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フィリピン人女性、元勤務先に預けた「パスポート」ようやく返還される
2020年08月25日 17時10分

預けたパスポートなどを返してもらえないとして、30代のフィリピン人女性が、勤め先だった行政書士事務所の代表者を相手取り、パスポートなどの返還と慰謝料、未払い賃金の支払いをもとめた訴訟の第3回口頭弁論が8月25日、横浜地裁であった。

行政書士事務所の代表者がこの日、女性のパスポートや大学の卒業証明書、成績証明書、優良証明書を返還した。前回の口頭弁論で、裁判官が、卒業証明書などを返還するよう提案して、行政書士事務所の代表者がその提案を受け入れたかたちだ。

口頭弁論終了後、女性は「書類が返還されてよかった」と話した。一方で、代表者は今年3月、女性側を相手取り、損害賠償をもとめて反訴しており、原告の残りの請求も含めて、このあとも審理がつづく。

預けたパスポートなどを返してもらえないとして、30代のフィリピン人女性が、勤め先だった行政書士事務所の代表者を相手取り、パスポートなどの返還と慰謝料、未払い賃金の支払いをもとめた訴訟の第3回口頭弁論が8月25日、横浜地裁であった。

行政書士事務所の代表者がこの日、女性のパスポートや大学の卒業証明書、成績証明書、優良証明書を返還した。前回の口頭弁論で、裁判官が、卒業証明書などを返還するよう提案して、行政書士事務所の代表者がその提案を受け入れたかたちだ。

口頭弁論終了後、女性は「書類が返還されてよかった」と話した。一方で、代表者は今年3月、女性側を相手取り、損害賠償をもとめて反訴しており、原告の残りの請求も含めて、このあとも審理がつづく。

●パスポートを預ける契約を結んでいた

訴状などによると、女性は2017年4月に来日して、日本語学校を卒業した。

女性は2019年5月、「アドバンスコンサル行政書士事務所」(横浜市)で、アルバイト(のちに有期1年の契約社員)として働きはじめた。入所の際、パスポートや大学の卒業証明書、成績証明書などを預ける契約書に署名したが、その内容は十分に理解できていなかったという。

すぐに労働条件に疑問を抱いて、女性は同年7月、退職とパスポートなどの返還をもとめたが、同事務所はいずれも拒否した。女性は今年1月、パスポートなどの返還と慰謝料、未払い賃金の支払いなどをもとめて横浜地裁に提訴した。

女性側は、パスポートなどを預かる行為は(1)「移動の自由」を制限して、事実上、精神的・身体的に拘束された状態となるので、女性の意思に反して、労働を強制するものといえる、(2)したがって、「やむを得ない事由」があったといえるので、労働契約の解除は有効だ――などと主張している。

パスポートは再発行することになったが、大学の卒業証明書や成績証明書などの返還がされていなかったため、女性側はさらに今年7月、卒業証明書などの返還をもとめて仮処分の申し立てをおこなっていた。

●代表者「契約自由の原則にもとづく契約により管理しているから違法性はない」

行政書士事務所の代表者はこの日、法廷で陳述しようとしたが、準備書面が仮処分に対応するものだったので、「陳述扱い」とはならないものの、次のような持論を展開した。

「憲法で『移動の自由』が保障されているが、政府の暴走を防ぐためのものであり、私人間の紛争では適用されない」

「法令に反しない限りは、どのような契約でも有効だ。たとえば殺人契約は、法令に反するから違法だが、消極的な安楽死は、本人の同意があれば違法ではない。つまり、殺人契約であっても有効だ。

殺人契約でも有効なのだから、どのような契約をするかは、法令に反しない限り、当事者に委ねられている。契約自由の原則にもとづくパスポート管理契約により、本人の意思にもとづいて管理していたので、違法性はない」

「有期労働契約は『やむを得ない事由』がないかぎり退職できない。(女性は)転職を理由にやめたいと主張しているから、『やむを得ない事由』はない。もし転職したいのであれば、1年間の契約ではなく、1カ月の契約をすべきだった。自分の意思で転職できない契約を選択したのだから、強制されたものではない」

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