全日空の旅客機内で、飛行中に乗客がドアを開けようとする騒ぎがあったと報じられています。
米CNNなどによると、騒ぎがあったのは羽田発ヒューストン行きのANA114便。この騒ぎにより、同機は行き先を変更して、ワシントン州シアトルに着陸しました。
その後、乗客はシアトルの空港から病院へ運ばれましたが、予期せぬ行き先変更に苛立った別の乗客が機内でトイレのドアを殴るなど暴れ出し、シアトルで「排除」されるなど、二次トラブルも発生したそうです。
旅客機はその後、無事にヒューストンに着いたそうですが、ドアを開けようとした乗客、さらに暴れた乗客は、どのような責任に問われるのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。
⚫︎日本の法律で裁かれる?
刑法1条には「国内犯について、日本国内で罪を犯したすべての者に適用する」とあり、1条2項には「日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする」と明記されています。
つまり、日本の航空機が領空を超えて、海外に入っていたとしても、その機内で発生した犯罪は、日本の刑法によって裁かれるとされているのです。
⚫︎公共交通機関内の行為は重大事件とされる
航空機のドアを開けようとした乗客は、飛行中の安全を脅かす行為として、航空法73条の 3違反(安全阻害行為)や威力業務妨害罪(刑法234条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)に問われる可能性があります。
機内で暴れた乗客についても、同じく威力業務妨害罪、航空法違反、暴行罪(刑法208条、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金など)等に該当し、被害者がいれば刑事・民事の両面で責任を問われます。
⚫︎損害賠償をアメリカで提訴され、より多額になることも
ドアを開けようとした乗客については民事上、航空会社に対する遅延・緊急着陸費用や、他の乗客への慰謝料等、民法709条の不法行為に基づく損害賠償責任が発生します。金額も多額になります。
緊急着陸先が今回のようにアメリカの空港であった場合、アメリカの空港当局が実損(人件費、滑走路閉鎖等)について、アメリカで民事訴訟を起こす可能性もあります。
公共交通機関内での犯罪行為は、重大事件とされます。飛行機というルールを守らないと危険な場所で他人に迷惑を掛けると大変なことになると言えるでしょう。