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飲食店で奇声を上げ料理投げる子ども、スマホ見て注意しない親…清掃に30分以上、店主の本音「出禁にしたい」
2024年05月06日 08時36分

「常連客を出禁にしたい」

ある飲食店の経営者から、弁護士ドットコムにそんな相談が寄せられました。その飲食店に訪れる親子連れの常連客が、「ありえないほど席を汚していく」といいます。

経営者によると、子どもたちは乳児から小学生まで4人で、奇声を上げたり、食べ物で遊んだりするそうです。料理の入った器を投げることもあり、テーブルだけでなく床や壁も汚れるとのことです。清掃には30分以上かかるといいます。

しかし、両親は軽く口で注意はするものの、スマホをいじっていることが多く「片付けも一切しないそうです。「子どもだから仕方ないと今まで目をつむってきましたが、限界です」と経営者は困り果てた様子です。

経営者は常連客だけに穏便に、入店を断りたいと考えているそうです。こうした迷惑客のトラブル、どう対応したらよいのでしょうか。西村裕一弁護士に聞きました。

「常連客を出禁にしたい」

ある飲食店の経営者から、弁護士ドットコムにそんな相談が寄せられました。その飲食店に訪れる親子連れの常連客が、「ありえないほど席を汚していく」といいます。

経営者によると、子どもたちは乳児から小学生まで4人で、奇声を上げたり、食べ物で遊んだりするそうです。料理の入った器を投げることもあり、テーブルだけでなく床や壁も汚れるとのことです。清掃には30分以上かかるといいます。

しかし、両親は軽く口で注意はするものの、スマホをいじっていることが多く「片付けも一切しないそうです。「子どもだから仕方ないと今まで目をつむってきましたが、限界です」と経営者は困り果てた様子です。

経営者は常連客だけに穏便に、入店を断りたいと考えているそうです。こうした迷惑客のトラブル、どう対応したらよいのでしょうか。西村裕一弁護士に聞きました。

●「出禁」は経営者に許されている権利

——店の経営者は迷惑客を「出禁」にすることは可能なのでしょうか。

経営者には、自分のお店でどのようなお客様にサービスを提供するのかを選択する権利があります。

これは、民法の基本的なルールである「契約自由の原則」からきています。

具体的には、誰と契約をするのか、その逆で誰と契約しないのかを自由に決めることができるというものです。

そのため、迷惑客について、以後「サービスの提供をしない=契約しない」と伝えることは可能です。これがいわゆる「出禁」に該当するでしょう。

また、経営者には、飲食店内の管理権があります。店内の雰囲気、秩序を維持する必要から、問題のある客に退店を求めることも可能です。

飲食店ではありませんが、ホテルなどについては旅館業法が改正され、2023年12月13日からカスハラがあった迷惑客の宿泊を拒否することができることが定められています。

●相手は常連客…穏便に伝えるには?

——経営者はできるだけ穏便に済ませたいと思っているとのことですが、常連客にどのように伝えたらよいか、配慮すべき点をお教えください。

今回のケースは常連客ということで、経営者の方も非常に悩ましいと思います。

いきなり出禁にすると一方的に伝えることは、常連客側としても反発を招きやすく、トラブルになる可能性が高いでしょう。

実際に掃除をされる前に、お客さんと一緒に店内の状態を確認し、「次同様のことがあった場合には、心苦しいところもあるがご来店を断らざるを得なくなります」と伝えて注意をしていただくことを検討すべきでしょう。その上で店員さんに店内の写真を撮影してもらっておくとよいでしょう。

他のお客さんにも同様のルールでお話ししていることを理解してもらうためにも、迷惑行為があった場合には入店をお断りすることがある旨、店内に貼り紙をするなどの対策も一つの方法です。

子どものしたことだからという言い分も理解はできますが、許容できる限度があるのは当然です。

SNSでの口コミや店内で動画を撮影してすぐにアップロードされてしまう時代なので、飲食店の経営者にとっては大変な状況ではありますが、カスタマーハラスメントについては、社会的にも問題視されてきていますので、法整備などの今後の動向にも注視が必要です。

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