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タレントが 不愉快な「モノマネ」 本人は芸人を訴えられるか?
2013年04月04日 14時21分

モノマネをされて、「おいしい」と喜ぶタレントもいるだろうが、もしそれが本人にとって不愉快なものであったらどうだろう。

AKBのモノマネでブレイク中の「キンタロー。」さんだが、出演当初は一部のAKBファンから大反発をくらっていた。「お尻を出しても嫌いにならないでください!」──週刊誌にスクープされた、前田敦子さんの泥酔騒動をネタにしたことも、当時反感を買った理由のひとつだろう。

近頃では、俳優の市原隼人さんが、モノマネ芸人に対して、「役者を馬鹿にしてなめてるとしか思えない」などと、ブログで嫌悪感を示している。もっとも、モノマネなんて、真似された本人が眉をひそめるくらい痛烈でなければ、面白くないのだが・・・。

モノマネされる側のタレント本人にとっては、とても不愉快で、自分のイメージを損ねると考えるときもあるだろう。その場合、タレントは、モノマネによって名誉を毀損されたなどとして、なんらかの賠償を請求することができるのだろうか。桑野雄一郎弁護士に聞いた。

●「著作権法上は、損害賠償を請求することは難しい」

「モノマネ」とは、その名の通り、人の声やしぐさを真似する芸である。ということは、モノマネされたタレントからすれば、「その人固有の芸」を勝手に使われているようにも見えるだろう。これは、著作権を侵害しているとは言えないのだろうか。

「漫才のネタをまるごとマネしたりすれば、著作権侵害になり得るでしょうが、モノマネでよく使われるような短いフレーズ、瞬間芸の類(たぐい)は一般的には著作物とはいえないので、著作権侵害にあたらない場合が多いでしょう。

また、タレントは著作権法上は実演家と位置づけられ、『著作隣接権』の一つである実演家の権利が認められています。実演家の権利には、自分の実演を録音・録画する権利(録音・録画権)が含まれています。

しかし、モノマネはタレント本人の実演を録音・録画して利用しているわけではありませんので、侵害にはあたりません」

このように説明したうえで、桑野弁護士は「著作権法上は損害賠償を請求することは難しいと言わざるを得ません」と話す。

●あまりにも本人を誹謗中傷した「モノマネ」だと、損害賠償が認められることも

それではタレントが、「不愉快なモノマネ」に対して、なんらかの賠償を請求することができるないのだろうか。桑野弁護士は、有名人の氏名などが持つ経済的権益を本人が独占できる権利である「パブリシティ権」を引き合いに出す。

「ロック歌手の矢沢永吉さんが、『そっくりさん』を相手に、氏名の『パブリシティ権』侵害を理由に損害賠償を請求して提訴した事件があります。報道によると和解で解決したということですが、一般的なモノマネはパブリシティ権侵害にもあたらない場合が多いでしょう」

つまり、桑野弁護士によると、「モノマネは直ちに違法だとはいえません」ということだ。一方、桑野弁護士は次のように付け加える。

「ただ、あまりにもタレント本人を誹謗中傷したり、名誉を棄損したりするようなモノマネについては、不法行為(民法709条)に基づき損害賠償が認められる場合もあるでしょう」

このように、よほどひどい内容でない限りは、モノマネは違法ということではないようだ。視聴者としては、モノマネされたタレント本人でも笑うことができる愉快な芸を期待したいところだ。

(弁護士ドットコムニュース)

モノマネをされて、「おいしい」と喜ぶタレントもいるだろうが、もしそれが本人にとって不愉快なものであったらどうだろう。

AKBのモノマネでブレイク中の「キンタロー。」さんだが、出演当初は一部のAKBファンから大反発をくらっていた。「お尻を出しても嫌いにならないでください!」──週刊誌にスクープされた、前田敦子さんの泥酔騒動をネタにしたことも、当時反感を買った理由のひとつだろう。

近頃では、俳優の市原隼人さんが、モノマネ芸人に対して、「役者を馬鹿にしてなめてるとしか思えない」などと、ブログで嫌悪感を示している。もっとも、モノマネなんて、真似された本人が眉をひそめるくらい痛烈でなければ、面白くないのだが・・・。

モノマネされる側のタレント本人にとっては、とても不愉快で、自分のイメージを損ねると考えるときもあるだろう。その場合、タレントは、モノマネによって名誉を毀損されたなどとして、なんらかの賠償を請求することができるのだろうか。桑野雄一郎弁護士に聞いた。

●「著作権法上は、損害賠償を請求することは難しい」

「モノマネ」とは、その名の通り、人の声やしぐさを真似する芸である。ということは、モノマネされたタレントからすれば、「その人固有の芸」を勝手に使われているようにも見えるだろう。これは、著作権を侵害しているとは言えないのだろうか。

「漫才のネタをまるごとマネしたりすれば、著作権侵害になり得るでしょうが、モノマネでよく使われるような短いフレーズ、瞬間芸の類(たぐい)は一般的には著作物とはいえないので、著作権侵害にあたらない場合が多いでしょう。

また、タレントは著作権法上は実演家と位置づけられ、『著作隣接権』の一つである実演家の権利が認められています。実演家の権利には、自分の実演を録音・録画する権利(録音・録画権)が含まれています。

しかし、モノマネはタレント本人の実演を録音・録画して利用しているわけではありませんので、侵害にはあたりません」

このように説明したうえで、桑野弁護士は「著作権法上は損害賠償を請求することは難しいと言わざるを得ません」と話す。

●あまりにも本人を誹謗中傷した「モノマネ」だと、損害賠償が認められることも

それではタレントが、「不愉快なモノマネ」に対して、なんらかの賠償を請求することができるないのだろうか。桑野弁護士は、有名人の氏名などが持つ経済的権益を本人が独占できる権利である「パブリシティ権」を引き合いに出す。

「ロック歌手の矢沢永吉さんが、『そっくりさん』を相手に、氏名の『パブリシティ権』侵害を理由に損害賠償を請求して提訴した事件があります。報道によると和解で解決したということですが、一般的なモノマネはパブリシティ権侵害にもあたらない場合が多いでしょう」

つまり、桑野弁護士によると、「モノマネは直ちに違法だとはいえません」ということだ。一方、桑野弁護士は次のように付け加える。

「ただ、あまりにもタレント本人を誹謗中傷したり、名誉を棄損したりするようなモノマネについては、不法行為(民法709条)に基づき損害賠償が認められる場合もあるでしょう」

このように、よほどひどい内容でない限りは、モノマネは違法ということではないようだ。視聴者としては、モノマネされたタレント本人でも笑うことができる愉快な芸を期待したいところだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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