14295.jpg
伊勢谷さん逮捕で「紀里谷さん」に風評被害…名前の「混同ツイート」に法的責任は?
2020年09月11日 16時10分

俳優の伊勢谷友介さんが大麻取締法違反の疑いで逮捕されたことをめぐり、映画監督の紀里谷和明さんが、とんだとばっちりを食らっている。

紀里谷さんは9月9日、ツイッター上で、伊勢谷さんの名前と混同されて「大変迷惑している」と投稿した。そのうえで「その多くが誤解であったと気付いたツイートですが、それすら気づかず、そのままの認識の人達が世の中にいると思うとゾッとします。実害が発生する可能性もあり、厳重に対処していきます」とつづった。

さらに紀里谷さんは「情報をきちんと確認しないままの発信は一般人であろうと勘違いではすまされません」「既に弁護士チームを発動させています」「数日中に削除されない場合は、IPアドレス開示の仮処分手続きに入り、手順を踏んで損害賠償請求までやります」とつづけている。

紀里谷さんは、映画監督デビュー作「CASSHERN」(キャシャーン)に伊勢谷さんを起用したことがある。また、紀里谷(きりや)と伊勢谷(いせや)は、たしかに似てなくもないが、間違えるほどではないように思える。インターネットの権利侵害問題に取り組む中澤佑一弁護士に聞いた。

俳優の伊勢谷友介さんが大麻取締法違反の疑いで逮捕されたことをめぐり、映画監督の紀里谷和明さんが、とんだとばっちりを食らっている。

紀里谷さんは9月9日、ツイッター上で、伊勢谷さんの名前と混同されて「大変迷惑している」と投稿した。そのうえで「その多くが誤解であったと気付いたツイートですが、それすら気づかず、そのままの認識の人達が世の中にいると思うとゾッとします。実害が発生する可能性もあり、厳重に対処していきます」とつづった。

さらに紀里谷さんは「情報をきちんと確認しないままの発信は一般人であろうと勘違いではすまされません」「既に弁護士チームを発動させています」「数日中に削除されない場合は、IPアドレス開示の仮処分手続きに入り、手順を踏んで損害賠償請求までやります」とつづけている。

紀里谷さんは、映画監督デビュー作「CASSHERN」(キャシャーン)に伊勢谷さんを起用したことがある。また、紀里谷(きりや)と伊勢谷(いせや)は、たしかに似てなくもないが、間違えるほどではないように思える。インターネットの権利侵害問題に取り組む中澤佑一弁護士に聞いた。

●勘違いであっても「法的責任」は発生する

――伊勢谷さんと紀里谷さんを混同したツイートは削除しないとダメなのでしょうか?

逮捕されたと名指しされた場合、人違い、かつ、本当は逮捕されていないのであれば、名誉毀損など、人格権が侵害されていると言えます。

そこで、紀里谷さんとしては、人格権に基づいて、その記述について削除請求をすることができます、法的な判断としては、投稿者やその記述を掲載しているウェブサイト側に削除義務が生じます。

――勘違いでもダメなのでしょうか?

まず、削除義務という点においては、投稿者の主観的な故意や過失は、考慮外の事情ですので、勘違いで投稿したことを理由に削除義務を免れるということはありあません。

損害賠償責任についても、"故意または過失により"という要件ですので、勘違いであっても賠償義務は認められます。

刑事上の責任(刑罰)については、「故意」の点が問題となりますが、法的な細かい議論は飛ばして、結論だけ言えば、今回のような勘違いの場合は、犯罪の成立を否定する事情にはならず、犯罪が成立すると考えられるでしょう。

――その他のポイントは?

作家・投資家の山本一郎さんが、自分宛てに、政治家の山本太郎さんに対する非難や中傷が大量にメールされることをブログに書いていました。

今回のケースのような、よく確認しない人による何となくの勘違いを発端にした誹謗中傷や名誉毀損というのは、思っている以上にインターネットにあふれているのかもしれません。

繰り返しになりますが、勘違いであっても法的な責任は発生します。そして、何より相手にとってはとんでもない迷惑ですので、自身が発信する情報に責任を持つことはインターネットを利用するうえで重要です。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る