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暴力団トップに暴対法の「使用者責任」 初適用、弁護士「責任の所在が明確になった」
2016年10月05日 10時07分

指定暴力団「極東会」の下部団体の男性から現金を脅し取られたとして、聴覚障害者27人が、極東会の元会長ら3人に損害賠償を求めていた裁判で、東京地裁は9月下旬、元会長らに対して、計約1億9700万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

報道によると、東京地裁の山田真紀裁判長は「(下部団体の)男は暴力団の威力を示して聴覚障害者から恐喝などで資金を獲得していた」「元会長は、男の不法行為について暴対法に基づく賠償責任を負う」と認めた。

今回の判決では、暴力団対策法が定めた指定暴力団の代表者への賠償責任規定が適用された。この規定に基づく訴訟で、司法判断が示されたのは初めてということだが、どんなときに適用されるのだろうか。伊田真広弁護士に聞いた。

指定暴力団「極東会」の下部団体の男性から現金を脅し取られたとして、聴覚障害者27人が、極東会の元会長ら3人に損害賠償を求めていた裁判で、東京地裁は9月下旬、元会長らに対して、計約1億9700万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

報道によると、東京地裁の山田真紀裁判長は「(下部団体の)男は暴力団の威力を示して聴覚障害者から恐喝などで資金を獲得していた」「元会長は、男の不法行為について暴対法に基づく賠償責任を負う」と認めた。

今回の判決では、暴力団対策法が定めた指定暴力団の代表者への賠償責任規定が適用された。この規定に基づく訴訟で、司法判断が示されたのは初めてということだが、どんなときに適用されるのだろうか。伊田真広弁護士に聞いた。

●「暴力団の事業」を証明しなくてもトップの責任を追求できる

「末端の暴力団員が第三者にくわえた損害の責任を、暴力団のトップに追及する場合、暴対法改正前は、民法715条の『使用者責任』を根拠にしていました。

しかし、この場合、暴力団員の行為が、『暴力団の事業』としておこなわれていたことなどを証明する必要がありました。

この点、改正後の暴対法では原則的に、(1)暴力団員が威力利用資金獲得行為をおこなって、(2)他人の生命、身体または財産を侵害したときは、(3)これによって生じた損害を暴力団の代表者などが負うと規定しています。

つまり、暴力団員が、脅迫など威力を利用して資金獲得行為をおこなった場合、その行為が『暴力団の事業』としておこなわれたことを証明しなくても、暴力団のトップに対して責任追及をすることができるようになったのです」

今回のケースについてはどうだろうか。

「暴対法の規定はあくまで『威力を利用』した場合の規定です。報道によると、今回のケースでも、恐喝行為と詐欺行為が問題になったようです。

このうち、恐喝行為については『威力を利用』した行為であるとして暴対法を適用しましたが、詐欺行為については威力を背景にしたと認められないという理由で暴対法に基づく責任は否定したとのことです。

ただし、詐欺行為についても『組の事業の一環だったというべき』との判断がなされて、民法715条に基づく請求が認められたようです」

今回の訴訟の意義はどこにあるのだろうか。

「これまでも暴対法の適用を前提にして、訴訟上の和解によって解決することはありました。ただ、和解の場合、暴力団トップの責任の所在を曖昧にしたままの解決ともいえます。

今回、和解でなく判決が出たことは、トップの責任の所在が明確になったという意味で大きな意義が認められると思います」

伊田弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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