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法的には「モノ」扱い ペットの交通事故死、慰謝料が認められるのはどんなとき?
2018年05月20日 09時57分

愛するペットが交通事故で亡くなってしまったらーー。大切な家族とはいえ、動物は人間ではない。法的には、ペットの事故死はどのような位置付けられるのか。

「愛犬にリードを装着して散歩しておりましたが、愛犬が轢き殺されました」。ある飼い主が、弁護士ドットコムの法律相談にそう質問を寄せた。

「子ども以上に大切に育ててきました。死んだ子は帰って来ないので誠意をもって償ってもらいたい」と悲痛な声をあげる。リードをつけ、飼い主の側を歩いており、「飛び出しはない」。つまり飼い主にも愛犬にも過失はないと訴える。

そこで「この子の供養のためにも」として、加害者に対して、慰謝料を請求したいと考えている。しかし、交通事故で動物が死んだ場合、人間と同様に慰謝料が認められるのか。渡邉正昭弁護士に聞いた。

愛するペットが交通事故で亡くなってしまったらーー。大切な家族とはいえ、動物は人間ではない。法的には、ペットの事故死はどのような位置付けられるのか。

「愛犬にリードを装着して散歩しておりましたが、愛犬が轢き殺されました」。ある飼い主が、弁護士ドットコムの法律相談にそう質問を寄せた。

「子ども以上に大切に育ててきました。死んだ子は帰って来ないので誠意をもって償ってもらいたい」と悲痛な声をあげる。リードをつけ、飼い主の側を歩いており、「飛び出しはない」。つまり飼い主にも愛犬にも過失はないと訴える。

そこで「この子の供養のためにも」として、加害者に対して、慰謝料を請求したいと考えている。しかし、交通事故で動物が死んだ場合、人間と同様に慰謝料が認められるのか。渡邉正昭弁護士に聞いた。

●社会通念に照らして飼い主の慰謝料請求を認めている

ーー民法では、動物は「動産」と位置付けられていますが、今回は「慰謝料を請求したい」という相談が寄せられています。

ペットは家族の一員であり、かけがえのない存在です。そのペットが理不尽な死に方をしたり、重傷を負ったりした場合には、相談者のように「供養のために慰謝料を請求したい」という気持ちが芽生えるのは、ごく自然な感情です。

ーー裁判では、飼い主のその意向をどのように判断するのでしょうか。

裁判では、飼い主の精神的苦痛が主観的な感情にとどまらず、社会通念に照らして、損害賠償をもって慰謝されるべきと判断すれば、飼い主の慰謝料請求を認めています。人間が被害者となった場合にも、被害者が亡くなったり、重症だったりすると、近親者による慰謝料請求が認められることがあります。ペットの場合も、その趣旨は同じです。

●人間に比べて、ペットの慰謝料額は相対的に低い

ーー人間と同様に判断されるということでしょうか。

ご推察の通り、必ずしもそうではありません。ペットに関する慰謝料請求は消極的に捉えられるなど、人間の場合とは異なる解釈がされています。

ペットが、家族の一員でありかけがえのない存在であったとしても、ペット自体からの慰謝料請求は認められていません。また、飼い主がペットの介護のために仕事を休んだとしても休業損害が認められることは難しいです(その代わり慰謝料増額事由となる可能性があります)。ペットの傷害が治療によって回復しているような場合は飼主の精神的苦痛はその分軽減されるので慰謝料額も減額される傾向にあります。

このように、被害者に直接的な慰謝料(後遺障害慰謝料も含む)請求が認められる人間の場合と比べてみると、ペットに関する慰謝料は必ずしも人間と同様には判断されていません。しかし、解釈上の限界はあるものの、ペットの場合にも可能な限り飼い主による慰謝料請求を認めていこうとするのが実務であると言えます。

(弁護士ドットコムニュース)

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