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脱走した「四国犬」に児童ら12人が次々と襲われる…飼い主が問われる罪は?
2024年02月09日 10時12分
#ペット #過失傷害罪

群馬県伊勢崎市の公園で2月7日、体長130センチの「四国犬」が12人に噛みつく事故が起きました。報道によると、犬は2つの公園で子ども9人と大人3人に次々と噛みついて、このうち5人が搬送されたといいます。

また、噛みついた犬は普段、犬舎で過ごしていたそうですが、事故当時は脱走していたとみられています。今回の事故で、飼い主は法的な責任を問われるのでしょうか。本間久雄弁護士に聞きました。

群馬県伊勢崎市の公園で2月7日、体長130センチの「四国犬」が12人に噛みつく事故が起きました。報道によると、犬は2つの公園で子ども9人と大人3人に次々と噛みついて、このうち5人が搬送されたといいます。

また、噛みついた犬は普段、犬舎で過ごしていたそうですが、事故当時は脱走していたとみられています。今回の事故で、飼い主は法的な責任を問われるのでしょうか。本間久雄弁護士に聞きました。

⚫️過失が問われる条件とは?

——今回の事故で、飼い主が法的責任を問われる可能性はありますか。

飼い主の過失が重い場合は、重過失傷害罪(刑法211条)、そうでなければ過失傷害罪(刑法209条1項)が成立する可能性があります。重過失傷害罪は5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金です。過失傷害罪は、30万円以下の罰金または科料となっています。

過失犯が成立するためには、不注意な行為が必要です。そしてどのような場合に、不注意が認められるかというと、以下の3つの要件が必要になります。

(1)その状況下で行為者に注意義務があったこと
(2)行為者がその注意義務を怠ったこと
(3)行為当時、行為者が注意義務を履行することが可能であったこと

注意すべき義務があったのに、それを怠った場合、不注意だということです。さらに、この注意義務は、法令・契約・慣習・条理などのさまざまな根拠から生じます。

ーー今回、犬舎から犬が逃げ出し、公園で次々と人に噛みついたと報道されています。

犬の噛みつき事故の場合、さまざまな事情が考慮されます。

たとえば、その犬が愛玩犬か闘犬かでも危険度は変わりますし、その犬が鎖に繋がれていたかという管理状況、被害者が乳幼児か成人かなど、事故によって状況はケースバイケースです。

これらを検討し、注意義務があったかなかったか、また、その程度が設定され、設定された注意義務に違反したかどうかが問われることになります。

⚫️民事上の責任は?

ーー今回、噛みつかれた被害者が飼い主に損害賠償請求することは可能でしょうか。

民法718条1項は、自分の占有する動物が他人に損害を与えた場合の責任について、以下のように規定しています。

「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない」

今回報道にあるように、犬舎から犬が脱走していた場合、飼い主が相当の注意をしていたとは考えにくいことから、民法718条1項の責任を負うと考えられます。被害者らは、飼い主に損害賠償請求をおこなうことは可能です。

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