14731.jpg
「三鷹事件」の再審請求で初の証人尋問 死刑確定から70年、真相究明へ 弁護団「大いに期待」
2025年10月10日 15時32分
#冤罪 #再審 #三鷹事件 #新証拠

今から76年前、旧国鉄の三鷹駅で無人の電車が暴走し、6人が死亡した「三鷹事件」をめぐって、死刑が確定した後に病死した竹内景助さん(当時45歳)の再審(裁判のやり直し)を求めている弁護団が10月10日、東京・霞が関で記者会見を開いた。

これまでの第1〜3次の再審請求の中で、初めて証人尋問が実施されることが明らかになった。

今から76年前、旧国鉄の三鷹駅で無人の電車が暴走し、6人が死亡した「三鷹事件」をめぐって、死刑が確定した後に病死した竹内景助さん(当時45歳)の再審(裁判のやり直し)を求めている弁護団が10月10日、東京・霞が関で記者会見を開いた。

これまでの第1〜3次の再審請求の中で、初めて証人尋問が実施されることが明らかになった。

●竹内さんが死刑、共犯者とみられた9人は全員無罪に

事件が起きたのは、1949年7月15日。無人の電車が暴走して脱線し、6人が死亡、十数人がケガをした。

警察は共産党の関与を疑い、竹内さんと共産党員9人の計10人を逮捕、起訴。竹内さんは捜査段階で、単独犯行の自白をしたものの、その後の裁判では一転して無実を主張するなど、供述を繰り返し変えたとされる。

東京地裁は1950年、電車転覆致死罪に問われた竹内さんに対して、無期懲役を言い渡したが、翌年の東京高裁は死刑判決を下し、その後、確定した。一方、共犯者とみられた9人は全員が無罪となっている。

竹内さんは1955年に第1次再審請求を申し立てたが、審理が続く中で1966年に死刑囚のまま病死。最初の再審請求は終了した。

●特別抗告審が判断しなかった証拠を新たに提出

2011年には竹内さんの長男が第2次再審請求をおこなったが、東京高裁が棄却。弁護団は異議申し立てや特別抗告をおこなったが、最高裁は2024年4月、具体的な判断を示さないまま特別抗告を棄却した。

その後、同年9月に第3次再審請求がおこなわれ、現在、東京高裁で審理が進められている。

この日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた主任弁護人の野嶋真人弁護士は、第2次再審請求の特別抗告審で判断が示されなかった証拠に加えて、鉄道に詳しい専門家の意見書などを「新証拠」として提出したことを明らかにした。

さらに、これまでの再審請求では一度も認められなかった証人尋問が、今年11月に実施されることが決まったと報告。「再審開始決定が出た他の事件では、決定が出る前に証人尋問が開かれることが多い。今回、僕としては大いに期待しています」と語った。

●争点の一つは「パンタグラフ」の状態

第3次再審請求では、暴走した電車のパンタグラフ(電車が電気を取り込むための装置)が、どの段階で上がった状態になったのかが主要な争点の一つになっているという。

野嶋弁護士は会見で、事件直後に現場を撮影した新聞社の写真を示しながら、パンタグラフの状態がこれまでの検察側の主張と矛盾しているなどと指摘した。

証人尋問は、11月18日と11月25日の2回、東京高裁で実施される予定だ。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る