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「食品の異物混入」をSNS発信したがる人々 情報に誤りあれば「法的責任問われるリスクも」
2024年01月22日 09時50分
#SNS

飲食店などで提供された食べ物が腐っていたり、虫などの異物が入っていた場合、客がSNS上で発信するケースが目に見えて増えている。

2023年だけでも、「ソーセージエッグマフィンにナットが入っていた」という投稿からマクドナルドが謝罪に追い込まれたケースや、「タレ瓶の中に虫」という投稿によって餃子の王将が卓上の調味料を撤去するに至ったケースなど、枚挙にいとまがない。

なかでも、保健所が動く騒動になった「納豆のにおいがするマフィン」は当初、購入者の多くがSNSに「異変」を投稿した。厚労省が約3000個について、健康への被害が最も高い「CLASS Ⅰ」のリコール対象とした。

今年に入ってからも、食中毒が認定された「上野公園の牡蠣フェス」では、事前に加熱不十分を指摘する投稿があった。

このように、食の安全が脅かされたと感じた場合、消費者が指摘することには「公益性」も考えられる。

一方で、指摘された飲食店側には風評被害、対応による経済的損失などのペナルティも発生する。もしも発信した情報に誤りがあった場合には、リスクもあるのではないか。消費者が注意すべきことは何か。石崎冬貴弁護士に聞いた。(ニュース編集部・塚田賢慎)

飲食店などで提供された食べ物が腐っていたり、虫などの異物が入っていた場合、客がSNS上で発信するケースが目に見えて増えている。

2023年だけでも、「ソーセージエッグマフィンにナットが入っていた」という投稿からマクドナルドが謝罪に追い込まれたケースや、「タレ瓶の中に虫」という投稿によって餃子の王将が卓上の調味料を撤去するに至ったケースなど、枚挙にいとまがない。

なかでも、保健所が動く騒動になった「納豆のにおいがするマフィン」は当初、購入者の多くがSNSに「異変」を投稿した。厚労省が約3000個について、健康への被害が最も高い「CLASS Ⅰ」のリコール対象とした。

今年に入ってからも、食中毒が認定された「上野公園の牡蠣フェス」では、事前に加熱不十分を指摘する投稿があった。

このように、食の安全が脅かされたと感じた場合、消費者が指摘することには「公益性」も考えられる。

一方で、指摘された飲食店側には風評被害、対応による経済的損失などのペナルティも発生する。もしも発信した情報に誤りがあった場合には、リスクもあるのではないか。消費者が注意すべきことは何か。石崎冬貴弁護士に聞いた。(ニュース編集部・塚田賢慎)

●異変発見したら、まずは「証拠保全→店舗側に連絡」

——飲食店やコンビニなどで購入した食べ物に異物混入を見つけた場合、まず消費者がすべき行動として何が考えられますか。

個人が受けた被害として、謝罪や返金、治療費の支払いを受けたいということであれば、証拠を残したうえで、店や顧客窓口のようなところに連絡すれば足ります。

食品の場合、時間が経てば劣化しますし、異物混入の機会も増えますから、気付いた段階で写真などを撮って証拠を保全したうえで、速やかに店などに連絡すべきです。

レシートや包装紙など、証拠となるものはできるだけ保存しておく必要がありますが、購入した日時をメモしておくだけでも有用だと思います。

——SNS上で異物混入を指摘するとき、どのような法的問題が考えられるでしょうか。

SNSへの投稿は、その内容が真実か否かによって問題状況が異なります。

真実である場合、現実に起きたことを投稿しているだけですから、原則として法的な問題は起こりません。

それによって店が深刻な影響を受けたとしても、それは店が負うべき責任です。

●「おかしい?」と思ったら転載を控えて

——注意すべきことはないでしょうか。

現実の投稿は、単に写真や動画がアップロードされているのではなく、推測による情報が加わったり、写真や動画が加工されている場合があります。

その投稿内容が虚偽であれば、民事上の不法行為責任を負って、高額な賠償を命じられることはもちろん、内容によって名誉毀損罪や業務妨害罪など刑事責任が生じる場合もあります。

SNSの投稿で一番難しいのは、他者の投稿をそのまま転載(リポストやシェア)できることです。

他者の投稿ですから、その真偽を自ら判断するのは困難です。さらに、他者の投稿の転載は心理的なハードルが低いことから、「自分が責任を負う可能性がある」という認識がほとんどありません。

しかし、転載であっても自分の投稿ですから、その内容には責任が伴います。必ず、その内容の真偽については十分確かめたうえで投稿すべきでしょう。

名誉毀損においては、公共性や公益性があれば、真実でなかったとしても、真実と誤信するに足りる相当の理由があれば適法なものとされます。

他者の投稿を転載する場合、一般的には投稿者に確認することなどありませんから、違法性阻却事由が認められるハードルは相当に高いと思われます。

——すぐにSNSで飲食物への混入や問題を報告する風潮をどう考えればよいのでしょうか。昨年は、虫の混入に気づいた客が、直後は飲食店側に何も伝えず、退店後にSNSで発信するようなケースもありました

本来、消費者がSNSに異変を投稿する目的は、大きく分けて「自身が受けた被害の救済」と「社会に対する注意喚起」の二択です。ところが現実には「あまり考えることなく身の回りに起きた出来事として投稿」していると思われます。

SNSが身近にある現在では、情報の共有が当たり前のようにおこなわれますが、前述のとおり、転載であっても自身の発言であり、その発言はどこまでも拡散、再拡散していきます。

そして、その情報が誤っていた場合、飲食店側には経済的な打撃を与え、自身には法的な責任を負う結果をもたらすこともありえます。すべてのSNS利用者はそのことを強く認識すべきだと考えます。

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