14574.jpg
GACKTさんがパリで受けた「人種差別」 日本のレストランで起きたら、どうなる?
2015年04月10日 11時36分

ミュージシャンのGACKTさんがパリのホテルで「露骨な人種差別」に遭ったとブログマガジンで明らかにして、議論を呼んでいる。

3月30日に掲載されたブログマガジンによると、GACKTさんは、3月の終わりにパリに立ち寄った際、1人で朝食を取ろうとホテル内のビュッフェに入った。GACKTさんは入口近くの眺めのいい席に座ったが、店員に奥の席へ行くよう告げられ、仕方なく席を移った。

ところが、後から店に入ってきた白人客が、GACKTさんがさっきまで座っていたテーブルに着席したにもかかわらず、店員は何も言わなかったそうだ。

その後も店側は、アジア系の客を奥の席に通し、白人の客を窓際の席に通していたため、GACKTさんは人種差別だと確信したという。ブログマガジンに「こんな風に未だに(差別が)残ってるんだな・・・」と記していた。

外国人旅行客が増え、日本の飲食店でもさまざまな人種の人を見かける機会が多くなった。もし、同じような対応が日本の飲食店で行われた場合、なにか法的な問題が生じるだろうか。石井龍一弁護士に聞いた。

ミュージシャンのGACKTさんがパリのホテルで「露骨な人種差別」に遭ったとブログマガジンで明らかにして、議論を呼んでいる。

3月30日に掲載されたブログマガジンによると、GACKTさんは、3月の終わりにパリに立ち寄った際、1人で朝食を取ろうとホテル内のビュッフェに入った。GACKTさんは入口近くの眺めのいい席に座ったが、店員に奥の席へ行くよう告げられ、仕方なく席を移った。

ところが、後から店に入ってきた白人客が、GACKTさんがさっきまで座っていたテーブルに着席したにもかかわらず、店員は何も言わなかったそうだ。

その後も店側は、アジア系の客を奥の席に通し、白人の客を窓際の席に通していたため、GACKTさんは人種差別だと確信したという。ブログマガジンに「こんな風に未だに(差別が)残ってるんだな・・・」と記していた。

外国人旅行客が増え、日本の飲食店でもさまざまな人種の人を見かける機会が多くなった。もし、同じような対応が日本の飲食店で行われた場合、なにか法的な問題が生じるだろうか。石井龍一弁護士に聞いた。

●憲法は「法の下の平等」を定めているが・・・

「日本国憲法は『法の下の平等』を定めています。人種や国籍によって差別されない権利は何人にも保障される基本的人権です。この権利は性質上、日本にいる外国人にも保障されると考えられています」

石井弁護士はこのように述べる。そうすると、日本のレストランが、来店した外国人に対して、人種によって異なった対応をすれば、人権侵害になるのだろうか。

「憲法は『国家と国民』との関係を定めています。今回のような店と客という『私人と私人』の関係には、直接的には適用されません。

私人はそれぞれに権利があって、その間の調整には、民法をはじめとする私法が適用されることになっています」

●民法の「不法行為」にあたる可能性

すると、今回のケースも、私人同士ということで、問題はないということだろうか。

「今回のケースでは、どの客をどの席に案内しようが店側の自由だ、という考え方もあり得るでしょう。

しかし、私人と私人との間においても、基本的人権を保障する憲法の趣旨からして、ある私人の行為が、他の私人の基本的人権を侵害するような場合は、民法上の不法行為が成立することがあると考えられています。

つまり、何の合理的理由もないのに、ただ人種や国籍の違いを理由として眺望のよい席に案内しない、という店側の行為は、民法上の不法行為にあたる可能性があります。

その場合、店側は差別的扱いを受けた客の精神的苦痛に対して、慰謝料を支払う義務があります。

実際、日本において、外国人の入浴を拒否した銭湯に対し、外国人客に対する慰謝料の支払いを命じた裁判例もあります」

石井弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る