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「ジミー・ペイジとの契約、明らかにすべき」主催者に質問状を送った弁護士が語る
2016年11月17日 16時46分

11月11日に東京・両国国技館でおこなわれた音楽イベント「クラシック・ロック・アワード2016」で、ロックギタリストのジミー・ペイジさんが、プレゼンテーターとして登壇したものの、演奏しなかった問題が尾を引いている。

一部のファンが抗議して騒動になり、主催の「KLab Entertainment」(真田哲弥代表取締役)は11月14日に謝罪文をホームページに掲載したが、チケット代は返金しないとした。そうした状況から、客の一人としてイベントに参加した弁護士が、演奏がなかった理由の説明などを求めて、同社に質問状を送る事態に発展した。

質問状を送ったのは、札幌市の奥山倫行弁護士。ロックファンの奥山弁護士は当日、札幌から東京まで飛行機でやって来て、イベントに参加した。「ジミー・ペイジさんの演奏があることを楽しみにしていた」と話す。今回、どうしてして質問状を送ることに至ったのか。奥山弁護士に聞いた。

11月11日に東京・両国国技館でおこなわれた音楽イベント「クラシック・ロック・アワード2016」で、ロックギタリストのジミー・ペイジさんが、プレゼンテーターとして登壇したものの、演奏しなかった問題が尾を引いている。

一部のファンが抗議して騒動になり、主催の「KLab Entertainment」(真田哲弥代表取締役)は11月14日に謝罪文をホームページに掲載したが、チケット代は返金しないとした。そうした状況から、客の一人としてイベントに参加した弁護士が、演奏がなかった理由の説明などを求めて、同社に質問状を送る事態に発展した。

質問状を送ったのは、札幌市の奥山倫行弁護士。ロックファンの奥山弁護士は当日、札幌から東京まで飛行機でやって来て、イベントに参加した。「ジミー・ペイジさんの演奏があることを楽しみにしていた」と話す。今回、どうしてして質問状を送ることに至ったのか。奥山弁護士に聞いた。

●「事前にどういう取り決めがあったのか」

――なぜ質問状を送ったのか?

もともとロックが好きで、ジミー・ペイジさんは好きなアーティストの1人で、私もジミー・ペイジさんの演奏があることを楽しみにしていた「被害者」の一人だからです。事前のニュースリリースや真田氏のツイッターなどから、ジミー・ペイジとジェフ・ベックが共演することは間違いないと思っていました。

また、私がパーソナリティをつとめるコミュニティFMのラジオ番組で、今回の告知内容を前提として、2人の共演があることを話していました。ひょっとしたら、そのラジオを聞いて、当日イベントを観に行った人もいるかもしれません。そうした社会的責任を感じて、事実関係をはっきりさせたいと思いました。

――どんな事実関係を知りたいのか?

ジミー・ペイジさんと主催者との間で、出演に関する契約が結ばれていると思います。その中では、ジミー・ペイジさんが「演奏する・しない」ということが事前に取り決められていたはず。その部分を明らかにしてほしいと思います。

もし、最初から「演奏しない」ことになっていたにもかかわらず、「共演する」というニュースリリースを出していたのであれば、主催者側には法的責任が発生します。ジミー・ペイジさんの演奏を楽しみにしてチケットを購入したファンに対して、返金だったり、損害賠償に応じる義務が出てくるでしょう。

また、謝罪文(現在、削除されている)に書かれていたように、ジミー・ペイジさんが「演奏する」予定だったけれども、彼の都合で演奏がなかったならば、主催者側はジミー・ペイジさんに債務不履行責任を追及したうえで、ファンに説明する義務があると思います。

いずれにせよ、どんな契約内容だったのか明らかになることで、責任の所在が明確になるでしょう。

●「主催者の責任の有無が明確になってほしい」

――今回の行動はどんな意義があるのか?

一般的なイベントのチケットとしては高額ですが、それでも費用対効果を考えて訴訟や弁護士への依頼を躊躇して、泣き寝入りしている人たちもたくさんいるんじゃないかと思います。

実際、イベントが終わったあと、ジミー・ペイジさんが演奏しなかったことで肩を落としたり、怒って会場をあとにするファンをちらほらと見かけました。そういう人たちの無念を果たしたいと考えています。

一方で、私は主催者が憎いわけではありません。

一般論として、過去にも同じようなイベントがあったかもしれません。しかし、現在、今回のようなケースにおける主催者の責任のあり方が明確に確立されていません。

今回の出来事をきっかけとして、イベント主催者の責任の有無、範囲が明確になればいいと思います。裁判例など、明確な指針があれば、ファンとしても安心してイベントに参加できるようになりますし、主催者側も責任のとり方がわかりやすくなるでしょう。

これまでは責任があいまいで、主催者がどのような対応をすべきか明確ではありませんでした。現在のようにインターネット上で情報が流通していく中で、そのあたりが変わっていく必要があります。ファンにとっても主催者にとっても良い方向にむかうと思います。

(補足)「KLab Entertainment」が14日掲載の謝罪文を削除していることから、弁護士ドットコムニュースが17日、同社に取材を申込んだところ、同社は「コメントは控える」と回答した。

(弁護士ドットコムニュース)

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