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職場の同僚に「あほか」「ばばあ」、こんな暴言はパワハラにあたらないの?
2025年03月10日 10時10分
#パワハラ #懲戒処分

「あほか」「頭が使えないのね」「ばばあ」。京都府の亀岡市立病院で、職員の看護師や医者について暴言を繰り返していたとして、女性医師が戒告の懲戒処分になったと報じられている。

京都新聞によると、女性医師は、病院長らから指導を受けたにもかかわらず態度を改めなかったという。処分理由は「チーム医療の推進を妨げたこと」とされている。

「あほか」などという言葉を同僚から言われたら傷つく人は少なくないはずだ。一般論として、こうした暴言はパワハラにあたらないのだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

「あほか」「頭が使えないのね」「ばばあ」。京都府の亀岡市立病院で、職員の看護師や医者について暴言を繰り返していたとして、女性医師が戒告の懲戒処分になったと報じられている。

京都新聞によると、女性医師は、病院長らから指導を受けたにもかかわらず態度を改めなかったという。処分理由は「チーム医療の推進を妨げたこと」とされている。

「あほか」などという言葉を同僚から言われたら傷つく人は少なくないはずだ。一般論として、こうした暴言はパワハラにあたらないのだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

●医療現場特有の事情も加味されたか

総合病院のような規模の医療現場は、「チーム医療」が合い言葉になっており、ほかの医師や看護師、リハビリ担当者などの医療専門職との協調性や密で円滑な意思疎通が求められる職場です。

そのような職場で、協調性を欠く言動があるならば、それは円滑なチーム医療に支障が生じ、ひいては患者の生命や健康そのものにも悪影響が及ぶということになります。

どの職場においても同僚との協調性は大切ですが、今回報道されたケースは、医療現場特有の事情も加味されたのではないかと思います。

●パワハラにあたらなくても「懲戒処分」となる可能性

一方、医療現場以外の職場であっても、およそ、上長がいて、サブとなる副長がいて、部下がいるというチーム構成になっていると思われます。当然ながら、同僚との協調性や円滑な業務上の指示の実現や実行が、程度の差はあれど求められるでしょう。

そして、ほかの同僚や部下に対して、「アホ」とか「頭が使えない」とか「ばばあ」というような侮辱的な発言をすることは、その程度や頻度、そして発言者とその受け手の心情によっては、懲戒処分の対象とされることもあると思います。

ただし、典型的なパワハラとは、(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるもの――と定義されます。

つまり、(2)の要件によって、その言動が業務上の指示や命令や指導、指揮であることが当然の前提となっています。

したがって、もし業務上の指示や命令を出す場面であれば、パワハラと認められると思いますが、単なる「アホ」とか「頭が使えない」とか「ばばあ」といった侮辱的発言だけで一概にパワハラと認められないケースもあるでしょう。

しかし、パワハラではないからといって問題はないかと問われれば、それは違います。やはり、職場での協調性や、その事業所における円滑な業務の実現にひびが入るからです。したがって、その程度が相当ひどければ、懲戒処分もやむを得ないということになります。

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