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Vtuber事務所「ホロライブ」ゲーム実況、著作権侵害申し立てで削除 カプコン「企業が利益上げるなら、使用許諾を取って」
2020年08月06日 16時44分

「ホロライブプロダクション」に所属するバーチャルYouTuber(VTuber)らが、YouTubeに投稿・配信していた「ゲーム実況」動画を次々と削除・非公開にしたことについて、「モンスターハンター」シリーズで知られる大手ゲーム会社「カプコン」(大阪市)は著作権侵害の申し立て、動画削除の手続きを実施していたことを認めた。

カプコンは8月6日、弁護士ドットコムニュース編集部の取材に「企業として利益を上げる限りは、使用許諾を取ってご使用頂きたいと考えております」と答えた。

「ホロライブプロダクション」に所属するバーチャルYouTuber(VTuber)らが、YouTubeに投稿・配信していた「ゲーム実況」動画を次々と削除・非公開にしたことについて、「モンスターハンター」シリーズで知られる大手ゲーム会社「カプコン」(大阪市)は著作権侵害の申し立て、動画削除の手続きを実施していたことを認めた。

カプコンは8月6日、弁護士ドットコムニュース編集部の取材に「企業として利益を上げる限りは、使用許諾を取ってご使用頂きたいと考えております」と答えた。

●事態の経緯

ネット上では7月末から、ホロライブ所属のVtuber「大神ミオ」によるゲームの実況動画が、Youtubeから削除されたとして話題になっていた。

最初に削除されたのはカプコンの「ゴーストトリック」だったが、これと前後して、大神ミオを含むホロライブ所属のVtuberらが次々と、複数メーカーのゲーム実況動画の一部を削除・非公開とした。

●カプコン「削除は事実」と認める

削除・非公開の扱いとした動画のなかには、カプコンの「モンスターハンター」や「バイオハザード」シリーズのゲーム実況もあった。

カプコンは8月6日、編集部の取材に、大神ミオによるゴーストトリックのゲーム実況動画について、著作権侵害の申し立て・削除申請をしたことを「事実です」と認めた。

「本件に限らず、企業が当社の許諾なしに配信した動画に対しては、著作権法に則り適切に対処しております」

カプコンは公式サイトで「個人」によるゲーム実況のガイドライン(著作物に関するQ&A)を公表しているが、今回はVtuberを「個人」としてではなく、「対企業」としての対応がなされたことになる。

一方で、ホロライブの複数のVtuberが、同社の配信動画を削除・非公開としていることには「当社からの働きかけではございません。7月30日のカバー社発表をご参照ください」とする。

7月30日、カバー社は「タレント数名のYouTubeアーカイブにおきまして、権利者様の許諾を得られていない著作物を使用したコンテンツが残っており、著作権法違反のご指摘を受け、一部コンテンツが削除される状況」(編注:タレントとはVTuberのこと)と発表。

そのように報告された事態の原因が「弊社側の管理不足ならびに管理不行き届きによるもの」として謝罪。全タレントのコンテンツを対象に、非公開や削除対応を実施したうえで、許諾を得られているものに限って公開しているという。

なお、カバー社は8月5日の公式ツイッター投稿で、大神ミオの活動休止を伝え、改めて謝罪している。

●6月にも無許諾配信で謝罪していた

カバー社は6月5日には、「弊社における無許諾配信の不手際のお詫びと今後の対応につきまして」とするリリースも発表していた。

この中で、一部企業をのぞき、「任天堂」やほかの企業の著作物を利用したゲーム配信を、法人として無許諾で配信していたことを認め、任天堂からは非収益化にすれば「現時点において非公開にしなくてよい」との回答を得たとする(その後、任天堂の著作物利用に関する包括的使用許諾契約を8月1日付けで締結した)。

任天堂以外の企業のゲームについては、配信許諾の可否について確認をしている状況だと報告していた。

●ゲーム実況の環境整備は課題

カプコンは、現在のゲーム実況を取り巻く環境に関して「企業として利益を上げる限りは、使用許諾を取ってご使用頂きたいと考えております」ともコメントを寄せた。

このように、企業による無許諾のゲーム実況が問題になる一方、メーカーと実況の両サイドが手を取り合う動きも進む。

ゲーム実況のVtuberプロダクション「にじさんじ」を運営する「いちから」は8月3日、セガと著作物に関する包括的許諾契約の提携を発表。同社は6月、任天堂と同様の契約を結んでいた。

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