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まだ見かける?「シャコタン」「鬼キャン」愛車の改造はどこまでOKか
2016年11月27日 09時05分

自動車の車高を低くする「シャコタン(車高短)」などの、ローダウン改造。暴走族の全盛期だった1980年代と比べるとその数は減っているが、今でも愛好家の一部で根強い人気を誇っている。

サスペンションなどを改造して車高を低くするシャコタンのほかに、「キャンバー角(車を正面から見たときのタイヤの傾き)」を極端にして車高を低くする「鬼キャン」と呼ばれる改造もある。

こうした改造については、安全性の面などから問題視する声もあるが、法的には問題はないのか。道交法に詳しい長瀬佑志弁護士に聞いた。

自動車の車高を低くする「シャコタン(車高短)」などの、ローダウン改造。暴走族の全盛期だった1980年代と比べるとその数は減っているが、今でも愛好家の一部で根強い人気を誇っている。

サスペンションなどを改造して車高を低くするシャコタンのほかに、「キャンバー角(車を正面から見たときのタイヤの傾き)」を極端にして車高を低くする「鬼キャン」と呼ばれる改造もある。

こうした改造については、安全性の面などから問題視する声もあるが、法的には問題はないのか。道交法に詳しい長瀬佑志弁護士に聞いた。

●「ローダウン改造」の全てが違法となるわけではない

「結論から言えば、全てのローダウン改造が違法となるわけではありませんが、国交省が定めた保安基準に適合しない場合は、道路運送車両法に違反することになります」

長瀬弁護士はこのように述べる。どんな基準が定められているのか。

「自動車は、国土交通省令で定める保安上、または公害防止その他の環境保全上の技術基準に適合するものでなければなりません。

道路運送車両法の保安基準では、自動車の車高(最低地上高)については、9センチメートル以上であることが必要とされています。

また、タイヤの位置については、『道路運送車両の保安基準の細目を定める告示』につぎのように規定されています。

『自動車が直進姿勢をとった場合において、車軸中心を含む鉛直面と車軸中心を通りそれぞれ前方30°及び後方50°に交わる2平面によりはさまれる走行装置の回転部分(タイヤ、ホィール・ステップ、ホィール・キャップ等)が当該部分の直上の車体 (フェンダ等)より車両の外側方向に突出していないもの』

難しい言い回しをしていますが、簡単に言えば、車を正面から見たときに、タイヤがフェンダーよりも外にはみ出しているような場合は基準に適合していないことになります。

したがって、『シャコタン』や『鬼キャン』といった改造を施した結果、あまりにも車高が低くなってしまい、最低地上高を満たさなくなってしまうと、道路運送車両法に違反することになってしまいます。また、『鬼キャン』を施した結果、車輪が車体からはみ出してしまっても、違法となる可能性があります」

違法になった場合、ペナルティはあるのか。

「不正改造等の禁止(道路運送車両法99条の2)に該当し、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

また、運輸局長から保安基準に適合する状態に整備するよう命令を受けたり、車の使用を停止するよう命令を受ける可能性があります(同法54条の2)。これらの命令に従わない場合にも罰則が用意されています。

基準に適合するかどうかの計測方法は、保安基準の細目で細かく定められています。全ての改造が違法となるわけではありませんが、どの程度の改造であれば許されるのか、よく相談してから行う必要があるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

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