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内定を辞退したら「サークルに迷惑がかかるぞ」 会社から脅されたらどうすればいい?
2014年06月02日 13時16分

来春卒業の大学生の就職活動では、すでに内定をもらったという人も多いだろう。複数の会社から内定をもらった人は、どれか一つの企業を選択して、残りは辞退する必要がある。そんな「内定辞退」をめぐって、トラブルも起きているようだ。

東京都内の大学に通うAくんもその一人だ。この春、同じ時期に2つの企業から内定をもらったAくんは、悩んだ末に、一方の企業の採用担当に電話で内定辞退を申し出た。ところが、その担当者から「辞退したら、君の所属するサークルに迷惑がかかることになるぞ!」と強く言われたのだという。

さらに、「君の所属サークルから来年度以降、内定者を出さない!」「うちに就職している君のサークルの先輩がどうなるか、わかっているのか!」と、たたみかけられた。結局、Aくんは担当者と直接会って説明し、なんとか内定辞退を了解してもらえたそうだ。

このように内定辞退を申し出た学生に対して、企業側の担当者が何らかの圧力をかけてきたり、強い姿勢で思いとどまらせるようとするのは、法的に問題ないのだろうか。労働問題にくわしい大川一夫弁護士に聞いた。

来春卒業の大学生の就職活動では、すでに内定をもらったという人も多いだろう。複数の会社から内定をもらった人は、どれか一つの企業を選択して、残りは辞退する必要がある。そんな「内定辞退」をめぐって、トラブルも起きているようだ。

東京都内の大学に通うAくんもその一人だ。この春、同じ時期に2つの企業から内定をもらったAくんは、悩んだ末に、一方の企業の採用担当に電話で内定辞退を申し出た。ところが、その担当者から「辞退したら、君の所属するサークルに迷惑がかかることになるぞ!」と強く言われたのだという。

さらに、「君の所属サークルから来年度以降、内定者を出さない!」「うちに就職している君のサークルの先輩がどうなるか、わかっているのか!」と、たたみかけられた。結局、Aくんは担当者と直接会って説明し、なんとか内定辞退を了解してもらえたそうだ。

このように内定辞退を申し出た学生に対して、企業側の担当者が何らかの圧力をかけてきたり、強い姿勢で思いとどまらせるようとするのは、法的に問題ないのだろうか。労働問題にくわしい大川一夫弁護士に聞いた。

●労働者には「辞める自由」がある

「『採用内定』の法的性格は、『就労始期付解約権留保付労働契約』だと言われています」

就労始期付解約権留保付労働契約。なんとも長くて、難しい名前だが・・・。

「まず、『就労始期付』というのは、労働が始まる時期が決められているという意味で、実際には翌年の4月から始まるということです。また、『解約留保権付』というのは、就労開始までの間に、学生の留年による卒業延期など就労に不都合な事実が判明した場合、企業から解約できるという意味です。そのような条件がついた『労働契約』ということですね」

しかし「契約」となると、内定をもらった学生が一方的に辞退できるのだろうか。

「それは可能です。『内定』は、条件つきの労働契約ですが、労働者にはいつでも『辞める自由』があります。そして、『内定辞退』は、労働者、すなわち、学生の側からの労働契約の解約です。これは、2週間の予告期間をおけば、自由に解約できるのです(民法627条1項)」

●内定辞退に対する圧力は「違法行為」となりうる

内定辞退が当然の権利ということになると、今回の事例のように、会社の採用担当者が学生に圧力をかけることは、違法行為になるのだろうか。

「ええ。自由に辞退できるものに対して、企業が圧力をかけて思いとどまらそうとするのは、明らかに違法になります。

もちろん、社会的に相当な範囲内で、内定辞退を思いとどまらせようと説得するのは、許されるでしょう。しかし、『サークルに迷惑がかかる』というのは、学生にとって、言わば一番弱い部分です。こういう言い方で思いとどまらせようとするのは、社会的に相当な範囲を超えているとして、違法といえるでしょう」

せっかく採用を決めた会社にとって、学生の内定辞退は痛手だろうが、大川弁護士は「そもそも労働者には『辞める自由』があるのですから、企業はそれを見越して新卒採用を決めるべきなのです」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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