、自分の意思で選んでくれる、あるいは外に出たけど、良い場所だから帰ってきてくれる。そういうところを目指してほしいなと思ってます」

白河さんは、最後に、こんなことを語った。

「こんな話をしてていつも思うのは、じゃあ日本の男性ってこれまで自由だったのかなっていうことなんですよね。

男性にも、もしかしたら他の選択肢があったかもしれないけど、長男だからとか、家業があるからという理由で地元に帰ってきた人がいる。

女性のように経済的に落ち込むことはないけれど、男性も選択できなかったことをしたのかもしれない。そういった男性からの声っていうのも本当に無視できないなと思っています。

男性もこれは自分の自由意思だ、こういう選択なんだって納得してほしいですし、そしたら女性にもそれが当たり前だよねっていうふうになるんじゃないかなと思っています」

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