13676.jpg
外国で「テロ遭遇」 死亡やケガの補償は受けられるか?
2013年01月29日 19時35分

アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件。プラント大手「日揮」の駐在員が拘束され、10人が死亡するという痛ましい結果となった。

もし、外国での駐在や旅行中にテロに遭遇し、死亡や怪我、拘束されるなどした場合、賠償は受けられるのか。保険はおりるのだろうか。佐藤篤志弁護士に聞いた。

●海外での事件・事故は「加害者」に請求するのは難しい

「アルジェリアの事件被害者の皆様には、ご冥福をお祈りします。あまりにも痛ましい結果で安易に取り上げるべきかとも思いますが、確かに他人事ではない問題でもあるので、コメントさせていただきます。

海外での事件・事故は、海外であるがゆえに、加害者に請求するのは現実的に難しいといえます。テロの場合であれば尚更なので、損害が生じた場合は、旅行保険等でカバーすることになると思われます。

その点、各損保会社から、旅行者向けの海外旅行保険が出ていますので、渡航前に旅行保険を契約するケースが多いでしょう。

海外旅行保険では、テロ行為による被害は、約款で『免責事項』とされ、その保険では補償されないことも多いのですが、なかには、『戦争等は除くものの、テロは補償する』という商品もあります。したがって、契約する際には約款をよく確認しておきたいところです。

また、海外赴任者向けには旅行保険をアレンジした商品があるので、基本的には同様に考えて良いと思われます。特に危険な地域に行く場合などは、会社でも社員の安全に備えて保険をかけていると思いますので、会社の担当者によく確認しておくべきでしょう。

なお、渡航前に外務省のサイトなどで安全情報をよく確認することと、渡航先でも危険なエリアには近づかないなど、安全な日本とは違う自己防衛の意識を持つこと、が被害を防ぐためには重要かと思います」

これからの季節、2月から3月にかけては、「卒業旅行」と称して海外に長期間の旅行に出かける大学生も多いだろう。テロにあわないように注意すると同時に、万が一のときに備えて、旅行保険の中身を確認して適切な保険をかけておくのが大切だといえそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件。プラント大手「日揮」の駐在員が拘束され、10人が死亡するという痛ましい結果となった。

もし、外国での駐在や旅行中にテロに遭遇し、死亡や怪我、拘束されるなどした場合、賠償は受けられるのか。保険はおりるのだろうか。佐藤篤志弁護士に聞いた。

●海外での事件・事故は「加害者」に請求するのは難しい

「アルジェリアの事件被害者の皆様には、ご冥福をお祈りします。あまりにも痛ましい結果で安易に取り上げるべきかとも思いますが、確かに他人事ではない問題でもあるので、コメントさせていただきます。

海外での事件・事故は、海外であるがゆえに、加害者に請求するのは現実的に難しいといえます。テロの場合であれば尚更なので、損害が生じた場合は、旅行保険等でカバーすることになると思われます。

その点、各損保会社から、旅行者向けの海外旅行保険が出ていますので、渡航前に旅行保険を契約するケースが多いでしょう。

海外旅行保険では、テロ行為による被害は、約款で『免責事項』とされ、その保険では補償されないことも多いのですが、なかには、『戦争等は除くものの、テロは補償する』という商品もあります。したがって、契約する際には約款をよく確認しておきたいところです。

また、海外赴任者向けには旅行保険をアレンジした商品があるので、基本的には同様に考えて良いと思われます。特に危険な地域に行く場合などは、会社でも社員の安全に備えて保険をかけていると思いますので、会社の担当者によく確認しておくべきでしょう。

なお、渡航前に外務省のサイトなどで安全情報をよく確認することと、渡航先でも危険なエリアには近づかないなど、安全な日本とは違う自己防衛の意識を持つこと、が被害を防ぐためには重要かと思います」

これからの季節、2月から3月にかけては、「卒業旅行」と称して海外に長期間の旅行に出かける大学生も多いだろう。テロにあわないように注意すると同時に、万が一のときに備えて、旅行保険の中身を確認して適切な保険をかけておくのが大切だといえそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る