13580.jpg
職場のPCで「アダルトサイト」閲覧、訪問先に「記録」が残ることでトラブルも
2016年06月09日 10時22分

福井県池田町は6月上旬、議会事務局長をつとめる50代男性のパソコンが、遠隔操作によって乗っ取られ、議会関係のデータを抜き取られた可能性があると発表した。

町によると、男性は6月3日昼ごろ、議会事務局のPCで、業務と関係ない「アダルトサイト」を閲覧した。午後3時ごろ、PCの画面に「あなたのパソコンはウイルスに感染しています」というメッセージと電話番号がポップアップ表示された。

男性はこの番号に電話をかけて、応答した男の指示を受けて「遠隔操作ファイル」をPCにダウンロード、インストールした。PCに入っていたのは、一般公開されているデータがほとんどだったが、漏えいすると問題となる情報が入っていた可能性もあるという。

町の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に、福井県警の調査が続いており、情報が流出したかどうか、不適切なサイト閲覧とポップアップ画面表示の関連などもはっきりしていないと説明した(6月8日段階)。

そもそも、職場のPCでアダルトサイトを閲覧するような行為は、法的に問題ないのだろうか。インターネット問題にくわしい深澤諭史弁護士が解説する。

福井県池田町は6月上旬、議会事務局長をつとめる50代男性のパソコンが、遠隔操作によって乗っ取られ、議会関係のデータを抜き取られた可能性があると発表した。

町によると、男性は6月3日昼ごろ、議会事務局のPCで、業務と関係ない「アダルトサイト」を閲覧した。午後3時ごろ、PCの画面に「あなたのパソコンはウイルスに感染しています」というメッセージと電話番号がポップアップ表示された。

男性はこの番号に電話をかけて、応答した男の指示を受けて「遠隔操作ファイル」をPCにダウンロード、インストールした。PCに入っていたのは、一般公開されているデータがほとんどだったが、漏えいすると問題となる情報が入っていた可能性もあるという。

町の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に、福井県警の調査が続いており、情報が流出したかどうか、不適切なサイト閲覧とポップアップ画面表示の関連などもはっきりしていないと説明した(6月8日段階)。

そもそも、職場のPCでアダルトサイトを閲覧するような行為は、法的に問題ないのだろうか。インターネット問題にくわしい深澤諭史弁護士が解説する。

●懲戒の対象になる可能性

「勤務時間中に、職場のPCでアダルトサイトを閲覧することは、犯罪でありませんし、直接何らかの法律に違反するとまでいうことは難しいでしょう。

しかし、就業規則違反(公務員であれば、法律や規則違反)ということで、懲戒の対象になる可能性はあります。

就業規則には通常、(1)就業時間中は仕事に専念しないといけない、(2)会社の設備は会社の業務のためだけに使い、目的外に使ってはいけない、といった趣旨の定めがあります。

職場のPCでアダルトサイトを閲覧することは、就業時間中に勤務に専念するという義務に違反していますし、職場の設備を業務以外に利用することになるので、就業規則に違反すると評価することができるでしょう。ただ、懲戒の可否と程度は難しい問題があります」

●「常に見られているかもしれない」と意識すべき

法的な問題以外にもリスクは存在している。職場のパソコンを使うときに気をつけるべきことはなんだろうか。

「職場のPCに限らないのですが、アダルトサイトは、閲覧者の後ろめたさなどを逆手にとったワンクリック詐欺などの温床となっています。安易にクリックしてページをすすめるべきではなく、架空請求などにも気をつけるべきでしょう。

また、法律から離れますが、事実上の問題として、アクセスの記録が残るということがあります。職場、つまり会社との関係でもそうですし、訪問先のウェブサイトとの関係でもそうです。

特に、『訪問先に記録が残る』という点には注意が必要です。ご存じでない方も多いのですが、インターネットは、ウェブサイトを訪問しただけで、訪問先に記録が残ります。職場のPCつまり職場の回線ですと、会社専用の回線だと外部に情報が公開されているものもあります。特に、大きな会社ではそうなっていることがあります。

そういう回線でアクセスすると、サイトの管理者に『●●社からアクセスがあった』と知られて、思わぬトラブルに発展しかねません。アダルトサイトのほか、反社会性のあるサイトなどの閲覧は控えるべきでしょう」

深澤弁護士はさらに次のように警鐘を鳴らしていた。

「インターネットは気軽にいろんなことができます。職場でアダルト本を広げるのは、かなり勇気がいることで、そんなことをする人は滅多にいないと思いますが、アダルトサイトの閲覧は、それよりもハードルを低く感じてしまうかもしれません。

しかし、今回のケースに限らず、インターネット上での行為は、リスクが大きいことも多いです。特に、先ほどの本のたとえでいえば、本を開いたことは記録に残ることは滅多にありませんが、インターネットでは記録に残らないほうが珍しいです。

常に見られているかもしれない、記録されているかもしれない、という意識が大事だと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る