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環境省が「犬の繁殖回数制限」へ「悪質ブリーダー」を排除できるか? 弁護士に聞いた
2015年11月10日 10時39分

子犬をペットとして販売するブリーダーについて、親犬の年間の繁殖回数を制限するように、環境省が規制を設ける方向で調整に入ったと、時事通信が10月下旬に報じた。利益のために親犬に何度も子を産ませる悪質な業者の排除につなげたいという。

報道によると、動物愛護法に基づいて新たに検討される規制は、ブリーダーやペットショップが対象。繁殖回数の制限のほか、犬や猫一頭あたりの飼育ケージの広さについても、具体的な指標を設ける方向だという。

このニュースについて、ネット上では「これはいい政策」という声がある一方、「はたして悪質ブリーダーはそれを守るのか」「もっと厳しくいこうよ」という意見もみられた。ペットの問題に詳しい弁護士はどう見るのか。細川敦史弁護士に聞いた。

子犬をペットとして販売するブリーダーについて、親犬の年間の繁殖回数を制限するように、環境省が規制を設ける方向で調整に入ったと、時事通信が10月下旬に報じた。利益のために親犬に何度も子を産ませる悪質な業者の排除につなげたいという。

報道によると、動物愛護法に基づいて新たに検討される規制は、ブリーダーやペットショップが対象。繁殖回数の制限のほか、犬や猫一頭あたりの飼育ケージの広さについても、具体的な指標を設ける方向だという。

このニュースについて、ネット上では「これはいい政策」という声がある一方、「はたして悪質ブリーダーはそれを守るのか」「もっと厳しくいこうよ」という意見もみられた。ペットの問題に詳しい弁護士はどう見るのか。細川敦史弁護士に聞いた。

●現在も繁殖回数の規制はあるが、明確な基準ではない

「繁殖制限や飼育ケージの広さについては、今でも法令による規制があります。

繁殖制限については『みだりな繁殖により母体に過度な負担をかけることを避け、繁殖の回数を適切なものにする』と定められています。飼育ケージについても『動物の日常的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有するものとする』とされています。

しかしながら、いずれも明確な基準ではなく、業者の指導監督を行う自治体行政にとって、使いづらい内容でした。

そのため、狭くてボロボロの不潔なケージで犬や猫を保管し、繁殖を繰り返し行う問題業者(子犬工場、パピーミル)に対して、違法状態であるとはっきりと指摘できない状態が続いていました」

そうした不十分な点について、今まで見直しはされてこなかったのか?

「前回の動物愛護法改正の際も、これらの事項は環境省の検討委員会で議論されました。

しかし、規制の必要性は共通認識されたものの、具体的にどの程度の繁殖制限とするのか、ケージをどの程度の寸法とするのかまでは決められず、専門家委員会で別途検討することが確認されるにとどまりました。これが、2011年12月のことです。

それから4年近くが経ち、次の法改正の検討開始時期が近づいてくる中で、環境省としても、それまでに積み残した事項を進めておく必要があると考えて、今回の動きになったのだろうと想像します」

●新しい規制で「悪質ブリーダー」を排除できるか?

今回、新たに設けられようとしている規制で、悪質ブリーダーは排除できるのか?

「仮に、繁殖制限やケージの広さに関する具体的な数値基準が定められれば、自治体行政も、業者の指導監督がしやすくなり、非常に有効な規制といえます。

また、ケージの広さを数値で規制することにより、展示や販売を行う業者は、今より施設の広さが必要となるでしょう。そうなれば、コストをかけられない業者が、割に合わないとして撤退する可能性もあります」

新しい規制を設けるにあたって、細川弁護士は「他国の事例も参考にしてほしい」と呼びかける。

「繁殖制限について、たとえば英国の法律では、1歳未満の犬は繁殖させてはならず、繁殖は一生に6回まで、最終の出産から1年以内の出産は禁止されています。

一方、日本のパピーミル(子犬工場)では、性成熟が始まる生後6カ月程度で繁殖を始め、毎年2、3回の繁殖を続け、老犬になっても産めるだけ産ませる、といわれています。

また、飼育ケージの規制について、たとえばドイツの法律では、犬の体長の2倍で、2メートル以上とされています。また、体高ごとに必要とされる床面積が決められています。たとえば体高50㎝の場合は、6平方メートルです。

今後、専門家による検討会の中で、こうした他国の事例も参考にしながら、できれば他国で導入された背景まで掘り下げつつ、基本的には動物福祉の観点から、繁殖頻度はどの程度とするのがふさわしいか、また、動物の種類ごとに飼育ケージの広さをどの程度確保すべきかを、しっかりと定めていただくことを期待します」

細川弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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