14325.jpg
人をはねた運転手、被害者の「大丈夫」を信じて立ち去ったら「ひき逃げ」になる理由
2017年06月25日 09時52分

兵庫県伊丹市で6月9日に起きた交通事故がネットで話題になっている。自転車に乗った女子高生が車にはねられたというものだが、ドライバーが車を降りて声かけまでしているのに「ひき逃げ犯」として捜査されているのだ。

読売テレビによると、女子高生が西から交差点に進入したところ、北から走ってきた乗用車に出合い頭にはねられたという。女子高生は、車を降りてきた中年女性に対し、「大丈夫」と返答。これを受けて、ドライバーが現場を立ち去ったところ、警察から「ひき逃げ犯」として、追われることになってしまった。なお、女子高生は帰宅後、肩に痛みを感じて病院へ搬送された。鎖骨が折れていたとのことだ。

今回、被害者を無視して走り去ったわけではないのに、どうしてひき逃げになってしまうのか。ドライバーはどうすれば良かったのか。星野学弁護士に聞いた。

兵庫県伊丹市で6月9日に起きた交通事故がネットで話題になっている。自転車に乗った女子高生が車にはねられたというものだが、ドライバーが車を降りて声かけまでしているのに「ひき逃げ犯」として捜査されているのだ。

読売テレビによると、女子高生が西から交差点に進入したところ、北から走ってきた乗用車に出合い頭にはねられたという。女子高生は、車を降りてきた中年女性に対し、「大丈夫」と返答。これを受けて、ドライバーが現場を立ち去ったところ、警察から「ひき逃げ犯」として、追われることになってしまった。なお、女子高生は帰宅後、肩に痛みを感じて病院へ搬送された。鎖骨が折れていたとのことだ。

今回、被害者を無視して走り去ったわけではないのに、どうしてひき逃げになってしまうのか。ドライバーはどうすれば良かったのか。星野学弁護士に聞いた。

●珍しくないパターン「重ければ懲役刑になることも…」

実はこのパターンは少なくありません。「ひき逃げ」というと、何か積極的に事故現場から逃走する様子をイメージしてしまいます。しかしながら、交通事故を起こしたドライバーには、負傷者を救護する義務(救護義務)とともに、交通事故の発生を警察官らに報告する義務(報告義務)が科されています(道路交通法72条)。

それらの義務を果たさず事故現場から立ち去っただけで、救護義務違反・報告義務違反として刑事処罰の対象となってしまうのです。ケガが軽ければ罰金程度でしょうが、重ければ懲役刑もあり得ます。

道路交通法は、救護義務・報告義務を科す場合の「交通事故」について、「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊」と定めています(同法67条2項)。しかし、被害の程度は問題にされません。したがって、被害者がまったくケガをしていないことが明らかなような場合でもなければ、たとえケガが軽微だとしても、被害者が自力で歩行できたとしても、運転者は救護義務・報告義務を果たさなければなりません。

●交通事故のケガ、症状が遅れて出ることも…「警察官の指示に従って」

本件では、被害者が「大丈夫」と答えたそうです。しかし、運転者はケガの有無についてきちんと確認をしていなかったようです。また、実際に鎖骨が折れていたのですから、事故の程度も被害者がまったくケガをする可能性のない程度というわけではなかったと考えられます。

そうすると、運転者としては、たとえ被害者が「大丈夫」と答えたとしても、その言葉を鵜呑みにするのではなく、きちんと車を降りて被害者にケガがないかを確認する必要があります。

また、交通事故のケガは事故発生直後には症状が出なくてもその後に症状が出ることがありますから、きちんと警察に事故発生の報告をして、到着した警察官の指示に従わなくてはなりません。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る