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ASKA、覚せい剤とMDMAの両方を所持?「二つの薬物」で罪も二倍?
2014年05月23日 16時24分

「CHAGE and ASKA」のASKA(本名:宮崎重明)容疑者が覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕された事件が、連日メディアをにぎわせている。警察の調査だと、ASKA容疑者の尿からは、覚せい剤と合成麻薬「MDMA」の陽性反応が出たそうだ。

MDMAはエクスタシーとも呼ばれる薬物で、視覚や聴覚に作用し、依存性が強いとされる。覚せい剤と似た化学物質の構成で、覚せい剤と併用する者もいるという。いずれも禁止薬物だが、適用される法律は違う。

覚せい剤は「覚せい剤取締法」で、MDMAは「麻薬取締法」で規制されている。なぜ、このような区別がされているのだろうか。また、覚せい剤とMDMAの両方を所持していた場合、一般的に罪は重くなるのだろうか。冨宅恵弁護士に聞いた。

「CHAGE and ASKA」のASKA(本名:宮崎重明)容疑者が覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕された事件が、連日メディアをにぎわせている。警察の調査だと、ASKA容疑者の尿からは、覚せい剤と合成麻薬「MDMA」の陽性反応が出たそうだ。

MDMAはエクスタシーとも呼ばれる薬物で、視覚や聴覚に作用し、依存性が強いとされる。覚せい剤と似た化学物質の構成で、覚せい剤と併用する者もいるという。いずれも禁止薬物だが、適用される法律は違う。

覚せい剤は「覚せい剤取締法」で、MDMAは「麻薬取締法」で規制されている。なぜ、このような区別がされているのだろうか。また、覚せい剤とMDMAの両方を所持していた場合、一般的に罪は重くなるのだろうか。冨宅恵弁護士に聞いた。

●覚せい剤とMDMAを持っていれば「2つの法律に違反する」

「日本では、規制の対象となる薬物に応じて、法律が定められています」

取り締まる法律がいくつもあるということか?

「そうですね。今回問題になっている『覚せい剤取締法』は、覚せい剤や覚せい剤原料の所持や使用等を取り締まる法律です。

また、コカインや合成薬物のMDMA等の『麻薬』と、睡眠薬や精神安定剤、中枢神経興奮剤等の『向精神薬』などは、麻薬取締法(麻薬および向精神薬取締法)で規制されています。

これら以外にも、薬物規制に関する法律としては、あへん法や大麻取締法、毒物及び劇物取締法、薬事法があります」

それでは、覚せい剤とMDMAを持っていた場合、2つの法律に違反することになるのだろうか?

「はい。今回の事件のように、覚せい剤とMDMAを所持していた場合は、覚せい剤取締法と麻薬取締法のそれぞれで、処罰を受けることになります。

覚せい剤を自分のために使ったり、そのために所持した場合、法定刑は10年以下の懲役とされています。同様にMDMAの場合は7年以下の懲役です」

そうなると、覚せい剤で最大10年、MDMAで最大7年の合計最大17年になる?

「いえ、そうではありません」

このように冨宅弁護士は言う。どういうことだろうか。

「刑法では、裁判で確定していない2個以上の罪がある場合、『併合罪』とすると定められています。併合罪とされれば、量刑は、2個以上ある罪のうち『最も重い刑』の1.5倍までになります」

ちょっとやややこしいが、たとえば「懲役10年以下」の罪と「懲役8年以下」の罪の両方を犯した場合、2つの刑を足して「懲役18年以下」になるのではなく、重いほうの「懲役10年以下」を1.5倍して「懲役15年以下」になるということだ。

「今回のようなケースでは、覚せい剤取締法違反の『10年以下の懲役』が最も重い罪となりますので、最高でも15年の懲役刑になります」

したがって、覚せい剤とMDMAを両方持っていた場合、覚せい剤だけの所持よりも、重い刑が科せられる可能性があるわけだ。

●初犯なら「執行猶予」になりやすい

では、こうした薬物事件で、裁判官が刑の重さを判断するとき、どんな点が重視されるのだろうか。

「薬物犯罪の量刑判断においては、『初犯であるか、再犯であるか』が非常に重視されています。薬物犯罪の再犯率は非常に高く、裁判所は2度目以降については厳罰で臨むという姿勢です。

一般的には、普通の人が入手できないような大量の薬物が発見されたのでなく、再犯でもないという場合であれば、執行猶予が付される可能性が非常に高い傾向があります」

(弁護士ドットコムニュース)

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