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花粉症で運転中に「くしゃみ」連発、ハンドル操作誤り死亡事故…罪は軽減される?
2017年12月25日 09時58分

愛媛県今治市で2017年4月、車2台が正面衝突して、4人が死傷する事故が発生した。一方の車を運転していた男性が11月30日、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)で松山地裁今治支部に在宅起訴されたと読売新聞が報じた。花粉症の症状で前方を注視しにくい状態で車を運転し、くしゃみの連続でハンドル操作を誤り、対向車線にはみ出たという。

ネット上では、花粉症で目がかすんだり、くしゃみが止まらずに運転が危なくなった体験談が数多く投稿されている。また症状を抑えるために飲んだ薬の影響で、眠気が起きることもあるが、通勤のために、やむを得ずに運転することもあるようだ。

薬の副作用も含めて、花粉症の影響で交通事故を起こした場合、罪が軽減されることはないのだろうか。中村友彦弁護士に聞いた。

愛媛県今治市で2017年4月、車2台が正面衝突して、4人が死傷する事故が発生した。一方の車を運転していた男性が11月30日、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)で松山地裁今治支部に在宅起訴されたと読売新聞が報じた。花粉症の症状で前方を注視しにくい状態で車を運転し、くしゃみの連続でハンドル操作を誤り、対向車線にはみ出たという。

ネット上では、花粉症で目がかすんだり、くしゃみが止まらずに運転が危なくなった体験談が数多く投稿されている。また症状を抑えるために飲んだ薬の影響で、眠気が起きることもあるが、通勤のために、やむを得ずに運転することもあるようだ。

薬の副作用も含めて、花粉症の影響で交通事故を起こした場合、罪が軽減されることはないのだろうか。中村友彦弁護士に聞いた。

●「正常運転できないおそれ」あり、道交法で禁止

「道路交通法66条では、病気、薬物の影響をその他の理由により、正常な運転ができないおそれのある状態で車両等を運転してはならないと定めています。

花粉症自体がこの道交法66条の『病気』に該当し、治療のために処方された薬による眠気等の影響があった場合には『薬物』にも該当します。そして症状や治療の影響により、車両を正常に運転するのに必要な注意力を欠くおそれがある場合には、『正常な運転ができないおそれのある状態』とされます。

正常な運転ができないおそれがある状態の場合には、道交法66条は車両の運転を禁止しておりますので、これを怠たり交通事故を起こせば法的責任を負うことになります」

花粉症の影響で罪が軽減される可能性はないのか。

「花粉症(や治療)の影響があったことで、罪が軽減されることはないと思われます。私も花粉症であり、花粉症の苦しみは分かりますが、自らの体調を把握して運転しない等の対処が事前に可能ですし、運転を誤れば重大な事故を引き起こす可能性がある自動車を運転する以上、慎重さが求められます。花粉症であることが、軽減されることを期待するのは、甘い考えと言わざるをえません」

●重い責任が問われる

花粉症の影響のもと、交通事故を起こした場合、民事、刑事でそれぞれどのような責任を問われるのか。

「民事では、不法行為に基づく損害賠償責任を負い、被害者に生じた損害を償う必要があります。花粉症(や治療)の影響があったことは、被害者とは関係がないですし、加害者が運転しないなどの対処もできたわけですから責任が軽くなることはないでしょう。

刑事では、交通事故の内容にもよりますが、被害者がいる事故の場合には、この記事の冒頭の松山地裁今治支部の件でも挙げられている過失運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)に問われる可能性があります。

過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意を怠って事故を起こし、人を死傷させた場合に成立し、罰則は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金とされています。被害者がいない場合には過失運転致傷は成立しませんが、道交法66条違反により、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となる可能性があります」

(弁護士ドットコムニュース)

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