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猛暑のコミケで「救護室」に運ばれる人が続出・・・「満員」のとき主催者の責任は?
2013年08月13日 11時45分

東京ビッグサイトで8月10日から12日まで開催された日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)84」。今年は過去最高の59万人が来場したが、記録的な猛暑に見舞われ、熱中症とみられる症状で「救護室」に運び込まれる人が続出した。

インターネットのまとめサイト「NAVERまとめ」には、「【速報】コミケ救護室が満員でパンク 今倒れたら救護出来ない #c84」というページが作られ、コミケ会場の惨状が伝えられた。それによると、熱中症で倒れる人があまりにも多すぎて、救護室がいっぱいになってしまい、スタッフが来場者に対して「どうか倒れないでください!」と痛切な呼びかけをおこなっていたのだという。

コミケの公式サイトによると、ボランティアの医師や看護師が常駐する救護室が設けられているが、「学校の保健室程度の簡単な対処しかできません」ということだ。では、来場者が熱中症で倒れたが、救護室が満員のために適切な処置ができなかった場合、コミケの運営者に法的な責任は生じるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

●救護室が満員になってしまうことが、事前に「予見」できたかどうかが問題

「法的には、コミケの運営者に、『安全配慮義務違反』や『不法行為責任』が認められるかという形で問題になります。そして、法的責任が認められるかどうかは、具体的な事実関係によります」

このように秋山弁護士は説明する。では、コミケ運営者の責任を判断する際、具体的にどのような事情が考慮されるのだろうか。

「たとえば、過去の同じイベントでの入場者数や連日開催のイベントの前日までの状況等から、イベント当日に『非常な混雑』が予想される場合があります。また、天気予報等から、イベント会場が『高温多湿の蒸し風呂状態』になることが予想される場合もあるでしょう。

そのような状況から、イベント当日に熱中症にかかって倒れる入場者が続出し、十分な救護体制が取れないことが前もって容易に予見できる場合には、運営者に法的責任が認められやすくなります」

つまり、熱中症患者が大量に発生し、救護室が満員になってしまうことが事前に予見できるかどうかが、一つのポイントということだ。

●運営者にどのような対応が実際に可能だったのか?

もう一つ、ポイントになるのが、運営者の対応に関する側面だ。

「また、運営者にどのような対応が可能だったのか、実際にどんな対応をしたのかも、重要な判断材料になります。たとえば、水分補給や休憩など熱中症予防を入場者に呼びかけたり、待機する医師や看護師を増やし救護室の規模を拡大したり、入場制限を敷いたりといった対応が、現実的に可能だったのかということが問題になります。その上で、実際にどこまでの対応をしたかが考慮されます」

このような事実関係を材料にして、コミケの運営者に法的な責任があるかどうかが判断されるというわけだ。ただ、救護室に運び込まれた人のなかには、睡眠不足の状態で来場したり、水分補給を怠るなど、本人に落ち度がある場合もあるだろう。そのような場合は、どうなるのか。

「仮に運営者の責任が認められたとしても、熱中症にかかった入場者にも『過失』があると認められる場合には、『過失相殺』によって、生じた損害のうち一定の割合については、自己責任となる場合もあります」

この夏のコミケは酷暑のなかで開かれたにもかかわらず、史上最大の来場者が訪れた。その分、救護室に運び込まれる人の数も例年よりも多くなってしまったのかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

東京ビッグサイトで8月10日から12日まで開催された日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)84」。今年は過去最高の59万人が来場したが、記録的な猛暑に見舞われ、熱中症とみられる症状で「救護室」に運び込まれる人が続出した。

インターネットのまとめサイト「NAVERまとめ」には、「【速報】コミケ救護室が満員でパンク 今倒れたら救護出来ない #c84」というページが作られ、コミケ会場の惨状が伝えられた。それによると、熱中症で倒れる人があまりにも多すぎて、救護室がいっぱいになってしまい、スタッフが来場者に対して「どうか倒れないでください!」と痛切な呼びかけをおこなっていたのだという。

コミケの公式サイトによると、ボランティアの医師や看護師が常駐する救護室が設けられているが、「学校の保健室程度の簡単な対処しかできません」ということだ。では、来場者が熱中症で倒れたが、救護室が満員のために適切な処置ができなかった場合、コミケの運営者に法的な責任は生じるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

●救護室が満員になってしまうことが、事前に「予見」できたかどうかが問題

「法的には、コミケの運営者に、『安全配慮義務違反』や『不法行為責任』が認められるかという形で問題になります。そして、法的責任が認められるかどうかは、具体的な事実関係によります」

このように秋山弁護士は説明する。では、コミケ運営者の責任を判断する際、具体的にどのような事情が考慮されるのだろうか。

「たとえば、過去の同じイベントでの入場者数や連日開催のイベントの前日までの状況等から、イベント当日に『非常な混雑』が予想される場合があります。また、天気予報等から、イベント会場が『高温多湿の蒸し風呂状態』になることが予想される場合もあるでしょう。

そのような状況から、イベント当日に熱中症にかかって倒れる入場者が続出し、十分な救護体制が取れないことが前もって容易に予見できる場合には、運営者に法的責任が認められやすくなります」

つまり、熱中症患者が大量に発生し、救護室が満員になってしまうことが事前に予見できるかどうかが、一つのポイントということだ。

●運営者にどのような対応が実際に可能だったのか?

もう一つ、ポイントになるのが、運営者の対応に関する側面だ。

「また、運営者にどのような対応が可能だったのか、実際にどんな対応をしたのかも、重要な判断材料になります。たとえば、水分補給や休憩など熱中症予防を入場者に呼びかけたり、待機する医師や看護師を増やし救護室の規模を拡大したり、入場制限を敷いたりといった対応が、現実的に可能だったのかということが問題になります。その上で、実際にどこまでの対応をしたかが考慮されます」

このような事実関係を材料にして、コミケの運営者に法的な責任があるかどうかが判断されるというわけだ。ただ、救護室に運び込まれた人のなかには、睡眠不足の状態で来場したり、水分補給を怠るなど、本人に落ち度がある場合もあるだろう。そのような場合は、どうなるのか。

「仮に運営者の責任が認められたとしても、熱中症にかかった入場者にも『過失』があると認められる場合には、『過失相殺』によって、生じた損害のうち一定の割合については、自己責任となる場合もあります」

この夏のコミケは酷暑のなかで開かれたにもかかわらず、史上最大の来場者が訪れた。その分、救護室に運び込まれる人の数も例年よりも多くなってしまったのかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

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