13454.jpg
電車内で「酒盛り」する集団に非難殺到――法律で取り締まれないの?
2013年09月15日 12時00分

電車内のマナー違反と言えば、携帯電話の通話やヘッドフォンの音漏れなどいくつかあるが、車内で「酒盛り」をするのはどうだろうか。

8月中旬、中年男性3~4人がビール片手に電車内で酒盛りをする画像がツイッターに投稿された。路線は分からないが、車内の様子からすると、新幹線や特急ではなく普通列車のようだ。中央の通路にテーブルのようなものを置き、その上に弁当のようなものを広げている。まるで居酒屋気分だ。

この画像はネット上ですぐに拡散し、「公共の場での酒臭さはタバコと同じぐらい不快」「通路塞ぐな」といった非難の声が挙がった。同じ車両にいた乗客も「迷惑だ」と感じていたかもしれない。こうした電車内の酒盛りを何らかの法律で取り締まることはできないものなのだろうか。鉄道にくわしい小島好己弁護士に聞いた。

●秩序を乱す乗客は「退去」させられる可能性も

「鉄道営業について規定した『鉄道営業法』42条1項4号の規定によれば、係員は、車内における秩序を乱す旅客を、車両外や鉄道敷地外に退去させることができる、とされています。ただし、この規定に罰則はないので、秩序を乱したとしても乗客が鉄道営業法による刑罰を受けることはありません」

――「退去」までいかなくても、単にそういった行為を禁止することもできる?

「鉄道は、不特定多数の旅客を、限られた空間に乗せて輸送する公共交通機関です。

したがって運送契約上、列車内で他の乗客に迷惑をかけたり、列車の円滑かつ安全な運行を阻害したりする、危険のある行為を鉄道会社は禁止できると思われます」

――車内での酒盛りは「秩序を乱す旅客」や「危険な行為」にあたる?

「単に缶ビールを飲みながら談笑する程度であればともかく、つまみを並べたテーブルを通路に置いての酒盛りとなると、車内の秩序を乱す行為あるいは危険な行為として、禁止あるいは列車外への退去の対象となりうると思われます」

――落ち着いて飲んでいたとしても?

「騒がずに飲んでいたとしても、テーブルで通路を塞げば、他の乗客の利用や乗務員の通行の妨げとなります。

また、緊急停止のときには、テーブルその他の物が飛び散って、他の乗客に危険が及ぶ場合もありますし、万一の場合には乗客の逃げ道を塞ぐ危険性まであります」

普通列車の車内に自前のテーブルを広げて飲み食いするのは、やり過ぎを超えて「危険」ということだろう。「どうしても車内で食事を」という人は、休暇をとって夜行列車の「北斗星」などに乗り、食堂車でのディナーを満喫するのがよさそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

電車内のマナー違反と言えば、携帯電話の通話やヘッドフォンの音漏れなどいくつかあるが、車内で「酒盛り」をするのはどうだろうか。

8月中旬、中年男性3~4人がビール片手に電車内で酒盛りをする画像がツイッターに投稿された。路線は分からないが、車内の様子からすると、新幹線や特急ではなく普通列車のようだ。中央の通路にテーブルのようなものを置き、その上に弁当のようなものを広げている。まるで居酒屋気分だ。

この画像はネット上ですぐに拡散し、「公共の場での酒臭さはタバコと同じぐらい不快」「通路塞ぐな」といった非難の声が挙がった。同じ車両にいた乗客も「迷惑だ」と感じていたかもしれない。こうした電車内の酒盛りを何らかの法律で取り締まることはできないものなのだろうか。鉄道にくわしい小島好己弁護士に聞いた。

●秩序を乱す乗客は「退去」させられる可能性も

「鉄道営業について規定した『鉄道営業法』42条1項4号の規定によれば、係員は、車内における秩序を乱す旅客を、車両外や鉄道敷地外に退去させることができる、とされています。ただし、この規定に罰則はないので、秩序を乱したとしても乗客が鉄道営業法による刑罰を受けることはありません」

――「退去」までいかなくても、単にそういった行為を禁止することもできる?

「鉄道は、不特定多数の旅客を、限られた空間に乗せて輸送する公共交通機関です。

したがって運送契約上、列車内で他の乗客に迷惑をかけたり、列車の円滑かつ安全な運行を阻害したりする、危険のある行為を鉄道会社は禁止できると思われます」

――車内での酒盛りは「秩序を乱す旅客」や「危険な行為」にあたる?

「単に缶ビールを飲みながら談笑する程度であればともかく、つまみを並べたテーブルを通路に置いての酒盛りとなると、車内の秩序を乱す行為あるいは危険な行為として、禁止あるいは列車外への退去の対象となりうると思われます」

――落ち着いて飲んでいたとしても?

「騒がずに飲んでいたとしても、テーブルで通路を塞げば、他の乗客の利用や乗務員の通行の妨げとなります。

また、緊急停止のときには、テーブルその他の物が飛び散って、他の乗客に危険が及ぶ場合もありますし、万一の場合には乗客の逃げ道を塞ぐ危険性まであります」

普通列車の車内に自前のテーブルを広げて飲み食いするのは、やり過ぎを超えて「危険」ということだろう。「どうしても車内で食事を」という人は、休暇をとって夜行列車の「北斗星」などに乗り、食堂車でのディナーを満喫するのがよさそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る